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太陽の色--我々の感じる色はなぜこの範囲なのか?

最初に述べたように太陽の色はほぼ白です。白というのは我々の関知する3原色が適度に混ざった光の色です。では、その太陽の光を受けているのに、空や海が青いのはなぜでしょうか。空が青い理由は、空気の分子などによる散乱のせいです。光の波長は空気の分子よりずっと長いので、ほとんど散乱は起りません(波は、自分の波長より小さい障害物は通り抜ける)。しかし、「ほとんど」ではありますが多少は散乱も起きます(空気分子にゆらぎがあるせいだと言われています)。このような小さい物体での散乱は、波長が短いほど大きいことが知られています。そのため、青い光は散乱され、空が青く見えます。夕焼けが赤いのは、夕方では光が通り抜けてくる空気の層が厚くなり、青い光が散乱されつくして、赤い光しか残っていないからです。海が青い理由は、逆に、水が赤い光を吸収してしまうからです。

太陽光に含まれる光の波長を調べてみると、だいたい人間の可視光域の真ん中にピーク(一番多い部分)が来ます。つまり我々の目が感じることができる光は、ちょうど太陽がもっともたくさん出している光に一致しています。もちろん、これは偶然ではありません(もっとも、見える光の範囲は動物の種類によって多少は違います。昆虫などでは赤外線が見える種類もあります)。

ここまでの話を聞くと「なるほど、我々の目がそのように進化しただけのことか」と早合点するかもしれませんが、実は話はそう単純ではないのです。

紫外線で日焼けする理由は、紫外線が我々の体に毒だからです(体内に紫外線を入れないように肌を黒くして守ろうとしている)。ではなぜ紫外線は毒なのか。前に述べたように、粒子一個あたりのエネルギーが大きいからなのです。

人間の体の中(に、限らず、生命体の体の中ならどこでも)では、種々の化学反応が起きています。動物は食べ物として摂取した炭水化物や蛋白質などを

(炭水化物)+(酸素) → (二酸化炭素)+(水)+(エネルギー)

のように酸素を使って分解することにより、生活に必要なエネルギーを得ていま すし、植物は逆に太陽の光のエネルギーを使って

(二酸化炭素)+(水)+(エネルギー) → (炭水化物)+(酸素)

のようにして炭水化物を作っています。これらの反応の前後で、原子の結合の組み替えが起こります。組み替えを起こすためには原子と原子の結合をいったん切らなくてはいけませんが、可視光に含まれる光子一個が持っているエネルギーは、ちょうどこの切り離しのためのエネルギーと同程度です。その程度のエネルギーをやりとりすることで、人間の体の中で様々な反応が起るわけです。ところが、紫外線はよりエネルギーが高い光子を含んでいるので、我々の体を構成している分子の結合を破壊してしまうのです。つまり、体を作っている分子を壊すことができるぐらいのエネルギーを紫外線は運んでくるのです。

我々の感じる色がだいたい太陽に一致しているのは「そのように進化したから」ですが、我々がそのように進化できた理由は「太陽がちょうどよい色(波長)の光を出してくれているから」なのです。もし太陽が今よりたくさん紫外線を出していたら、そもそも我々は地上に生きていられません[*]。太陽が白いことに、我々は感謝しなくてはいけないでしょう。



Masahiro Maeno 平成14年3月15日