「行」
2004/03/12
落川春秋
誰かを好きであるということは
自分を好きであるための方便かも知れず
人を好きになればなるほど自分ばかりを見詰めてる
そんな仕草のあざとさに自分が嫌いになっていく
だから好きな人は誰も居ない
物語さえ冷たい骸を晒し続けて止まってる
動かない物語は登場人物を死なせている
とても静かな虐殺に心は乱れることもなく一緒に殺されている
殺意のない殺人には密やかな楽しみしか見えてこなくて 悲しい
無理やり口にする疑問には何の力も無く 泣くだけ無駄なこと
夢のない夜は只の暗やみ
自分さえも見えない本当の暗やみに心穏やかに潜んでいる
僕は僕を見つけない
僕は僕を探さない
僕を僕は見失う
ほんの一行だけの遺書を残して死んだ人の思い出は単なる一行死