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今している仕事の中で、一番楽しいのが「絵本の読み聞かせ」である。
2年前に新しい職場に変わった。
0からのスタートで、「人の前で、教育について何か有意義なことをしゃべる」ことが私の仕事になった。
はてさて何をやったらいいのか途方にくれる毎日だった。
その職場には30人ほど、以前からこの仕事をやっている人たちがいる。
先輩は何も教えてくれるわけではない。
プロの将棋の弟子入りと似ている。
自分で努力する以外にない。
シンガー・ソングライターの噺家版。
しゃべるネタを自分で考えて、自分が話す。
話し方もうまくなければいけない。
人気があれば、全国から声がかかる。
人気がなければ声もかからず、毎日を悶々として過ごさねばならない。
その人気度合いが、報酬に反映される。
定年を前にして、何とも厳しい職場に配属されたものだ。
やろうとすることがほとんどすでに誰かがやっている。
名人芸にまで達している人もいる。
悩んでいる私に、私のことを何もわかっていない堺市の人から声がかかった。
話す時間は90分。
対象は幼児から小学校低学年の子どもたちとその保護者。
「困った困った、そんなものできないぞ」と思ったが、毎日仕事がなくて悶々としていても仕方がないので、とにかく引き受けることにした。
教科書から問題を作ってみて、その合い間に面白くもない「教育の話」をすることにした。
でもこれではとても90分はもたない。
そこで話の最初と最後に「絵本の読み聞かせ」を入れることにした。
東京の職場には何百冊もの本の読み聞かせや、紙芝居をできる名人が2人もいる。
幸いなことに大阪にはいない。
まして大阪弁でとなると、東京の彼らには無理。
「よっしゃこれや」と思ってとりあえず2冊の絵本を選ぶ。
「かいけつウンコの助」と「じごくのそうべい」。
堺では、話の内容はそっちのけで、この「読み聞かせ」が受けた。
何とか仕事の実績ができた。
でもこれから「読み聞かせ」を仕事にしていこうと思えば、2冊だけでは仕事にならない。
それからコツコツと始まった本選び。
選んだ後には、妻に客になってもらって練習。
妻からの遠慮会釈のない厳しい指摘。
何回も何回も読み込んでから、子どものたちの前で実践。
何回かやっているうちに「絵本の読み聞かせ」だけでも声がかかるようになった。
やっている時は何だか、落語家か漫才師あるいは紙芝居屋になった気分。
子どもたちだけでなく、大人も熱中してくれる。
今では大阪市の淀川図書館で月1回、定期の「お話会」の仲間に加えてもらえるようになった。
住んでいる近くの小学校からも声がかかるようになった。
仲間にはプロの落語家の笑福亭OOもいる。
仕事でこんなに楽しいことができるなんて、社会人になってから初めての経験といってよい。
子どもたちに受ける本で、私も楽しめる本がようやく20冊くらいになった。
とにかくやっている時は、聞いてくれている人たちよりも、やっている自分の方が楽しい。
「読み聞かせを聞いてくれた子どもが読書好きになってくれたら」と思えるようになった。
この仕事は定年後もボランティアとしてすることができる。
自分のボケ防止にもなる。
今はまだ将棋の世界で言えば、アマチュアの5級程度。
プロにはとてもなれないが、せめてアマチュアの有段者か、奨励会を受ける前の研修生程度までにはなりたいと思っている。
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Back Number
01.スイスに日本は100年たっても追いつけない?
02.老後はどこで生活をすれば快適?
行政によってサービスが違うのはどうして?
03.56号を打て、タフィー・ローズ!
04.日本シリーズ近鉄はパソコンで徹底分析され、惨敗した
05.気になる電車・バスの中での“携帯電話ご遠慮ください”の放送
06.「愛子さま」「天皇みたい」
07.ある少年の悩み
08.早くなくなれ、女子高生のミニスカート
09.定年後の準備は何もできていない
10.絵本の読み聞かせ
11.東京ドーム(巨人戦)、福岡ドーム、甲子園は満員。
他球場はガラガラ、何とかしようよ。
12.訪問販売・電話セールス
13.私の車選び
14.将棋まつりに参加して
15.読書の秋
16.私が昔使っていて、今は使わなくなった言葉(パート1)
17.山登り
18.酒がおいしかった思い出
19.温泉でゆっくり
20.ある日曜日
21.ファミレスにて
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