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明らかに知性を持った思われる地球外生命の電波を天文台がとらえる。このよう
な冒頭で姑まるSF小説は多数存在しますが、いま現実世界でこのような事態に遭
遇したとき天文学者達はどう行動するのでしょう?--こうした事態を想定した国
際的なプロトコルが存在するのです。
天文関係の観測の情報などを提供している団体に、国際天文学連合(IAU)があ
り、天体観測から天体物理など天体に関するすべての分野の研究をサポートする
ために40 以上の委員会が各国の研究者の連絡をとりまとめています。1982年に
SETI専門の第51委員会が創設されました。ここで91 年に、国際宇宙飛行学会
(IAA)のSETIの委員会によって提案された「宇宙から実際に地球外生命から送
られたと思われる電磁波信号についてとられるべき原則」についてのプロトコル
がIAUの決議となるよう総会に提出されました。プロトコルの内容は以下の9の
原則から成り立っています。
- 地球外生命のそれらしい信号・形跡を発見した場合には一般に公表する前
にそれが自然現象および人類が関与した現象で無いことを証明する努力が必要で
ある。ただし判断できない場合には未知の現象として公開しても良い。
- 一般に公開される前に、このプロトコルに関連しているすべての観測者・
研究機関に速やかに通報されねばならない。独立した観測によって発見が確認さ
れ、さらに連続したモニタリングが可能なネットワークが確立できる。この
現象の発見者はそれが独立した観測によって信頼できる証拠であると判明するま
でいかなる形式にせよ一般に公開してはならない。また発見者は関連した国家の
当局に通報する。
- 証拠が確実であることが判明し、このプロトコルに参加し
た関係者に通報した後の発見はIAUの中央天文台電報局を通じて全世界の観測者
に通報され、国連の事務総長にも通報される。また関係する国際機関にもデーター
と情報が供与される。
- これまでの手順をふんだ上で、発見は一般のメディア
に迅速に隠すことなく公開されなければならない。発見者は一般向けの発表の権
利を持つ。
- 発見の確認についての総てのデーターは通常の科学社会のルール
に従って利用できるようにされる。
- 発見は引き続き継続されて観測される。
そのデーターは将来の解析にも役立てることができるように可能な限り記録され
永久に保存される。
- 発見の事例が電磁波による物であった場合はその周波数
帯を保護するよう国際電気通信連合に求める。
- 国際協議が行われて合意がで
きるまで相手に対しては何の応答も行わない。
- 国際宇宙飛行学会(IAA)の
SETI委員会はIAU51委員会と協力して発見後のデーターの処理方法について引き
続き検討する。発見後は科学者と他の分野の専門家からなる国際委員会が設けら
れる。
SETIの結果として地球外生命の存在が確認された場合の重要性を考えればこれら
のプロトコルの妥当性は理解できるものでしょう。このようなプロトコルがちゃ
んと決められているということは、天文学者たちが真剣に「宇宙からの声」を聞
こうとしていることの一つの証明でもあります。
我々の地球に生命が誕生したことは、太陽系内のレベルで考えると奇跡的と言え
る部分もあります。銀河系内という大きなスケールで見ても果たして奇跡的なこ
となのか、それは今はわかりません。もし他の星でどのように生命が発生し、ど
のように進化してきたかがわかれば天文学的にだけではなく、生物学的にも大き
な成果となるでしょう。
Masahiro Maeno
平成14年3月15日