SETIとは、Search for Extra Terrestrial Intelligenceの略で、「地球外の知性を探査する」 という意味です。といっても、探しに宇宙へ実際に行くのは、前講でも述べたよ うに非常にたいへんです。そこで、現実的な計画としては、電波による探査、と いうことになります。
では、我々が宇宙人を探すべき場所はどこでしょうか。昔は観測結果の翻訳の間 違いから「火星に運河がある」ということになり、火星に知的生命がいると思わ れていました。しかしその後の観測では運河らしきものもなく、また空気の 薄さ、水の少なさも当時の想像以上だったことから、火星には生命自体すら存在 しないであろうと思われています(最近、火星に由来する隕石の中から生物の痕 跡らしきものが発見されたと話題になりましたが、現状では信じるに足るだけの 証拠とは言えないようです)。
太陽系内を探すのは難しい
ようなので、探すとすれば他の恒星系、という
ことになります。
前にはCETI(Communication with Extra Terrestrial Intelligence )という言い方もしていまし た。しかし、我々の太陽に一番近い恒星であるアルファ・ケンタウリでも、4.3 光年(光の進む速さで4.3年かかる距離)にあります。電波の進む速さは光の進 む速さと同じです。ということは、地球から出した電波がアルファ・ケンタウリ に着いて、すぐに返事が来たとしても、8.6年後だということです。返事が来る までには待ちくたびれてしまうことでしょう。しかもこれが、一番近い星の場合 です。というわけで、「交信」(Communication)というのはあまり現実的ではあ りません。そこで「探索」(Search)の方に名前が変わったわけです。
物理学者、エンリコ・フェルミは1950年に「仮に宇宙人がいるなら、圧倒的な文 明で銀河を支配するものがあるはずだ。地球も侵略されていて当然だが、宇宙人 に会った人は皆無。つまり、はじめから宇宙人など存在しない」というパラドッ クスを発表しています。しかし、実際我々にしても、火星すら侵略できるとは思 えません(宇宙飛行がいかにたいへんかは前講でも述べました)。お互いに直接 行く地からはなくても、電波望遠鏡を空に向けて、耳(?)をそばだてていると ころなのかもしれません。
逆にこちらから通信を送ろう、という計画もありました。1974年、プエルトリコ のアレシボ天文台から、ドレークの計画により、0と1からなる通信文が送られ ました。目標は、ヘラクレス座のM13という球状星団で、星が30万個ほどあり、 古い星の集まりでもあるので、その中に高度な文明があってもよいと考えられる 星団だったのです。
(1) 1〜10までの数字
(2) 原子番号
(3) DNAのヌクレオチドの塩基とリンの化学式
(4) DNAのヌクレオチドの数
(5) DNAの二重らせん
(6) 人類
(7) 人類の身長
(8) 太陽系 (上に飛び出ているのが地球)
(9) アレシボ望遠鏡
(10) 望遠鏡の直径
となっています。ただしこの星団は地球から2万4千光年離れているので、電波 の返信が来たとしても4万8千年後になります。1983年には米国カリフォルニア 州スタンフォードの46メートルアンテナから、平林久と森本雅樹の二人が、地球 から17光年離れたわし座のアルタイルに向け、同様に計十三枚の絵を二回ずつ、 三十分間送信しています。計算上は2000年に到達するので、もしすぐに返信して くれれば、2017年には地球に返事が届くことになります。
1972年には木星探査機パイオニア10号が、アルミ板に書かれた「宇宙人への手紙」 (左図)を搭載して、太陽系の外への旅に出ました。もっとも、前講でも述べた ように、現在の宇宙船は隣の星にいくにも何万年という時間が必要なので、この 手紙を読んでもらえる確率は残念ながら非常に小さいものです。この図には、パ イオニア10号の前に立つ男女の姿(これで人類の大きさがわかるはず)と、太陽 の位置を表す図、および太陽系の惑星を表す図が書かれています。