「修羅と唸り」
1999/03/04 開始、脱稿
落川春秋

俺は何に対しても責任など取らないのだ
お前の死にも
俺の死にも
お前の命にも
俺の命にも
俺は何に対しても責任など取らないのだ

白く透明な空に指を差し出し
空のエッジに私は触れると
空が私をすっぱりと切り裂いて
指先から青く透明な血が粒立ちながら
さらさらと流れてくる内に
私は私の中から
モノクロームになっていくのです

木星と金星を眺めていました
空が暗いからこそ星は輝くのですね
闇の稜線に沿って首を回せば
何時の間にやら、途方もないところを見つめる破目になっていて
私は世界のどこかに在る筈の
アカシック・レコードを見つけた途端に見失ってしまうのです

音を見る為に目を凝らし
花が枯れてく様をついに捕らえる頃には
もう夜は耽て
私は読みかけの詩集を放り出したまま
私の言葉を機械に告白しているのです
それは酷くありふれた光景でありながら
二度と起こらない一度っきりの風景なのです
昨日の私が見ることのなかった
明日の私が見ることのできない
今日の私がどんどんと
古びていく只中の
出来事という
風景なのです

咳をして
うなだれ
額を押さえて
微熱の有無を確かめる
そんなような
行いは
だらしがない
消えかけの蛍光灯のような
代物です


「無限慟哭」 「無声鐘楼」 「闇之球体」 「強力ファイト」
(C)1998−2008 落川春秋