「文様」
1999/03/08 開始、脱稿
落川春秋
もう一度だけ、あなたに会いたいと願うことは
とても罪深いことなのでしょうか
黒い翼の鳥の群れ
ぎゃあぎゃあ鳴いて
血色の空に
別れの文様を描くのです
もう二度と、あなたに会わないと誓うことは
とても罪深いことなのでしょうか
黄金に輝く雲の群れ
ごぉうごぉう捲いて
死色の空に
孤立の文様を描くのです
瞳の奥の視神経に焼き込まれた異物が脳を侵食し、血流に混じって全身を巡って行く内に肉体は精神の作用によって犯され、凌辱され、失われていく中で、心の奥底のごく一部にある感覚は微かな挙動を示し、それは段々と成長していき、官能に溶け込み、混沌は進化という破滅を欲しつつ成長を続け、言語は殺伐たる旋律と茫漠たる構図に絡み付き、生殖行為さながらの猥雑さを産み、唸り声を上げるそれは、生きることを望むばかりに死へと近づき、やがて到達してしまう運命がべったりと背中から腰にかけて纏わり付いている孤死の文様