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観測しない観測--量子力学的爆弾判定

\begin{wrapfigure}{r}{7cm}
\epsfxsize =7cm\epsffile{bung.ps}\end{wrapfigure}

極端な例として、観測機械に爆弾がつなげられている場合を考えると、面白い機 械をつくることができます(もちろん実際には爆弾を使うわけではありませんが、 今から説明するような機械は実際につくられています)。複スリットの片方に、 光検知器つきの爆弾を置きます。こいつはほんとの爆弾か、それとも爆弾のよう な格好をした偽物か、見ただけではわからないとします。さらにこの爆弾は、光 が検知器の近くを通ると爆発するとしましょう。しかし、偽爆弾なら光を感知で きません(爆発しない)。

勘のいい方はもうお分かりだと思います。もし爆弾がほんものなら、それは「観 測器」の役割を果たし、上のスリットと下のスリットを区別します。この場合、 干渉縞は消えます。一方、偽爆弾なら干渉縞は消えません(上の図と同じ結果に なる)。とはいえ、干渉縞ができるかできないかわかるまで待っていては、爆弾 が本物だった場合、まず間違いなく「どっかん」になります。最低でも数十個の 光子が来るまで待たなくてはいけませんから、どれかが爆弾にヒットしてしまう 確率大でしょう。しかし、一個目の光子がラッキーにも図の「暗」の所に来れば、 その時点で干渉縞ができないことは確実ですから、「爆弾だ!」とわかります。 一方、「明」の部分に来た場合、干渉縞ができているのか、できてないのか、こ れだけでは判断できないので、実験やりなおしとなります。

よく考えてみると爆発なしで「暗」にあたった場合というのは、光子は爆弾がい ない方のスリットを通ってきた、ということになります――ということは、爆弾 に光子を当てなかったのに、それが爆弾だとわかったということではないですか。 非破壊検査どころか、非相互作用検査というやつになります。 この爆弾検査法 の怖いところは、ほんとに爆弾だった場合、二分の一の確率で光が爆弾側を通り、 「どっかん」が起こってしまうことです。しかし、光を何回も同じところを回し てやったりして、うまく実験装置を作ってやると、この「どっかん」の確率を二 分の一より小さくすることも可能だそうです。



Masahiro Maeno 平成14年3月15日