空気中の場合で、音がどのように空気中を伝わっていくかを説明します。たとえ ば太鼓を鳴らした場合、太鼓の皮がまず振動します。すると、太鼓の皮は接して いる空気を押して圧縮したり、逆に引いて空気を膨張させたりします。圧縮され た空気は圧力が高くなるので、隣の空気を押し、今度は隣の空気がさらに隣の空 気を押します。このようにして、空気の圧縮された状態が伝わっていきます(空 気が伝わるわけではないことに注意してください)。人が一列に並んで、一人目 が二人目を押し、押された二人目が3人目を押し…というふうにしてどんどん押 されていくという現象を思い浮かべてください。逆に空気が膨張した状態になる と、気圧が下がるので隣の空気を吸い込み、吸い込まれたぶん、今度は隣の空気 の圧力が低くなって、というふうに、膨張した状態が伝わっていきます。我々が 聴くことができるもっとも小さい音の場合、この圧力変化は1気圧の100億分 の2です。いっぽう、「音が聴える」ではなく「耳が痛い」になる音(つまり、 音としてはもはや認識できないほど大きい音)の場合、圧力変化は1万分の2気 圧です。これらの数値は(音の振動数によっても変わるし、個人差もあるので) 一応の目安ですが、人間の耳というのは、このように100万倍の差のある最小/ 最大可聴域を持っているわけです。なお、音が運んでくるエネルギーはこの圧力 変化の自乗に比例するので、圧力に関して100万倍の差はエネルギーに関しては 1兆倍の違いとなります。1兆(=1,000,000,000,000)倍ということは、12桁分 の違いということになりますが、この「1桁違う」のを「10dB違う」(dBはデシ ベルと読みます)と表します。人間の最小可聴音と最大可聴音は、120dB違うわ けです。
人間に聞こえる音の振動数は20Hzから20000Hzと言われています。Hzというのは へルツと読み、1秒に何回振動するかを表します。光の場合、振動数の違いは 「色」として認識されましたが、音の振動数の違いは「音の高さ」として認識さ れます。光には「三原色」がありましたが、音にはそういうものはありません。 二つの音が混じった音は、ちゃんと「混じった音」として聞き取ることができま す。
デシベルで表した音の大きさは、必ずしも人間の感じる「音の大きさ」とは一致 しません。それは、同じエネルギーを運んできても、振動数が違うと人間の感じ る音の高さが変わってしまうからです。具体的に言うと、特に音量が小さい時に は振動数の低い音、高い音の方は同じエネルギーの音でも音が小さく聴えます (2000〜3000Hzぐらいの音が一番大きく聴える)。このため、CDなどを聴くとき、 音量を絞ると低音が聴えにくくなります。CDなどについている「ラウドネス・コ ントロール」のスイッチは、低音を大きくする働きを持っていて、小さい音量で 聴くときに低音が聴えにくくなるのを防いでいます。
騒音でよく使われる「フォン」という単位は、この人間の感覚に合うようにデシ ベル数を改良したもので、振動数1000Hzの場合のデシベル数に換算して表すよう になっています。