「壊れる心臓」
2006/05/22(月)
2006/06/20(火)
落川春秋
甘い言葉に何かの企みを感じて僕は逃げ出す。
もしかしたら本当に優しくされているのかもしれないと思いながら僕は逃げ出す。
そんなことある訳ないと思いながら僕は逃げる。
落としてきた涙を拾いに戻れるほど人生に余裕はなくて
忘れた振りをしていれば、いつか本当に忘れられると信じていた。
楽しい振りをしていれば、いつか本当に楽しくなると思っていた。
でも、悲しさは僕を忘れなかった。
虚しさは僕に容易に追いついた。
昔の傷を笑って振り返られるほど人生を重ねていなくて
人の優しさを怖がるようになっている僕から逃げる。
僕から逃げて僕は僕に辿り着く。
やり直せない筈の過去なのに何度も何度も辿り着く過去の傷は辿り着く度に生まれ変わる。
僕は逃げる。逃げ続ける。
逃げた数だけ傷付いて、逃げなかった数だけ傷付いた。
造り笑顔
造り物の心臓
造り物の人間
変わらない笑顔
壊れる心臓