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わかっているようでわかってない慣性の法則--素朴な疑問ほど答えに くいものはない

zw   漫画家の西原理恵子さんが、週刊紙にエッセイを連載していて、これがなかな h か面白い。麻雀ばっかりしている独身の変な女性漫画家の頭の中が、あまりに とてつもなく奇妙で笑ってしまうのだ。

その、西原さんのエッセイの中に、次のような疑問を投げかけたものがあった。

実は私にはずーーっと不思議だったのだが、バカにされるかもしれないので人前 では言えなかった疑問がある。こっそりきいて、何度教えてもらってもわから んのだ。思いきって言う。

走っている電車の中で飛びあがった時、どうして飛び上がったその、同じ地点に おりてくるのだ。変じゃないか。

「おもしろくても理科」清水義範 より

西原さんの疑問にあなたは答えられるでしょうか?--引用した「おもしろくても 理科」の中では、著者の清水義範氏が、この説明に悪戦苦闘しています。

さて、実際この疑問に納得いくように答えることは非常に難しいのですが、では なぜ難しいのか、というところを考えてみましょう。実はそこに表題にあげた、 アリストテレス的な考え方とニュートン的な考え方の違いが関連してくるのです。

この二つの考え方の、もっとも重要な違いは、アリストテレスが「運動するもの は何であれ他のものによって運動させられる」と考えたことです。さらに「運動 を引き起こすものは運動しているものと接触している」とも考えています。この 考え方は実にもっともに聞こえます。それは我々の日常的経験からくる「ものは 外から力を加えなければ動かない」という`常識'と一致しているからです。 しかし、この実にもっともな`常識'が実は誤っている`常識'のです (そしてそれが、上の西原さんの疑問につながってきます)。では、どこがおか しいのか。そして、それはどのようにして理解されていったのか。それを歴史的 順番に沿ってお話ししていきましょう。



Masahiro Maeno 平成14年3月15日