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物理学の発展の歴史において、「直感から来る思い込みの排除」がいかに大切な作業であったか、ということは、アリストテレス的考え方の話をした時にも強調しました。心霊学や超能力の`研究'においても同じことが言えます--いやそれどころか、より慎重にならなくてはいけないでしょう。物理現象には悪意はありませんが、世の中で心霊現象と呼ばれているものの中には、「幽霊の仕業だということにしてだましてやろう」という悪意が存在しているからです。物理学者が心霊や超能力を研究したがらない理由は、単に原子や分子や天体を相手にしているのに比べ、こういう余分な面倒が多すぎるせいもあります。それでもその面倒なことに気をつけながら、物理学者による心霊研究もされてきてはいるわけですが、これまで評価に値するだけの霊現象に肯定的な成果は一つもあがっていません。さらに否定的結果を発表しても、世間はおもしろがってくれず、無視されてしまうのですから、なおさら物理学者は霊現象の研究などしたがらないわけです。
念のために付け加えておきますが、「幽霊なんて非科学的」という決めつけは「幽霊は絶対に存在する」という決めつけ同様、科学的根拠のないものです。ファラデーが行ったような、現象をいろんなレベルで切り分けて解析していくという作業が必要になるでしょう。
歴史を見る限り確実に言えることは、「人間が介在する実験は安易に信用してはならない。間違いや思い込み、あるいは悪意からくるごまかしが実験結果に悪い結果をおよぼさないよう、細心の注意が必要である」ということです。その切り分けができないうちは、何物も安易に信用してはいけない、と歴史は教えています。
Masahiro Maeno
平成14年3月15日