ファラデーはいろんな装置を使って実験をやっているのですが、特に重要な実験は、実際にテーブルにどんな力が働いているかがわかるような目印をテーブルにとりつける、ということです。目印を見せないようにしてテーブルターニングをさせると、テーブルは動きました。ところが、実行する人にその目印を見せると、テーブルはけっして動きませんでした。つまり、テーブルターニングをする人が「私は下にテーブルを押しているだけなのに、テーブルは勝手に動く」と思いこんでいた、その思い込みの部分を正確な測定によって排除してみせたわけです。
具体的には(上の図は一例です)、使うテーブルの上に板をおき、その板が左右にいくらでも動くようにしておきます。この部分を上から押えて(もちろん、左右に力を加えないように気をつけて)もらい、テーブルターニングをやってもらうと、テーブルがくるくる回ったり動いたりします。その時この板の部分を見ると、ずれが生じ、手から横向きの力が加わっていることがわかります。ところが、この板の左右の動きをてこなどを使ってメーターなどに伝達し、「今これぐらい力が入っていますよ」ということがわかるようにしてやると、(他の条件は全く同じなのに)ぴったりとテーブルは動かなくなりました。つまり、人間が気がつかない間に横向きの力を加えていることが、テーブルが動く理由だった、ということになります(特にメーターを見せないとちゃんと動くことに注意!)。
ファラデーは
目に見える動きなどで手の動きを知らせてくれる何らかの表示器がなければ、まっすぐ下に向けて押すことや固定された障害物に逆らって一定方向に押すことがいかに困難なことか、また単に、実際にそのように押しているかどうかを知ることだけでも、どれほど困難であるか、人々は知らないのである。
「コックリさんの実験的研究」ファラデー(秦一訳:『超能力・トリック・手品』板倉聖宣・佐藤忠男ほか著に所収) よりと、この実験に関する報告書の中で述べています。日本でも明治時代に日本でコックリさんが流行ったころに、井上圓了(妖怪などの研究で有名)が同様の結論を出しています。
このように「実は普通のことなのに、目の前でやってみせられると不思議な現象に見えてしまう」ということは他にもたくさんあります。「春分の日には玉子が立つ」なんてのはその一例です(実は春分の日でなくたってちゃんと玉子は立ちます。コロンブスのようにつぶさなくても)。