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ブラックホールに落ちるとどうなりますか、というのはよく聞かれる質問なので
すが、まず確実に言えることは「事象の地平線をいったん越えてしまったら、も
う帰ってこれません」ということです。生きているか死んでいるかは別として。
事象の地平線というのはここまでいくと帰ってこれないという意味では特別な場
所ですが、もしその場所に行ったとしても、特に何かがあるというわけではあり
ません。ブラックホールの近くでは時間が遅れるという現象があり、ちょうど事
象の地平線のところでは(外から見ると)時間が経過しなくなります。しかし、そ
の場所に行った人間にとっては時間が止まるなどという変なことはなく、どんど
ん中に入っていけます。外から見ていると、事象の地平線のところで人が止まっ
てしまっているように見えます。
ブラックホールに落ちる時に死ぬ原因としては、潮汐力があります。これは地球
や月の重力の場合でも起る力ですが、地球の場合では弱いので死ぬようなことは
ありません。潮汐力は、重力が場所によって違うことから発生する力です。たと
えば地球と月を考えます。月の重力は、地球の月に近い側と遠い側では、近い側
のほうが強くなります。このため、地球は引き延ばされることになります。この
力が潮の満ち引きを起こすので、潮汐力という名前がついています
。
重力の強いブラックホールだと、この潮汐力も非常に大きなものになり、近づい
た人間を引きちぎってしまうことが考えられます。潮汐力を打ち消すことは非常
に難しいのですが、あるSF小説の中で、中性子星を探検する探検隊が、宇宙船
にかかる潮汐力を打ち消すために、図のように非常に重い物体を置くというシー
ンがあります。物体Aからかかる重力と物体Bからかかる重力を足すと潮汐力と
反対の力(物体を押し縮める力)になるようになっています。
Masahiro Maeno
平成14年3月15日