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光は波か粒子か?--混迷する20世紀の答

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光は波であるか粒子であるか、というのはニュートンやホイヘンスの時代でも論 争になった謎の一つでしたが、波と考えるのが妥当であろう、というのが20世紀 までの考え方でした。そのように考えられた理由の一つが、左の図にしめした複 スリットの実験です。「光をこのスリットにあてると、上のスリットを通ってき た光と下のスリットを通ってきた光が干渉して、スクリーンに縞ができる」と考 えます。つまり図の「明」の位置では波である光の山と山がぶつかりあい、明る い光になり、図の「暗」の位置では波の山と谷がぶつかりあって暗い光になる、 と考えられたわけです。このような現象は波でなくては起らないはずです。

ところが20世紀になると、光が粒子でもある証拠が発見され始めました。光のエ ネルギーを測定してみると、常に(プランク定数)×(振動数)という単位の整数倍 である、ということがわかったのです。つまり光は波であると同時に光子という 粒子でもあり、その光子一個のエネルギーが(プランク定数)×(振動数)であるこ とがわかってきました。

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光がやってくるということは実際には光子がやってくる、ということです。つま り、上の図のような実験でできている明暗の縞は、実は左の図のように、光子の 当たる場所と当たらない場所ができている、ということになります。

ここで光源の光量を絞って、一秒に一個の光子しか来ないようにしたとしましょ う。この場合干渉は起こるでしょうか。「干渉」というのは普通、二つの波がぶ つかっておきます。一秒に一個の光子しか来ないなら、二つの光子はぶつかれな い(一秒で光は三〇万キロも走ります)から干渉なんて起きないはず、と思いた いところです。しかし実際にはこれでも左図のような干渉は起きます。というこ とは、「一つの光子が二つのスリットを同時に通ってきた」という現象を認めざ るを得なくなってしまいます。つまりこのスクリーンにあたった一個の光子は 「上のスリットを通ってきた光子」と「下のスリットを通ってきた光子」の 重ね合わせとして存在していることになります。

量子力学の世界では、こういう`非常識'なことが起ってしまいます。我々 が普段こういう`非常識'を経験しないのは、我々が見る光源はたいてい1 秒に$10^{20}$個以上の光を出していて、光が粒子の集まりであることを実感でき ることが少ないからです。

結局、「光は波なのか、粒子なのか」という問いに対する現在の答えは「どっち でもある」ということになります。ある物理学者は「光は月水金は粒子であり、 火木土は波である」というジョークを言ったそうです(日曜日は教会で神に教え を乞え、とのこと)。



Masahiro Maeno 平成14年3月15日