<見栄っ張りと獏>

(筆者注)獏:バクと読む、夢を食べる想像上の動物。我が家に住み着いている。


家造りは一生に一度だと思うとこだわってしまう。
2回目3回目の方ならもっとリラックスして考えられるのであろうが。
どうも普通のサラリーマンは一生に一度きりで、しかも多大な債務を背負い、この後の人生をローンの支払いにささげなければならない。
小生もその一人。
奥の手として枝振りの良い松の木を見つけ、ぶら下がるという手だけが残されている。
けっして柿の木にぶら下がってはいけない。
枝がすぐに折れてしまう。
腰の骨を折って、家族の迷惑が増え、借金が嵩むだけだ。

こだわりと飽くなき欲望を満たそうとして進めていくと、建築費は天文学的な数字になってしまう。
小生のように見栄っ張りにはなおさらの事。
注意しなくてはいけない。

外形
外観を単純な四角にした。
壁面積と居住空間の体積を考えると球体がいい。
地球だって丸いのだから良く馴染むはず。
でもこれでは住めない。
床が曲面ではリラックスできない。
出っ張りや窪みがあると外壁の面積と柱の数が増える。
単純な四角の総3階にする事でコストダウン。
さらに増築部分との接合部を密着させる事で、外壁面が1面減少。
ここでもコストダウン。(後でチョピリ後悔)
本当は2階建てにしてしまえば大巾にコストダウンできるのだが見栄を張りたい。

屋根
屋根も単純な方がいいらしい。
切妻屋根とする。
屋根面積が減りコストダウン。
見栄っ張りが頭をもたげ、ドーマを一つ付けてもらう。
その分コストアップ。
構造は普通の小屋組みではなく、上り梁とした。
太い梁が屋根を支えている。
また棟を2本の丸太(直径1尺)が支えている。
見栄えのするこの上り梁が一部しか見えなくなってしまうのは非常に残念。
見栄っ張りの心を騒がす。

屋根は陶器瓦、カパラスの黒。
重たくはなるが、顔料が練り込んであるので色褪せし難い。
野地板は桧。
温度変化に激しさにも耐久性がある。
断熱材はネオマフォーム(旭化成)66ミリ。
屋根断熱には贅沢をした。
この断熱が悪いと3階の住み心地が悪くなってしまう。
棟換気も付ける。
階段が煙突代わりとなって1階から3階へ、そして外へと空気が逃げる事を見込む。
夏の暑さには弱い小生。
冬の寒さには皮下脂肪で対応する。

べた基礎
今までの家は布基礎。
今回は3階建という事でべた基礎にする。
工事費自体はそれほど変わらない。
建物直下だけではなく、ウッドデッキの下も基礎の一部とした。

土台
土台は桧の4寸心材を用いた。
他の材料でいい材料がある事は知ってはいたが、心の片隅に桧信仰があった。
健康を考えると防蟻材は使いたくなかったが、後日の事件発生(工事開始のページで書きます)のため使用した。
この事件が後々獏に夢を食われるはめになろうとはこの時点では思わなかった。

根太と床の断熱材
床の根太と床の断熱材を止める。
3尺間隔で大引が入っているので根太を止める。
変わりに24ミリのコンパネを大引に直接打ち付ける。
その上に同じく24ミリの桧の無垢フローリング材を貼る。
48ミリの厚さがあれば、断熱材無しでも生きていけると判断した。
根太と断熱材分コストダウン。

外壁と断熱材
外壁は投資対効果を考えてサイディング16ミリ。
色は設計事務所の高橋さんに任せた。
家族の好みが違いすぎ、まとまらなかった。
責任を高橋さんに押し付ける。
その分断熱材は考えた。
外断熱:1階はポルトガルからの輸入品の炭化コルク20ミリ。
炭のため白蟻が食べないとの事で1階外側のみ採用。
2階と3階はネオマフォーム20ミリ。
これで終わりではない。
内断熱:1階から3階までネオマフォーム40ミリ。

よって壁は外側からサイディング16ミリ+通気層+炭化コルク20ミリ+透湿防風シート+コンパネ12ミリ+ネオマフォーム40ミリ+下地材(コンパネまたは石膏ボード)12ミリ+内装材(桧または杉板12ミリもしくは珪藻土塗り)となった。
カッコ良い言葉で言えば「二重断熱・二重通気工法」
見えない所に贅沢をして、自己満足に浸る。
文化文政時代の商人を模倣してみた。
コストアップ。

構造材
柱は基本的に全て桧の4寸。
1階の一部通し柱含む重要な柱4本に桧5寸を使用。
母が5寸が良いと言ってきかなかった。
親子代々見栄っ張りである。
床柱は構造材ではないが、日光杉5寸を使用した。
梁は米松、加重のかかる2個所のみ集成材。
梁を見せる(現し)という作りになった。
そのため梁成をそろえたり、3尺間隔で梁を入れる事になった。
コストアップ

この辺のこだわりが後々大幅なコストアップをもたらす事となった。
柱や梁をこだわっため、それに合わせて框や敷居、窓枠などもこだわらざるを得なくなってしまった。
もっと安い素材で良いと言ったが、廣瀬さんも棟梁も全体のバランスが取れないとおっしゃる。
何事もバランスが大切。
コストアップの見本みたいである。
「見栄っ張りは損をする」典型なのだ。

玄関
壁、天井ともに珪藻土塗り。
たたきの幅を上棟後変更した。
棟梁の経験からの助言による。
ノダの玄関建具(下駄箱)を入れる。
玄関ドアは高いものが多く、輸入品などは手が出ない。
拘りが無いので新日軽の普及品の断熱ドアを選択した。
コストダウン。

1階ホール・廊下
桧無垢フローリング24ミリ、桧無垢腰板12ミリ、上部は珪藻土塗り。

1階ダイニング
梁現し、真壁造り。
桧無垢フローリング24ミリ、真壁造り桧無垢腰板12ミリ、上部は珪藻土塗り。
天井も珪藻土塗り。

1階茶の間(和室6畳)
梁現し、真壁造り。
壁は珪藻土塗り、天井は無垢杉板12ミリ貼り。
和室の床を1尺ほど高くした。
上げる事によってダイニングで椅子に腰掛けている者と畳に座っている者との視線が合う。
話しがしやすい。
また母が一休みするのにちょいと腰掛けるのにも良い。
腰掛けてから畳に上がったり、寝っころがったりできる。

台所
大壁、クロス張り、床は桧無垢24ミリ。
壁は掃除のしやすいクロスとした。
(今でも悩んでいる。)
システムキッチン等はノーリツの普及品。
耐久消費財と考え、部品の交換しやすい普及品にした。
コストダウン。

洗面所兼洗濯場
大壁、珪藻土塗り、床は桧無垢24ミリ。
湿気がこもりやすいので湿調作用のある珪藻土を選択。
洗面台はノーリツのルナボール、普及品。
洗濯機と乾燥機は現在のものを使用する。
コストダウン。

浴室
ノーリツのシステムバス1.25坪、普及品。
この場所は新築部分と古屋とにまたがり、ちょっと変わっている。
浴室内から見ると大きな出窓になっているが、外から見ると普通の窓。
言葉ではうまく説明できない。
コストダウン。

1階納戸
古屋の方を有り合わせの材料でリフォームする予定。
コストダウン。

2階への階段
玄関から直線上にあるが、ダイニングや茶の間から見える階段(L字型)。
台所の上を通っていくので人の気配がわかる。
幅4尺でなだらかなもの。
(理由は前述したので省略)
規定外の幅のためコストアップ。

2階母の居室(和室8畳強)
真壁造り珪藻土塗り。
畳は4.5畳分だけ入れ、残りは桧無垢フローリング24ミリ貼り。
畳とフローリングの境目は段差無し。
ベットを使いたいというので一部をフローリングとした。
また、鏡台等も置くので板張りの方が良いと考えた。

子ども室の天井
コストダウンのため、子ども室の天井は無しとし、梁を見せた。
空が見えては困ってしまうが、3階の床材を天井代わりとした。
そのため、3階の床材にはオープンネットから仕入れた杉板を天井兼用で貼る事にした。
これは優れもので12ミリ厚さの杉板が3枚重ねてある。
合計でなんと36ミリの厚さ。
天井を無くした分コストダウン。

子ども室の壁
子どもに部屋は自由に使わせたい。
おそらくポスターや飾りなど貼り付けたいに違いない。
そこで当初から桧の板を壁一面に貼ろうと考えていた。
ここで獏登場。
桧の夢を獏が食ってしまった。
杉板12ミリに変更。
コストダウン。
獏に食われてしまっただけでは嫌なのでもう一工夫。
材料の長さ(1820ミリ)のまま貼付け、残りの部分は珪藻土塗り。
大工さんの手間がやや減る。

2階トイレ(2畳弱)
トイレとしては広めにした。
臭い、暑い(寒い)、狭いといった3重苦のトイレは嫌だった。
温風の出る洗浄機付き便座を採用する。
もう少し広くしてトイレと洗面を兼用とし、今はやりの化粧室にしようかとも考えた。
が、子どもが女と男といるし、老人もいる。
気兼ねなく使えるようにトイレのみとし、洗面台はホールの方に出した。
この部屋は間違ってオソソをしても掃除をしやすくするため、クッションフローリングを選択した。
壁は水周りなのでもちろん珪藻土塗り。
脱臭効果も見込める壁材は利用価値が高い。

2階納戸
箪笥と布団を収納するのに作った。
床は桧無垢フローリング24ミリ、壁は珪藻土塗り。
ここの窓を開けると、子ども室の窓と一直線になり風通しが良い。
設計時に予想していたよりも風が良く通る。
最近確認できた。

2階ホールと廊下
大壁造り、床は桧無垢フローリング24ミリ、壁は珪藻土塗り。
トイレと廊下の壁の厚みを利用して廊下側に本棚を作ってもらう事にした。
子ども部屋は狭いので廊下に本棚があると便利。

3階への階段
こだわり無し、3尺幅。

3階(ワンルーム:約36畳ぐらい)
勾配天井と一部の壁は無垢の杉板張り。
残りの壁は珪藻土塗り。
床は前述の杉板3層(12ミリ×3)貼り。
この部屋を小生は図書室と呼びたい。
家族や廣瀬さんはプレイルームと呼んでいる。
真相は住んでみてからの力関係で決まりそうである。
この部屋の南側の窓から富士山が見える。
東側のドーマからは額縁に入った絵のように筑波山が見える。
北側の窓からは遠く日光連山が見える。

(西側は窓なし)
木の香りが漂う最高の部屋になる予定。
見栄っ張りの鼻も最高に高くなる場所。

出窓
当初はカッコイイ出窓を3個所(台所、ホール、和室)付ける予定でいた。
出窓サッシは高い。
台所のみ木工事で出窓とし、普通のサッシをはめ込む。
ホールと和室の二つは獏に食わせた。
コストダウン。


全て新日軽のペアガラスの樹脂サッシとした。
南側のみLow-Eを採用する。
北側は総べて型ガラスとした。
冬の日差しの暖かみも遮ってしまうのは残念だが、夏の暑さ対策には変えられない。
デブでクーラー嫌いにとって夏は最悪なのだから。
窓ガラスでは散々悩み、設計事務所には迷惑をかけた。
合わせガラスにしようか、強化ガラスにしようか、型ガラスではなく、すりガラスが良いとかと悩みに悩みぬいた。
なまじっか知識があると余計に悩んでしまう。
最終的にはそんな悩みを獏が食べた。
予算という化け物には勝てず、普通のペアガラスと相成った。

バルコニー
2階と3階の両方に木製バルコニー付けた。
手すりも木製。
メンテナンスは必至。
家族の協力が不可欠。
家族が崩壊してメンテができないと、バルコニーも壊れるという寸法なのだ。
何年か後に我が家のバルコニーが壊れていたら、家族が崩壊したと思ってほしい。

丸太
2階と3階のバルコニーを支えるために丸太を柱として使用した。
2階のバルコニーを4本の丸太で支えている。
そのうちの2本は3階のバルコニーと長めの軒も支えている。
直径1尺、長さ9mの丸太(単価:10万円)は見栄を張るには最高の材料である。
見た目に弱い人はこれでいちころだと思う。
こんな文章を書きながら一人優越感に浸っている。
「見栄っ張り」=「嫌みなやつ」
なのである。

ここで怒らずに次のページも読んで下さい。m(__)m

ウッドデッキ
ダイニングと茶の間の前(南側)にウッドデッキをつける。
部屋が狭い分をこれでカバーしたい。
茶の間から見れば濡れ縁のようにも見えるはず。
レッドシダーを使う予定だったが、獏にいろいろ食われ、桧で棟梁に作ってもらう事にした。
ウッドデッキぐらいDIYで作れとお叱りを受けそうだが、失敗した時の愚妻の顔が怖いので本職に依頼する。

太陽熱温水器
屋根の上に太陽熱温水器を乗せたかった。
地球に優しい事をしているんだゾとアピールしたかった。
ランニングコストを抑えたかった。
設計をしていく中で乗せる場所を確保できない。
屋根は妻側が南向きのため、乗せられない。
バルコニーに置く案とか、車庫を新設してその上に乗せる案なども出た。
しかし、結局はこの夢も獏に食べられてしまった。
残念ながら断念。

床暖房
床暖房は良い。
ある神社の社殿で床暖房を経験する事ができた。
初詣で御払いを受けている間中、お尻の下がぬくぬくして気持ちが良かった。
吹きっさらしの社殿にもかかわらず、寒い事はなかった。
絶対に採用したい。
今回の設計の目玉商品。
設計の初期の段階から床暖房を採用し、予算計上をしていた。
ところがである。
解体工事中に予想だにしなかった重大事件が勃発してしまった。
(詳しくは工事開始のページ)
事件解消のためには大幅な予算の見直しが必要となってしまった。
夢の「床暖房」は我が家に住み着く獏の餌食となった。
念願の床暖房は淡雪の如く消え去り、残されたのは辛抱という言葉だけなのだ。
母よ、妻よ、子ども達よ、強く生きていこう。
厚い皮下脂肪と面の皮で世間を渡っていこうと決心したのだ。

その他
電磁調理器採用。
近くの老人ホームでも使っていた。
火が出なくて安心。
老人のいる家庭にはお勧めと思う。
電磁波の問題には困った。
小生などは一日中パソコンやサーバーを相手にして仕事をしている。
電磁波は職業柄年中浴びている。
手後れと思い採用に踏みきった。
家族の健康は無視。

食洗機採用。
輸入品のミーレ。
鍋まで丸ごと洗えるので採用。
妻は無くてもいいと言ってはいたが、夫の目から見て作業はノロマだし、不精者なのであった方がいいと判断した。
耐用年数が過ぎる頃は家族が減っていると思われるので、今が楽の仕時だと思った。

我が家には大食いの獏がいるらしい。
小生のつたない夢を次から次へと食べてしまう。
この獏といつまで付合っていばいいのだろう。(ToT)

このページは以上です。
見栄っ張りの話しに付合って下さいましてありがとうございます。
胸くそが悪くなった方はここで休憩をとって下さい。


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