Insider Trading
   
ここでは、the Duelistに掲載されていたInsier Tradingの翻訳をやっています。内容的には、Magicのエキスパンションやカードがどうやって作られたかを解説しています。製作秘話ってやつですね。どんどんエキスパンションが出るMagicですから、すぐに時代おくれの話題ばかりになってしまうのが痛いところ(笑)。

 

    You Asked for It!
   
  幾つか前の号で我々は読者の皆さんにアンケートに答えてくださるよう頼みました。第五版で再会したいカード並びに二度と見たくないカードについてです。我々がちゃんとアンケートを見ていて、考慮しているんだよということを示すために、あなたがた、すなわち読者の皆さんが第五版に入れないよう頼んだカード・ベスト5を公開したいと思います。ドラムロール、スタート!

第5位 Bronze Tablet
第4位 Black Vise
第3位 Channel
第2位 Cyclopean Mummy ←これに関しては、今でも我は々頭をかきむしります
第1位 Mind Twist

私は、R&Dがこれらの5つのカードを第五版で取り除けたことを発表するのを、大変光栄に思います。来たる3月より、あなたはもう二度とCyclopean Mummyウイニーデッキと遭遇することはなくなったのです!

訳者の個人的感想:やはり、要点はなぜCyclopean Mummy? という点に尽きるでしょう。
他の4点は制限(禁止)カードだったり、使う機会のないアンティカードだったりで理解できるのですが…。弱いカード、という意味ではErosionでも何でもいいではないですか! 膨大な組織票が投じられたのは間違いありませんが、私にはそこまでよい意味でも悪い意味でも、Cyclopean Mummyに思い入れはありません。所詮コモンですしねえ。しかし、組織票といったって、何故わざわざ? アメリカ人に何故そこまでCyclopean Mummyに含むところがあるのか理解できません。このカードがここまで嫌われたか理由を御存知の方、ご一報お待ちしております…。

   
   
    Say What?
   
 

Special Vocabulary
どんな職業にもあるように、Magicのデザインとディベロップメントは特殊な単語を必要としてる。私たちがいつも使ってる俗語の幾つかを教えたら結構面白いんじゃないかなと思う。

Alpha Strike
(アルファストライク)
攻撃した翌ターンはアンタップしないこと。バトルテックTCGの同じような意味の単語からつけられた。
「Lead Golemはアルファストライクだ」。
Ba-roken!
(バ・ロックン)
ちょっと強すぎるのではないかと考えられてるMagicのカードのこと。
「Library of Alexadriaはバ・ロックンだ!」
Cantrip
(キャントリップ)
唱えられた瞬間か、次のターンの始めに一枚引かせてくれるカードのこと。
「もう一枚キャントリップをデッキに入れるよ」
In Micro
(イン・ミクロ)
すごく複雑で、たくさん記述が必要なため、一番小さなフォントを使わなくてはいけないようなカード。
「俺だけかもしれないけど、コモンでイン・ミクロって本当に良いの?」
Interesting
(インタレスティング)
より強い(より面白い・より興味深い)。
「だけど、キャスティングコストを2下げれば、インタレスティングになるね」
Over the Curve
(オーバー・ザ・カーブ)
キャスティングコストの割に強すぎるクリーチャーのこと。
「Serra Angelは絶対にオーバー・ザ・カーブだ!」
Pitch Card
(ピッチカード)
カードを捨てることにより、使用可能な呪文のこと。
「Force of Willは最強のピッチカードだ!」
Put It the "Extra Pulled" File
(エキストラ・プルドに入れちまえ)
カードのアイディアを却下すること。没になったアイディアを入れるファイルからつけられた。
「コインを振り直すキャントリップのカードだって? エキストラ・プルドに入れちまえ」
Run It by Tom
(トムにやらせな)
混乱やルールの問題を起こしがちな、問題のカード。
「Ice Cauldronに関してはよくわからん。トムにやらせな」
Sub-optimal
(サブ・オプティマル)
もっと強くなるよう望まれた、問題のある、状況やカードのこと。
「Sorrow's Pathはサブ・オプティマルだ」
Super-high Flier
(超高層飛行クリーチャー)
他の飛行クリーチャーしかブロック出来ない、飛行クリーチャーのこと。
「Cloud Elementalは典型的な超高層飛行クリーチャーだ」
Vanilla Creature
(バニラ・クリーチャー)
フレーバーテキスト以外に、何も記述のないクリーチャーのこと。
「Grizzly Bearsを入れようぜ。このセットにももう少しバニラ・クリーチャーが必要だろう」
   
   
    Making Magic
   
  今回は、ちょっと前に戻って、テンペストにおいて、どうやってカードがデザインされたかを見て行こうと思います。

Duplicity
二通りの使い方が出来るカードがずっと私は好きでした。最終的に、「能動的」な手札、「受動的」な手札というアイディアに到達しました。プレイヤーはアップキープごとに、そのターン、ふたつのどちらの手札を使うか選択でき、選ばれなかった方は休眠状態になるというわけです。テストプレイ後に私は、何らかのマイナス面を与えないと、カードアドバンテージが大きすぎて、マズイと気付きました。そのため、私はゆっくりと余分なカードを奪い去られる効果を足したのです。

Scargnoth
私は、Magicの二つの面にいつも惹かれてきました。つまり、色間のバランスとほとんどどんなルールも打ち破る能力です。いつも私が破りたいと思っていたルールの一つに、全ての呪文はカウンターされうるという点がありました。ゲーム中の、それ以外の全ての点には、矛盾させるようなカードがあるのに、なぜカウンターだけ? 色は明らかに、青の敵である赤と緑でした。最初の打ち消されない呪文への試みは、Kaervek's Torchでした。しかし、カウンターされづらいとはいえ、青の魔法によりいまだ止めることが出来ました。しかし、テンペストで究極のカウンターされないカードを作るチャンスが与えられました。緑のクリーチャーで、青には抵抗できない存在です。傷に塩を塗り込むため、青へのプロテクションを加え、場に一度現れたら、青に対しては無敵のScargnothが誕生しました。

Interdict
Rustは面白いアイディアでしたが、あまりにも弱すぎて、誰にもプレイされませんでした。Interdictは強いRustを作ろう、という試みで、あらゆる効果の発動を止め、キャントリップも与えられました。 (訳注:Rust(LE-U2、Interrupt、G)Counter target artifact effect, which must require an activation cost.…確かに弱いですね(^^;)

Jinxed Idol
私は「ホットポテト」と呼ばれるカードを作りたいと思ってました。マイナスの効果を持つカードで、プレイヤーの間を行ったり来たりするような奴です。私は、マイナスの効果を単純に、ダメージを与えることにし、クリーチャーの生け贄をカードの交換条件としました。こうすれば、クリーチャーレスのデッキへの面白い対抗カードになるからです。

Spirit Mirror
これは、エンチャントメントのように扱われるクリーチャーカードが欲しいと思っていたので、作られました。目的達成のため、クリーチャーを生み出し、もしも破壊されたらターンごとにもう一度生み出すというエンチャントメントになりました。Control Magicなどを使われた時に為、そのクリーチャーを破壊する能力を付け加えられました。

Grindstone
Millstoneのバリエーションとして、ある一定条件の下、効果が何度も発揮されるカードを作りたいと思いました。また、私はアライアンスのPhyrexian Devourerがデッキの一番上のカードをランダム要素として使っていたのが気に入ってました。これらの二つの要素を組み合わせ、Grindstoneが生まれたのです。条件に、カードの色を使い、単色デッキに対してアーティファクトがより効果的になるようにしました。

Humility
これは私がすべてを羊にするようなカードを欲しいと思ったから作られました(もともとは"羊の世界"という名前でした)。カードの機能はそのまま残りましたが、雰囲気は消えてしまいました。

   
   
    Top Ten Secrets
   
  Behind Tempest Card Names
10位 Aluren シソーラス(類義語・反義語などの語彙索引)を調べていて、発見しました。英語の古語で、「楽園」を意味する言葉から。
9位 No Quatrter 軍隊用語で、「降伏しない」という意味。
8位 Vhati il-Dal セットのコードネームである、"Bogavhati"から。
7位 Orim, Samite Healer このウェザーライトの治療師は本来はかなりマイナーなキャラクターでした。名前に困っていたところ、ウェザーライト・サーガの共同執筆者である、Michael Ryanは私のあだ名であるMaroを逆さまにしました。それから、発音しやすくするため、"a"を"i"に変えたのです。
6位 Mogg Squad "The Mod Squad"という60年代の劇から取られました。3人の警官がヒッピーのふりをするというもの(訳注;Hypnotic Specterのことではありません…)。イラストやフレーバーテキストはこれを反映しています。
5位 Krakilin 元々はクリーチャーボールと呼ばれていました。このままでは上手くいかないと分かり、"Kralikin"とつけたのです。しかし、みんな"Krakilin"と呼び続けました(恐らくは、カラス麦のふすま飼料と関係があると思われます)。そこで、名前を変えたのです。
4位 Death Pits of Rath 酷い場所に聞こえるようしたかった。MichaelはDeath Pitというアイディアを思い付き、この世界を支配する、VolrathからRathを取ってつけました。名前が引っかかり、結局Plane(プレーン)の名前としました。
3位 Eldamri, Lord of Leaves このキャラクターは、Michaelの母、Irmaと彼の継父であるDaleへの賛辞としてつけられました(関係のある話としては、Soltari PriestであるLynaは私の母である、Lynneからつけられました)。
2位 Emmessi Tome JayemdaeやJalum Tomesの様に、この本もR&Dのメンバーからつけられました。今回はテンペストのデザイナーであり、ディベロッパーであるMichael Scott Elliotのイニシャルを意味してます。
1位 Squee's Toy Squeeのお気に入りのアーティファクトの話になった時、このギャグを思い付きました。もしも意味が分からなかったら、大声で名前を叫んでください。
訳注:大声で叫んだけど、私には未だに意味が分からない…
   
   
    Top Ten Things We Try to Put in Every Set
   
  Tempest got ten out of ten...
10位 最低でも、洒落の入った名前のカード(Apes of Rath)
9位 過去のMagicのカードと関係のある名前のカード(Medallion――Moxをにおわせている)
8位 コインを放るカード(Wild Wurm)
7位 7/7か、それ以上のクリーチャー(Verdant Force)
6位 基本セットに入れることの出来る、古いカードをキレイにしたもの
(Reckless Spite――Ash to Ashから)
5位 レアで、辞書を引かせるカード名(Aluren)
4位 ラットの召喚(Rats of Rath)
3位 最低でも、能力と名前にそくした、各色にある、5枚のカードのセット(SliverとLicid)
2位 シーンに関係ない、内輪ネタ(Vhati il-Dalはセットのコードネームだった、Bogavhatiからつけられた)
1位 4文字からなる、一つの単語で構成されたフレイバーテキスト(Jinxed IdolのHere)
   
   
    I Like Spikes
   
  カードについて話し合ってきたわけですだが、今度はどうやってメカニックが作られるか見て行きましょう。テンペストがデザイナーの中で漠然としたものでしかなかった頃、わたしはある特殊な種族について考えていました。それは可変式のパワーとタフネスを持ち、しかも同族間でそれを交換出来るというものでした。最初の「アメーバ人間」(のちにテンペストでスパイクとして知られることになる)はこんな感じでした。

バージョン1

アメーバgrunt 3緑緑
アメーバの召喚 0/0

アメーバgruntは+1/+1カウンターを4つ持って場に出る。
1:+1/+1カウンターを対象のアメーバに移す。

この最初のバージョンは、0/0で+1/+1カウンターによって肉付けされた、カウンターを他のアメーバに乗せる能力を持つクリーチャーというものでした。この能力は意図的にタップを必要としないものになりました。こうすればアメーバがタップしていようとしていなかろうと好きな時に能力を使えるからです。これらの要素はカードが改良される中ずっと残りましたが、それでもまだ一つの大きな問題点がありました。すなわち、アメーバの能力は場に他のアメーバがいる時のみ役に立つというものです。このままでは新たなDwarven Ponyを生み出しかねない――われわれはさらに改良を加えることにしました。

バージョン2

アメーバgrunt 3緑緑
アメーバの召喚 0/0

アメーバgruntは+1/+1カウンターを4つ持って場に出る。
3:+1/+1カウンターをクリーチャーに移す。
1:+1/+1カウンターをアメーバに移す。

この新しいバージョンはアメーバの役に立つ能力をどんなクリーチャにも対応出来るようにしました。その一方、元々の能力もそのまま残し、他にアメーバがいる時に大きなメリットを受けられるようにしました。しかし、このバージョンでプレイしたところ、この二番目の能力はそれでもまだ用途が狭すぎると気付きました。これにより、われわれに次のバージョンを作らせました。

バージョン3

アメーバgrunt 3緑緑
アメーバの召喚 0/0

アメーバgruntは+1/+1カウンターを4つ持って場に出る。
2:+1/+1カウンターをクリーチャーに移す。

特化した能力が無くてもアメーバは未だに近しい関係と言えます。何故ならアメーバ同士ならば、ゲームを通して必要に応じて+1/+1カウンターを互いに移しあえるからです。そしてまた、我々はカウンター移動のコストを下げることにしました。こうすればもっと使いやすくなるでしょう。
ひとたびこの基本となる能力を決定すると、アメーバの存在意義を拡大するための最も明らかな選択肢は+1/+1カウンターに別の使い道を与えることでした。アメーバは緑にしたかったので、カウンターをサクリファイスすることによって得られるアメーバが行ないそうな効果についてブレインストーミングをしました。その結果がライフ獲得、クリーチャー生成、クリーチャーのパンプなどです。当初これらの能力はカウンターをサクリファイスするだけでよいということになっていました。しかし、実際にプレイしてみるとこれらの能力のうちの幾つかはマナをコストに加えないことには強すぎてしまうことが判明しました。
最終的にディベロップメントグループは、テンペストには新しい能力が多すぎるので、アメーバ(現在ではスパイク)を延期することにしました。幸いなことに、スパイクドローンはテンペストに入ることになりました。次に何が来るかを、少しだけ匂わせることに成功したのです。