諸説あるなかで最近有力な説だと言われているのが隕石落下によるものという説 です。この説の証拠は、恐竜が絶滅した6500万年前の地層(K/T境界と呼ばれます) からイリジウムという物質が発見されていることです。イリジウムは地球では非 常に少ない金属です。その理由は非常に密度が高い(重い)ため、地球ができた時 に地球中心に沈んでしまったからだと言われています。6500万年前の地層にイリ ジウムが多く発見される理由は、当時宇宙から降ってきた隕石の中に多量のイリ ジウムが含まれていたからだと推定できるのです(現在地球に降ってくる隕石の 中にもイリジウムが入っているものはたくさんあります)。特に世界各地の地層 からイリジウムが出てくるということは、地球的規模でイリジウムが降るような ことが起ったとしか考えられず、巨大な隕石(推定直径10キロ)が落下したこと を示しているというのです。
地球の歴史の中で最近5億年のうちに少なくとも9回、大規模な大量絶滅が起き ていることが化石などの調査からわかっています。K/T境界(白亜紀(Creteceous) と第3紀(Tertiary)の境界という意味)では、全生物種のうち60%、海洋生物で は75%が姿を消してしまっています。2億4500万年前の二畳紀末の大破滅で は、全生物のうち90%が死に絶えたといいます(これも隕石のせいかどうかはわ かりません)。なぜこのような大量絶滅がしばしば起るのか、生物学上の大きな 謎でした。これにたいし、物理学者であるアルヴァレッズらのグループが、少な くともK/T境界に関しては隕石によるものだと考えられるという説を発表したわ けです。
最初この説はなかなか受け入れられませんでした。隕石落下が恐竜絶滅の原因だ
と言っていた人は他にもたくさんいました
が、どちらかというと「奇想天外な説である」として黙殺される傾向に
ありました。ただしこれは単に他の学者たちが頑固だったというふうに片付けら
れる問題ではありません。これまで隕石説が顧られなかった理由は証拠に乏しかっ
たということが一番です。アルヴァレッズのグループは豊富なデータでK/T境界
付近のイリジウムの存在を示せたことと、その後に起ったと思われる火災の証拠
(すすの堆積)など、傍証が次々とたくさん見つかっていったことのおかげで、あ
る程度の信頼を得ることができたわけです。科学上で学説が認められるためには、
単にすばらしい思いつきだというだけではだめだということがわかります(なお、
現在でもこの説が絶対正しいと認められているわけではなく、いろんな議論が行
われている最中です。恐竜絶滅は隕石だけでは説明できないという説も有力です)。