next up previous
次へ: 今日の問題 上へ: 永久機関への挑戦 エネルギー保存則への道 戻る: 永久機関は何故動かない? 仕事の原理

永久機関が残したものは?--ダメなら、何故ダメかを考える

日本の特許庁に「永久機関ができました」と特許を申請しにいくと、最初から 「できないに決まっているからダメ」と言われるそうです。こういう話を物理が 専門でない人と話していると「法則なんてのは例外もあるはず、頭から保存則が あるからできないと決めつけるのはおかしい」と言われることがあります。しか し今日の話からわかるように、「法則があるから」という考え方でダメと言って いるわけではありません。「ダメだ」という過去の実験事実を説明するために法 則が作り出されたのです。「なぜ永久機関が作れないのか」を先人たちが懸命に 考えた結果たどり着いたのが「エネルギー保存則」だというわけです。

保存力である力を使っている限り、永久機関は作れません。重力も電磁力も、そ の他もろもろの力も、我々の知っている力は全部保存力か、あるいは摩擦力のよ うにむしろマイナスの仕事をしてエネルギーを減らしてしまうものばかりです。 もしどうしても永久機関を作りたいのならば、我々がまだ知らないような力(?) を利用しなくてはいけないということになります。結局動く永久機関を作ること はできなかったわけですが、その代わりに「なぜできないのか」をつきつめて考 えていくことから、仕事の原理やエネルギー保存則が生まれました。「必要は発 明の母」という諺があります。科学の発展のためには、「こんな器械が欲しい」 という欲求が必要です。しかしその欲求がどうやっても満たされない時はどうす ればいいでしょう。もう一つ諺があります。「失敗は成功の元」。しかし、失敗 したことを同じように重ねていくだけでは、成功は生まれません。なぜ失敗した のかを考え、今やっていることはできないことなのか、あるいは何かを改良すれ ばできることなのかを考える。この「なぜ?」をつきつめて考える姿勢を大事に していかなくては、本当の意味の科学の発展はありません。



Masahiro Maeno 平成14年3月15日