「ピンク&グリーン・ジャイアント

」
「ぎゃあーっ」
目の前の信じたくない現実に絶叫した。桃色と緑色のマーブル模様の中年小太り全裸。
何が悲しくて真っ昼間からこんな目の毒を見なくてはならないのか。
「ほらほら、今日も元気

」
満面の笑みと共に腰を振って股間のイチモツを振り回す。ペチ、ペチ、パチ、ペチと音を立て、嫌な変拍子が響いてくる。全身のマーブル模様も手伝って凄まじくサイケデリックだ。
「さぁ、見て。私の愛を。そして私のごく一部分を」
「ごく一部分ってのは何だぁーっ」
「勿論、ナニよ

」
そう言って全裸は自分のモノを摘まんで引っ張り上げる。目を反らしたいが、視線を外した途端に襲われそうな気がするので見ざるを得ない。見ざるを得ないのだが、涙で目が曇ってくる。
「あら。感動の涙?」
「どこに感動するんだ。どこに?」
「勿論、ここよ」
桃と緑に包まれた中年全裸はナニをグイッと持ち上げる。天を目指すそれを見せ付けられて、こっちは俯くばかり。
「ふふっ。前回は思いっ切り握り潰されたけど、今回はそうはいかない…。なぜなら満月の夜に自然石に打ち付けて鍛えてきたから

」
「意味の解らん告白をさらりとするな」
喋りが全部、絶叫調になっている。何もかもマーブル・イチモツが悪いのだ。
「さぁ、握って良いの

」
「嫌だぁーっ」
桃と緑のコラボレーション全裸の凶暴な無防備に脅える。
「どすこーいっ」
両手を広げ、股を広げ、大きな振り子運動と共に桃と緑が迫って来る。俺は慌ててズボンを脱いだ。
「ペニスサックだ」
敵のイチモツに対抗する為に夜なべして作ったハンドメイドの牛革製ペニスサックだ。これでナニの安全は確保される筈。
「まぁ。何て立派な張型…」
足を止めてうっとりと呟く全裸マーブル。げっ、また逆効果なのか。
「張型じゃない。ペニスサックだ」
俺は叫ぶ。
「すると、この中には夢が詰まっているのね

」
会話に繋がりがない。繋がるのも嫌なんだが。
「今こそ、夢に向かってダーッシュッ」
桃と緑に包まれた小太りの肉塊が恐ろしい速さで跪きながら俺の股間のペニスサックに手を伸ばす。
俺は敢えて抵抗せずにペニスサックを外させた。そこには秘策があるからだ。
「ああっ、虹」
「どうだ、そっちが二色ならこっちは七色だ」
勝ったと思った。桃と緑のマーブルを予想していた俺は先んじてナニを七色に塗っていたのだ。しかも、より衝撃を与える為にペニスサックで隠しておくという秘策。これでこの変態野郎も度肝を抜かれておとなしくなるだろう。
「夢へ通じる虹の架け橋




」
あれっ。語尾のハートマークが増量中? しかも驚いたのは一瞬だけでうっとりしてるし。
「さぁ、今こそ愛と肉欲と性欲と淫欲の世界へ」
「お前の世界は『欲』だらけかいっ」
股間に擦り寄るサイケ全裸。俺はナニに顔を近づけてくるマーブル変態をナニの往復ビンタで迎撃する。
ビョーンベバチチ ババベチベ グニャョウォーン
「いやぁーっ、虹に打たれて、もう虹しか見えない」
腰砕けのサイケ全裸中年はアスファルトに肉で出来た桃と緑の異質な文様を描く。
「ま、参ったか」
俺は吐き捨てる。股間に虹を揺らして。
「ま、参りました。参りましたから、また今度もよろしく」
目の前が真っ暗になり、暗闇に桃と緑の全裸マーブル模様が揺らめく。人生を続けるということは、どういうことなのか判らなくなってきた。