もし今直径10キロの隕石が落ちてきたとしたら、何が起るでしょうか。まず衝突 の衝撃だけでもたいへんなものになります。その時のエネルギーは1億メガトン 級と言われます。広島に落ちた原子爆弾は13キロトン、現代の核ミサイルの大き なものでも50メガトンです。つまり現代の最強の核ミサイル200万発分のエネル ギーが解放されたことになります。これはマグニチュード13以上の地震を起こす でしょう(地球の地殻が原因で起る地震は、最大でもマグニチュード8ぐらいまで です)。衝突によって破壊されるだけでなく、空中での摩擦で高熱が発生し、森 林には火がつくことでしょう。もし海に落下したら、高さ200メートルの津波が 発生する可能性もあります。
さらに衝突によって空中に100兆トンほどの物質が吹き上げられることになりま す。そしてこの空中の浮遊物の一部は酸性雨となって地上に降り、空中に残った すす、塵、灰が地球全体の大気をすっぽり覆い、10年くらいの間、昼を夜のよう に暗くし、地表をすっかり凍り付かせることになりました。これを衝突の冬と言 います。大規模核戦争によっても同じような現象が起こると考えられています (これは核の冬と呼ぶ)。実は生物にとって本当に破滅的だったのは衝突そのもの より、その後に続いた酸性雨や衝突の冬などの異常気象による環境激変でした。
衝突の惨劇を幸運にも生き抜いた動植物たちも、この10年の「衝突の冬」の間に ほとんど死に絶えたと考えられます。地中を主な棲みかとしていた哺乳類たちは この期間を生き抜き、この中から我々の祖先が生まれるわけです。恐竜に限らず、 ある程度より大きい動物はいっせいに絶滅してしまっています。 この衝突は地球上での生物相をがらっと変えてしまいました。この衝突がなけれ ば、恐竜の中から知的生命体が進化していたかもしれません。
では、今後実際にこのような衝突が起る可能性はどのくらいあるのでしょうか。 人によっていろんな計算をしていますが、大きな彗星や小惑星が落下してくる危 険性は100万年に一度よりは小さいだろう、と思われます。1994年のチャップマ ンとモリソンによる計算では、あと100年の間に2キロ以上の大きさの小惑星がぶ つかってくる確率は1万分の1だということです。もちろん単なる確率の問題であっ て、絶対大丈夫とは言い切れません。万が一のことを心配して、小惑星の監視や 調査をとおして小惑星衝突に対処しようとしている組織もあります。ローマに本 部を置く「国際スペースガード財団」や「日本スペースガード協会」などです (名前がちょっと大層ですね)。もし衝突の可能性がある小惑星が発見されたら、 こういう団体から警告が発せられることでしょう。シューメイカー-レビ彗星は 発見されて1年のうちに木星にぶつかりました。同じように地球にぶつかって来 る小惑星や彗星が発見できたとしても、あと1年でぶつかってくるとわかったら 対策は難しいでしょう。映画「ディープ・インパクト」や「アルマゲドン」など でもやっているように水爆などを片方で爆発させるなどして進路をそらせること になるでしょうが、1年で果たして準備から実行までが可能かどうか、微妙なと ころです。