「まんが接待はじめて物語」
1998/04/29 公開開始
落川春秋
第一話「ノーパンしゃぶしゃぶのはじめて」
MOF担 「これぞ接待の王道!? ノーパンしゃぶしゃぶのはじめてだよ」
おねえさん 「ねぇMOF担」
MOF担 「なぁに、おねえさん」
おねえさん 「最近、ワイドショーでよく言ってるノーパンしゃぶしゃぶってどういう所なの。大蔵省の偉い人達がよく接待に連れていかれてるらしいけど」
MOF担 「おねえさん、大蔵官僚に興味があるの?」
おねえさん 「こう見えても、あたしの職場にもたくさん来るのよ。大蔵省の人」
MOF担 「やっぱりああいう人達ってストレス溜まるんだろうね。だからおねえさんの職場とかで抑圧された自己を解放したがるのかな」
おねえさん 「あたしにいじめられることに、そんな難しい理由があった訳?あの人たち」
MOF担 「まぁ、それはそれとして。よーし、それじゃあ二人でノーパンしゃぶしゃぶのはじめてを見にいこうか」
おねえさん 「待ってました」
MOF担 「クルクルパンチノソウカイヤ ヒラヒラトバッチリ MOF担」
おねえさん 「ねぇMOF担、ここはどこ?」
MOF担 「紀元前一万年前の日本、縄文時代だよ」
縄文人 「あぶなーい」
おねえさん 「えっ、なっ何なの」
MOF担 「あっ、マンモスがこっちに来る」
おねえさん 「きゃーっ」
縄文人 「くそっマンモスめ。うおおお、縄文ファイトぅ」
MOF担 「凄い、素足でマンモスを蹴り殺した」
おねえさん 「おかげで助かったわ…。きゃーっ、いやー」
MOF担 「どうしたの?おねえさん」
おねえさん 「縄文人の人、パンツはいてなぁーい」
MOF担 「ははぁ、キックする時に脚を上げたら原始の禍禍しいイチモツが見えちゃったンだね」
ロン毛おじさん「そうなんだ、縄文時代の日本人はまだ、パンツを履いていなかったんだ。これがノーパンのはじめてと言えるかも知れないね」
MOF担 「と、いう訳なんだ。解った?おねえさん」
おねえさん 「わかったから早く次へ行きましょうよ。あの縄文人の人、あたしのこと見ながらシゴキだしちゃってるのよ」
MOF担 「じゃ、次へ行くよ。キョエイチュウ」
縄文人 「うっ」
ロン毛おじさん「どうやら皆、イッちゃったみたいだね」
おねえさん 「あれぇ、MOF担。ここは?」
MOF担 「七世紀前半の日本、飛鳥時代だね」
聖徳太子 「やあ、おねえさん。また、お会いしましたね」
おねえさん 「あ、昔の一万円」
聖徳太子 「一万円じゃなくて一万円紙幣の肖像画のモデルなんですけどねぇ」
おねえさん 「まぁまぁ、細かいこといわずに。久しぶりね、聖徳太子」
MOF担 「そうだね。この番組のパイロットバージョンの『国家権力のはじめて』の回で会ったきりだもんね。それはそれとして歴史上の人物を呼び捨てにしないでよ、おねえさん」
おねえさん 「いいじゃない、知らない仲じゃないんだし。ね、聖徳」
聖徳太子 「摂政の私にタメ口ですか…。まぁ、良いでしょう。人間関係の和が大事ですからね」
おねえさん 「さすが昔の人ね。フラフープ?」
MOF担 「そっちの輪じゃないんだけど…。もう、おねえさんたら馬鹿丸だしなんだから」
おねえさん 「MOF担たら失礼ねぇ。あたし、こう見えても意外と巨乳なのよ」
MOF担 「何のフォローにもなってないよ、おねえさん」
聖徳太子 「…な、なるほど。意外と巨乳…」
MOF担 「あっ、聖徳太子って意外とむっつり助平」
ロン毛おじさん「そうなんだ、聖徳太子は意外とむっつり助平だったんだね」
聖徳太子 「突然、現れて余計なナレーションを入れるんじゃない。私の清純なイメージが崩れるでしょ」
おねえさん 「ところでMOF担、あたしたちノーパンしゃぶしゃぶのはじめてを見に来たんじゃなかったの?」
MOF担 「勿論。実はしゃぶしゃぶと聖徳太子には深い関係があるんだ」
おねえさん 「それって肉体関係?」
聖徳太子 「そうじゃなくて。実は私がしゃぶしゃぶを発明したのです」
おねえさん 「えぇーっ。それ、本当?」
MOF担 「本当だよ。遣隋使が大陸から持ち帰ったチーズフォンデュのレシピを聖徳太子が独自の解釈で野趣溢れる料理に再構築した物が、しゃぶしゃぶなんだ」
聖徳太子 「その通り」
おねえさん 「なんか話が唐突であたしにはよくわからないんだけど」
ロン毛おじさん「そうだね。ここでもう少し、詳しく説明しよう。まず、今から約百八十億年ほど前にビッグバンと呼ばれる…」
MOF担 「ロン毛おじさん、話が遡りすぎだよ」
聖徳太子 「飛鳥時代の日本でビッグバンだの虚数空間だの言われても…。ホーキング博士が宇宙を語っている訳じゃないんだから」
MOF担 「そういう聖徳太子だって大分、飛鳥時代から逸脱した知識体系してますよ」
聖徳太子 「そもそもねぇ、私が生きている時代には『聖徳太子』という呼び名は存在しなかったんですよ。本当は」
ロン毛おじさん「そういう身も蓋もないことを言っちゃぁ、おしまいだね」
MOF担 「そうですよ。そんなことを言い出したらきりがないですよ。大体、聖徳太子の具体的な人物像すらはっきりとは解ってないんですからね」
聖徳太子 「まぁ、そうなんだけど…。あっ、でもはっきり解っていることもあるんです」
MOF担 「何ですか」
聖徳太子 「蘇我馬子と仲が悪かった」
MOF担 「そんなことをここで暴露されてもねぇ」
おねえさん 「あのぉ。しゃぶしゃぶは…」
聖徳太子 「そうそう、しゃぶしゃぶを発明したのが実は私だったという話の途中でしたね。それでは皆さんに聖徳太子風しゃぶしゃぶを御馳走いたしましょう」
おねえさん 「まってました」
MOF担 「おねえさんたら、ただ飯に目がないんだから」
聖徳太子 「いや、ただじゃないですよ」
おねえさん 「えええっ」
MOF担 「おねえさん、そんなあからさまに嫌な顔をしなくても…」
おねえさん 「だってぇー。聖徳ったらセコイんだもん。一万円のくせに」
聖徳太子 「ただでしゃぶしゃぶを食べようとしているおねえさんの方がよっぽどセコイと思いますけど」
おねえさん 「そんなこと言ったってしょうがないじゃない。あたしだって生活、苦しいんだから」
ロン毛おじさん「うん。実はおねえさんは貧乏だったんだ。女王様なのにね」
MOF担 「あれえ、おねえさん。女王様のアルバイト始めてから財政状況が好転したんじゃなかったの」
おねえさん 「最初の内はよかったんだけど…。最近、指名が少ないのよ」
MOF担 「どうして?」
おねえさん 「腰が低いのが女王様らしくないんだって」
聖徳太子 「ま、普段の生活の中で指導者的立場に居る人物というのは他人に頭を下げられることに慣れきっていますからね。そういった怠惰な日常から脱却する為の、言わば精神の切り換えを行なう為の舞台装置としての、言い換えるなら劇場空間としての都市の構造の中で、抽象化された女性の中にある人類の原始的とも言える共通意識に存在する子宮と羊水の印象が、疲弊し憔悴しきった孤独な魂を惹き付けることになっているんでしょうか。そう仮定するのなら絶対的な世界観の中での管理というのも精神の救済の為には必然でしょうね」
おねえさん 「あたしにはそういうむずかしいことはよくわからないんですけど」
MOF担 「所詮、変態の戯言だけど。それにしても、笑点のこん平師匠みたいなこと言わないでよ。おねえさん」
聖徳太子 「チャッラァ〜ン。厩で産まれて新潟で育った…」
MOF担 「何だ?この人」
ロン毛おじさん「いやぁ、聖徳太子は意外とユーモリストだったんだね」
おねえさん 「ねぇ、MOF担、ここにいてもしゃぶしゃぶ食べられそうにないから、さっさと次へ行きましょうよ」
MOF担 「あっ、おねえさん、主役なのに番組に飽きてる」
おねえさん 「だってっえー。お腹空いたぁー」
MOF担 「やれやれ、しょうがないなぁ。じゃっ、行こうか。キョエイチュウ」
聖徳太子 「あのぉ、私の出番はこれで終わりですか」
ロン毛おじさん「そうですよ」
聖徳太子 「まだ、聖徳太子風しゃぶしゃぶを作っていないんですげと…」
ロン毛おじさん「…それって本当にあるんですか?」
聖徳太子 「…」
ロン毛おじさん「…」
おねえさん 「MOF担、ここは」
MOF担 「現代の日本。首都東京の某所とだけ、言っておこうか」
おねえさん 「すごく、いんちきくさいのね。あたし、こういうカエルのタマゴみたいなムードって結構、好き」
MOF担 「言ってることがよく解らないけど、まぁとにかく、ノーパンしゃぶしゃぶのお店は近いよ」
おねえさん 「ついにただでしゃぶしゃぶが食べられるのね」
MOF担 「いや、ただじゃないよ」
おねえさん 「えええええっ」
MOF担 「おねえさん、そんなあからさまにくどい驚き方をしなくても…」
おねえさん 「だってMOF担まで、そんなセコイこと言い出すんだもの」
MOF担 「そう言われても…。最近の金融不祥事の多発で僕の交際費の枠も大分、減らされているんだよ」
おねえさん 「ふうーん。どこも大変なのね」
MOF担 「バブルの頃は名刺を出すだけでツケが効いたのに、今じゃ銀行員なのがバレた途端に『じゃあ即金で』なんて言われるようになっちゃって。友達と雀荘に行っても『おまえ、銀行員だから貸し借りなしの即金な』とか言われるし…。『栄枯盛衰』ってことかな」
おねえさん 「あ、あたしの友だちがそういうタイトルのビデオに出たのよ。『A子聖水』っていうの」
MOF担 「僕の人生をスカトロ・ビデオと一緒にしないでよ」
おねえさん 「スカトロ・ビデオだったの?。友だちは迫真のドキュメンタリーって言ってたけど」
MOF担 「なお嫌だな。あっ、そこの路地を入った所だよ」
おねえさん 「言っとくけど、あたし、お金ないから」
MOF担 「うーん。仕方ないなぁ。よし、それじゃあロン毛おじさんに払って貰おうか」
ロン毛おじさん「唐突に何を言い出すんだい、MOF担」
MOF担 「ロン毛おじさんの登場の方がよっぽど唐突だけど。良いじゃない。三人で仲良くしゃぶしゃぶしようよ」
ロン毛おじさん「自分の分はともかく、何でMOF担やおねえさんの分まで」
MOF担 「そんなこと言っていいの?。これから行くノーパンしゃぶしゃぶのお店は会員制だから僕の紹介がないとロン毛おじさんは中に入れないんだよ」
ロン毛おじさん「そんな…。ここまで来てノーパンにお目にかかれないなんて…。ロン毛おじさん、泣いちゃうから」
MOF担 「還暦過ぎて、そんな下らないことで泣かなくてもいいのに」
ロン毛おじさん「あっ、MOF担冷たい。もう、グレてやる」
おねえさん 「ちょっ、ちょっと。ロン毛おじさん、バタフライナイフなんか振り回さないでよ」
MOF担 「うわっ。危なぁーい」
ロン毛おじさん「ううっ。指、切っちゃった」
MOF担 「言わんこっちゃない」
ロン毛おじさん「自分は不器用ですから」
おねえさん 「生き方じゃなくて、手先が不器用なのは、ひたすらカッコ悪いと思うけど」
ロン毛おじさん「あっ、おねえさんまで冷たい」
おねえさん 「しゃぶしゃぶ、ごちそうしてくれたら、やさしくして『あ・げ・る』」
MOF担 「出た。おねえさんの唯一の処世術」
ロン毛おじさん「うん。ロン毛おじさん、しゃぶしゃぶ御馳走しちゃう」
MOF担 「人生経験豊富な筈なのに、色仕掛けには簡単に引っかかるんだね」
ロン毛おじさん「MOF担、人生経験豊富だからこそ、敢えて正面から敵の罠に飛び込んで行けるんだよ」
MOF担 「それってスケベなだけじゃないの」
ロン毛おじさん「そうとも言うね」
おねえさん 「ねぇ〜ん、ロン毛おじさまぁ〜ン。『は・や・く』」
ロン毛おじさま「いやぁ、あははは。楽しいなぁ、もう。うーん、今夜は盛り上がるぞぉ。さたでぃ・ないと・ふぃぃばぁぁ」
MOF担 「今日は木曜日だよ」
ロン毛おじさま「あれあれ。盛り上がってないぞ、MOF担。人生は楽しまなきゃ。ね、おねえさん」
おねえさん 「ロン毛おじさまの言うとおりよ、MOF担。何たって、『ただ』なんだから」
MOF担 「やれやれ。ま、今日はロン毛おじさんに甘えちゃおうかな。着いたよ、ここがノーパンしゃぶしゃぶのお店『深山幽谷』だよ」
扉の向こう 「どちらさまですか」
MOF担 「僕、MOF担」
扉の向こう 「合言葉をどうぞ」
MOF担 「への四拾八番」
おねえさん 「い、いんちきくさい…」
ロン毛おじさま「よーし。来た来た来たぁ」
おねえさん 「何か、人格変わってるし」
MOF担 「さ、中に入ろう」
アライ 「あれ、MOF担じゃないか。ところで何か良い儲け話、ない?」
MOF担 「あ、アライさん。奇遇ですね」
アライ 「そういう君は相変わらず着ぐるみだねえ。ところで何か良い儲け話、ない?」
MOF担 「いやあ、これは一本、取られましたねぇ。はっはっはっは」
おねえさん 「ロン毛おじさん、今の会話のどこがおもしろいの?」
ロン毛おじさん「今のはね、奇遇と着ぐるみを掛けた駄洒落だったんだよ」
おねえさん 「ふーん。つまり、言った本人しか笑えないオヤジギャグなのね」
ロン毛おじさん「ま、ね。所でMOF担、その人は」
MOF担 「あ、こちら大蔵省のキャリア出身で今は政治家を目指して国会議員秘書として御活躍なされているアライさん。ちなみに実在の人物とは一切、関係ないよ」
アライ 「どうも。ところで何か良い儲け話、ない?」
おねえさん 「それって口癖なの?」
MOF担 「と言うよりは本能的なものらしいよ」
アライ 「いやあ、政治にはお金が掛かるもんでねえ。ところで何か良い儲け話、ない?」
おねえさん 「誰も聞いてない質問に勝手に答えてるけど…」
ロン毛おじさん「しかも暗に金銭を要求してないかな?」
MOF担 「こういう会話は僕等の世界では常識だけど。ね、アライさん」
アライ 「私は政治にはお金が掛かると言っただけですよ。ね、MOF担。ところで何か良い儲け話、ない?」
ロン毛おじさん「現代社会の構造的腐敗だなあ」
おねえさん 「そんなことより、早くしゃぶしゃぶしましょうよ」
アライ 「じゃ、ついでに僕もご馳走になろうかな。ところで何か良い儲け話、ない?」
ロン毛おじさん「へっ」
MOF担 「そういうことでしたら、おまかせください。おねえさんやロン毛おじさんと違ってアライさんでしたら私も喜んでおもてなしさせていただきます。でも、アライさんはどうしてここにいらっしゃるんですか」
アライ 「いやあ、ウチの先生が銀行の人と、ここで待ち合わせしてたんだけど、先生が土壇場になってキャンセルするもんだから僕が銀行の人に謝りに来たんだよ。ところで何か良い儲け話、ない?」
MOF担 「ははあ、なるほど。で、先生は何か急用で?」
アライ 「いや、ちょっとね。愛人の家でSMプレイをしてる最中に腹上死しちゃって。ところで何か良い儲け話、ない?」
MOF担 「そんな変態な…。いや、大変な時にこんな所でノーパンしゃぶしゃぶしてて良いんですか」
アライ 「大丈夫だよ。マスコミには遺体を愛人宅から移した後で病死って発表するから。今、変に騒ぐと腹上死がバレちゃうから、今日のところは普段通り行動しないと…。ところで何か良い儲け話、ない?」
おねえさん 「普段通りの行動がノーパンしゃぶしゃぶなの?」
ロン毛おじさん「許せん」
おねえさん 「あ、ひょっとして正義の怒り?」
MOF担 「公憤ってやつだね」
ロン毛おじさん「普段からノーパンしゃぶしゃぶだなんて。それも人の奢りで。きぃーっ、うらやましぃ」
MOF担 「そう、興奮しないでよ」
おねえさん 「ロン毛おじさんって、いつの間にかバカな庶民の代表になってるわね」
MOF担 「おねえさんに『バカな庶民』なんて言われたら、もうおしまいだね」
ロン毛おじさん「いいんだ、いいんだ。そうやって皆で馬鹿にしてればいいんだ。今に見てろよ、ロン毛おじさんは大器晩成型なんだから」
MOF担 「還暦過ぎてから、そんなこと言ってもねえ」
アライ 「ところで何か良い儲け話、ない?」
おねえさん 「無意味に会話に入ってきてるし」
MOF担 「政治家って、そういうものらしいよ」
アライ 「はっはっは。ま、そんな訳でこの度はまことに遺憾で善処が国民の声にみそぎは済んだから、しゃぶしゃぶでもご馳走になろうかな。ところで何か良い儲け話、ない?」
ロン毛おじさん「MOF担、アライさんの分はMOF担が払ってくれるんだろうね」
MOF担 「そりゃあ、そうですよ。ここで交際費を使って豪遊しなかったら僕が仕事してないと思われちゃうからね」
おねえさん 「いいなあ、MOF担。遊ぶのが仕事で」
MOF担 「何を言うんだい、おねえさん。僕が遊んでるわけじゃないんだよ。僕は他人の遊びに付き合ってるだけなんだからね。本当は結構、辛いんだよ。いきなり子供の認知を迫られたりとかして」
おねえさん 「それはMOF担のせいじゃないの?」
MOF担 「自業自得なのかなぁ」
おねえさん 「あたしの友達がそういうタイトルのビデオに出た…」
MOF担 「そのネタはもう、いいよ」
アライ 「お、来た来た。さぁ、遂にお待ちかねのしゃぶしゃぶがやってきましたよ。ところで何か良い儲け話、ない?」
ロン毛おじさん「いつの間にか仕切ってるけど…」
おねえさん 「まさに政治家って感じね」
MOF担 「出世して部下は増えても、友達は減っていくタイプだね」
おねえさん 「ああ、やっと夢にまで見たしゃぶしゃぶが食べられるのね。ただで」
ロン毛おじさん「しゃぶしゃぶは来たけど…。肝心要のノーパンは?」
アライ 「それはこれからの、オ・タ・ノ・シ・ミ。まずはビールで咽を潤して下さいよ、ロン毛おじさん。ところで何か良い儲け話、ない?」
ロン毛おじさん「ずうずうしいだけかと思ったら、案外細かい所にも気が付くんだね」
MOF担 「僕以上の幇間体質だなぁ」
おねえさん 「連続婦女幇間魔。あはは」
MOF担 「おねえさん、もう酔ってるね」
おねえさん 「ただ酒は回りが早いの」
ロン毛おじさん「ささ、アライさんもお一つどうぞ」
アライ 「いや、どうも、どうも。いやぁ、ただ酒は美味い。ところで何か良い儲け話、ない?」
おねえさん 「むぐむぐ…。お肉、お肉」
MOF担 「おねえさん…野獣のようだね。野菜も食べなよ」
ロン毛おじさん「そういえばノーパンしゃぶしゃぶって、ビールを注文するとノーパンの女性が現れて、天井のノズルからビールを注ぐ時に何かが起こるというシステムじゃなかったっけ」
MOF担 「よくぞ言ってくれたね、ロン毛おじさん。そう、今、ロン毛おじさんが無駄に爽やかな声で語ったシステムが普通のノーパンしゃぶしゃぶ。しかし、このMOF担が贔屓にしているこの店はそんな平凡なありふれたシステムではないんですよ」
おねえさん 「何で得意気なの?」
ロン毛おじさん「そもそも、ノーパンしゃぶしゃぶ自体が平凡なありふれたシステムじゃないと思うけど」
MOF担 「この店はコスプレ・ノーパンしゃぶしゃぶなんですよ」
ロン毛おじさん「ええええーっ」
おねえさん 「驚くような驚きかたしないでよ。目だけ残して体が飛び出すかと思ったじゃない」
ロン毛おじさん「だってコスプレ・ノーパンしゃぶしゃぶだなんて。まさに永遠の夢に一歩、近付いたって感じなんだもん」
おねえさん 「なんだもんって言われても。よくわかんないけどスゴイ『永遠の夢』の持ち主なのね、ロン毛おじさんて」
ロン毛おじさん「夢を追い続ける、永遠の美少年と呼んでよ」
MOF担 「いくら温和な僕でも仕舞には殺すよ」
アライ 「おいおい『殺す』なんて穏やかじゃないなぁ。『心の教育』が大事だね、やっぱり。ところで何か良い儲け話、ない?」
ロン毛おじさん「アライさんは教育問題にも関心がおありで?」
アライ 「いや、今のはちょっと言ってみただけ。大体、教育問題なんて面倒な割にお金にならないから。ところで何か良い儲け話、ない?」
おねえさん 「むぐむぐ…。お肉、お肉」
MOF担 「おねえさん…少しは話に加わったら。それと野菜も食べたほうが良いよ」
おねえさん 「たまにはお肉ばっかり食べたっていいじゃない。あたし、普段はベジタリアンなんだから」
MOF担 「それって、ただ単に貧乏なだけなんじゃないの」
おねえさん 「失礼ねぇ。特売のキャベツとシャケ缶を買いこみすぎちゃったから、この一週間ずうっとキャベツと鮭のスープをおかずにひたすら実家から送ってもらった白米を食べてるだけじゃない。決して貧乏じゃないのよ」
MOF担 「それって貧乏だと思うけど。大体、鮭を食べてたらベジタリアンとは言えないよ」
おねえさん 「じゃあ、あたしってバタリアンとかいうジャンルの人な訳?」
MOF担 「…もっと良い物を食べて、少しは脳にも栄養を回したほうが良いみたいだね」
おねえさん 「じゃ、お肉いっぱい食べても良いのね。それもただで」
MOF担 「眼が。眼が。輝いている…」
アライ 「皆、盛り上がってきてるみたいだし、そろそろ呼ぼうか、MOF担。ところで何か良い儲け話、ない?」
MOF担 「そうですね。そろそろ呼びましょうか」
ロン毛おじさん「呼ぶって、まさか。遂にノーパンを」
MOF担 「そう、ロン毛おじさんお待ちかねのノーパンです」
ロン毛おじさん「ううっ。苦節六十年、遂に。遂に、この時が」
MOF担 「ロン毛おじさん、生まれた時から待ってた訳?」
おねえさん 「スゴイ執念ね。むぐむぐ…。お肉、お肉」
MOF担 「おねえさんの肉に対する執念も凄いけどね」
アライ 「おーい、女将、いつもの頼むよ。ところで何か良い儲け話、ないかーい?」
MOF担 「あっ、自分だけいつものコスプレ・ノーパンを指名してる」
ロン毛おじさん「何だって。くそー。こうなったらロン毛おじさんも御指名しちゃうぞぉ。えーと、えーと、良し。鉄道弘済会で天津甘栗売ってる若くて苦労人のちょっと手が荒れてる痩せぎすの女性だ」
MOF担 「ロン毛おじさん、マニアック過ぎるよ。いくら鉄道マニアだからって、それはないんじゃない」
おねえさん 「ふぅーん。ロン毛おじさんって夜も『鉄ちゃん』だったのね」
ロン毛おじさん「人の趣味にけちを付けないでよ。ねぇ、頼むよ、MOF担。呼んでよ、鉄道弘済会で天津甘栗売ってる若くて苦労人のちょっと手が荒れてる痩せぎすの女の人」
MOF担 「だから、そんなマニアックな人は居ないって。もう少し、普通のコスプレ・ノーパンにしてよ」
ロン毛おじさん「普通のコスプレ・ノーパンって言われても…」
おねえさん 「初めてだからわかんないのね、ロン毛おじさん」
ロン毛おじさん「うん。初体験の時も違う穴に入れちゃって変態呼ばわりされちゃったんだよね」
MOF担 「誰も、ロン毛おじさんの『青い体験』についてなんか聞いてないよ」
アライ 「ちなみに僕は高校時代に野球部の先輩とね。ところで何か良い儲け話、ない?」
MOF担 「それって女子マネージャーと?」
アライ 「いや、違うよ。ところで何か良い儲け話、ない?」
おねえさん 「みんな、よくそんなこと、こんな所で話せるわね。あたしなんかウブだから、とても言えないわ。小学生のときに近所の高校生にいたずらされたことなんて」
MOF担 「おねえさん、言ってる、言ってる」
おねえさん 「やだ、ついうっかり。今のはここだけの秘密よ。このことを知ってるのは、あたしの家族と友達と親戚と近所の人くらいなんだから」
MOF担 「それ、秘密になってないよ」
ロン毛おじさん「そういうMOF担は、どうなの」
MOF担 「やだなぁ、ロン毛おじさん。僕は清純派なんだよ。そういうことはプロの女性としかしたことないよ」
おねえさん 「MOF担って素人童貞なのよね」
MOF担 「いやぁ、照れるなぁ。ははは」
ロン毛おじさん「確かに恥ずかしいことではあるね」
アライ 「あっ、来た来た。僕が頼んだ、ゴム手袋をして尿瓶と浣腸を持った注射の下手な頭の悪いグラマーなハーフの准看護婦。ところで何か良い儲け話、ない?」
ロン毛おじさん「アライさんの方が僕よりもマニアックじゃないか、MOF担」
MOF担 「これはここじゃ、普通だけど」
おねえさん 「それより、お肉の追加頼むわ」
MOF担 「はいはい」
ロン毛おじさん「だからさ、MOF担。鉄道弘済会で天津甘栗売ってる若くて苦労人のちょっと手が荒れてる痩せぎすの女の人なんだよ」
おねえさん 「MOF担、お肉」
アライ 「ところで何か良い儲け話、ない?」
MOF担 「皆、いい加減にしてよ。いくら僕が接待が仕事のMOF担だからってそんなに次から次へと。僕は奴隷じゃないんだ」
おねえさん 「MOF担…。ごめんね、MOF担。あたしったらMOF担の気持ちも考えずに勝手なことばかり言って。MOF担のその、ゴム手袋をして尿瓶と浣腸を持った注射の下手な頭の悪いグラマーなハーフの准看護婦のノーパンをじっくり見たい気持ち、あたしにもなんとなくわかるわ」
MOF担 「そういう気持ちとは違うんだけど」
おねえさん 「じゃあ、見たくないの、ノーパン」
MOF担 「…」
ロン毛おじさん「おおお、これが。ゴム手袋をして尿瓶と浣腸を持った注射の下手な頭の悪いグラマーなハーフの准看護婦のノーパン」
アライ 「うーむ。いつもながら見事だ。ところで何か良い儲け話、ない?」
MOF担 「な、なるほど。こうなってるのか」
おねえさん 「三人揃って地を這うようにしゃぶしゃぶ食べなくてもいいと思うけど」
MOF担 「一人だけ冷静なのやめてくれる?」
おねえさん 「だって、あたし、女の人のノーパンになんか興味ないもの」
MOF担 「僕はあんまり気が進まないんだけど、おねえさんの為に男の人を呼ぼうか?」
ロン毛おじさん「やだなぁ、それ」
アライ 「僕は黄色いヘルメットとサングラスが好く似合う、角材を持った太めの現場作業員の中年男性だったら何でもいいや。ところで何か良い儲け話、ない?」
MOF担 「えらく細かい指定してますけど」
おねえさん 「あたしは、たくましい人がいいわ。長くて太いの」
MOF担 「えらく細かい部分の指定してるけど」
アライ 「フッフッフッ。それなら僕の出番だね。ところで何か良い儲け話、ない?」
MOF担 「ま、まさか」
アライ 「そう、人呼んで『永田町の鋼鉄のふ菓子』とは僕のことさ。ところで何か良い儲け話、ない?」
MOF担 「あまり格好良い異名じゃないですよ」
おねえさん 「アライさんたら、そうだったの。あたし、てっきりロン毛おじさん並みのお粗末なモノだとばかり思ってた」
ロン毛おじさん「何てこと言うんだい、おねえさん。今まで数多の女性をヒィーヒィー言わせてきたロン毛おじさんのイチモツをお粗末だなんて。失礼な」
MOF担 「ロン毛おじさんて、そんなに女性にモテたんですか?」
おねえさん 「案外、女泣かせだったのね」
ロン毛おじさん「そう、女泣かせだったんだよ。若い頃は嫌がる女性を無理やり押し倒して次から次へと泣かせたもんさ」
MOF担 「それじゃ、強姦魔だよ」
アライ 「はっはっはっ。これでも食らえ。ところで何か良い儲け話、ない?」
おねえさん 「あっ、アライさん、脱いでる」
ロン毛おじさん「ううっ。男のノーパンなんか嫌だぁ」
MOF担 「鋼鉄のふ菓子って言うより、『鋼鉄の串団子』って感じだけど」
おねえさん 「あれは絶対、プロテイン注入とシリコン・ボールの埋め込みね。他の人はともかく、プロのあたしの眼はごまかせないんだから」
MOF担 「それって何のプロなの?おねえさん」
おねえさん 「職業柄、色んなモノを見てるのよ」
MOF担 「凄い職業だな」
アライ 「さぁ、ゴム手袋をして尿瓶と浣腸を持った注射の下手な頭の悪いグラマーなハーフの准看護婦のノーパンのお嬢さん、フリチンの僕と踊りませんか。ちなみに僕は大蔵省のキャリア出身で今は政治家を目指して国会議員秘書として活躍していて、次の衆院選で愛人の家で腹上死した先生の後継者として当選して国会議員となる偉い人物なんだよ。ところで何か良い儲け話、ない?」
ロン毛おじさん「聞いてもいないことを長々と…。こういうタイプは嫌われるんだよね」
MOF担 「しかも先生が腹上死したのを喜んでない?」
おねえさん 「訃報は寝て待てってやつね」
MOF担 「…」
准看護婦 「アライさんたら、まぁ豪華。ぜひ、あたしと踊ってください。ついでにチップもお願い」
MOF担 「アライさんたら、モテモテだね。ロン毛おじさん」
ロン毛おじさん「くそぅ。世の中、何か間違っている。こうなったらロン毛おじさんにも考えがある」
MOF担 「考えって?」
ロン毛おじさん「ロン毛おじさんもノーパンになってやる」
おねえさん 「待ってました。ロン毛おじさん」
ロン毛おじさん「見よ、ロン毛おじさんの年季の入った仮性包茎を」
おねえさん 「うわぁ、腐ったバナナみたい。皮を剥いたら真っ黒」
MOF担 「…確かに世の中、何か間違っている」
おねえさん 「アライさんもロン毛おじさんも素敵よぉ」
MOF担 「ちょっと、ちょっと、おねえさん。おねえさん、縄文人のイチモツの時は嫌がってなかった?」
おねえさん 「あたし、お酒が入ると人間が解放的になるのよ」
MOF担 「単に馬脚を現わしただけのような気もするけど」
おねえさん 「えっ、しゃぶしゃぶだけじゃなくて馬刺しもあるの?」
MOF担 「ああ、僕は何でこの人と付き合ってるんだろう」
おねえさん 「体目当てでしょ?」
MOF担 「少なくとも財産目当てではないよ」
ノーパン女2 「どうもぉ、淫乱で三十路過ぎの赤字国内線に搭乗しているノーパンの荒くれスチュワーデスでーす」
ノーパン女3 「十三歳なのになぜか婦警の格好をしてる実家が貧乏な汗臭い体育会系ノーパン中学生です」
ノーパン女4 「還暦を迎えた超グラマーのノーパン水着モデルです。高い体脂肪率が自慢です」
ロン毛おじさん「何か、ゾロゾロ出てきたけど」
MOF担 「これって全員、アライさんのご指名?」
アライ 「モチロン。ところで何か良い儲け話、ない?」
ノーパン女達 「五人揃って、ノーパンしゃぶしゃぶ戦隊『ノーランズ』よーん」
おねえさん 「何なの、『ノーランズ』って?」
アライ 「ノー・ランジェリーの略ですよ。ところで何か良い儲け話、ない?」
MOF担 「ノーランズって『NORAD』と語呂が似てるな」
ロン毛おじさん「NORADとは北米防空司令部の略称で1957年にアメリカとキャナダの両国が共同で創設した…」
MOF担 「ダジャレの解説にそんなに力を入れなくても…。そういえば『解説』と『解脱』って字面が似てるよね」
ロン毛おじさん「解脱というのは現世の苦悩から解放されて…」
おねえさん 「解放されてるのは下半身でしょ、ロン毛おじさん」
MOF担 「苦悩じゃなくて陰嚢だよね」
ロン毛おじさん「シワシワのパー」
MOF担 「駄目だ、この人」
アライ 「さぁ、皆。下半身丸出しで輪になって踊ろう。ところで何か良い儲け話、ない?」
MOF担 「駄目だ、この人も」
おねえさん 「ここに居る人でノーパンじゃないのって、あたしとMOF担だけみたいだけど、あたし達もノーパンになったほうがいいのかしら」
MOF担 「ええっ。僕は嫌だよ。こう見えても僕は紳士なんだからね」
おねえさん 「MOF担はどう見ても縫いぐるみだけど」
MOF担 「今更、そんなこと言われても…」
おねえさん 「そう言えば、あたし達ってノーパンしゃぶしゃぶのはじめてを調べようとしてなかったっけ?」
MOF担 「今更、そんなこと言われても…」
おねえさん 「それもそうね。ま、今夜は楽しみましょ」
MOF担 「ねえ、おねえさん、ここを出て二人でどこか行かない?二人っきりの熱い夜を過ごそうよ」
おねえさん 「悪いけどあたし、MOF担のこと、男として意識してないから」
MOF担 「そんな、じゃあ僕のこと、何だと思ってたの」
おねえさん 「縫いぐるみ」
MOF担 「見たまんまだよ、おねえさん」
「まんが接待はじめて物語」第一話完。多分、第二話は無い。