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アリストテレス的考え方の根底にあるもの--素朴な直感をそのまま法 則化する

アリストテレスは「哲学者」と呼ばれます。「物理学者」とはあまり呼ばれませ ん。しかし、アリストテレスの生きていた時代には、この二つの区別はないといっ ていいでしょう。「自然を考える」ことも「人間を考える」ことも、全部哲学者 の仕事だったのです。

ではアリストテレスの考え方の根底には何があったかというと、「目的論的秩序」 という言葉で表されています。たとえば物体が落下するのは、物体の本来いるべ き位置が地球の中心だから、そこを目的として運動するから、と説明します。そ して目的地に到達すると、そこで静止すると考えていました。

また、アリストテレスの自然観の特徴は、自然現象を天体などの「天上の世界」 と地球表面の「地上の世界」に分け、別の法則に従っていると考えていることで す。実際、天体(月とか太陽とか)は誰にも押されることなく、地球の回りを回っ ている[*]のに対して、 地球上では力を加えない限り運動は起きません(というのが`常識'です)。 天上の世界は変化することなく同じ運動(円運動)を行い、地上の世界では物体 はさまざまに動き回り、刻一刻と変化していく、という考え方をします。アリス トテレスが天動説にこだわったのは、まさにこの天上と地上の分離という考え方 に固執したからだ、と言っていいでしょう。

このアリストテレス的考え方の強みは、見た目からくる`常識'に即してい るということです。ですからこれが改変されるのはアリストテレスの時代である 紀元前4世紀から、ガリレオが登場する17世紀まで待たなくてはいけません。



Masahiro Maeno 平成14年3月15日