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特撮映画を作る苦労--小さいものを大きく見せるには?

TVなどで巨大な怪獣が出てきたり、あるいは小人が出てきたりする時の苦労の話 を少ししましょう。巨大怪獣がビルを壊すというシーンを撮影する時、単にミニ チュアのビルを作ってぬいぐるみの怪獣がそれを壊したのでは、全くビルを壊し ているように見えません。ミニチュアのプラモデルが壊れたようにしか見えない わけです。

なぜそうなるのかがよくわかる例として、車が崖の下に落ちるシーンを考えます。

車が100メートルの崖を落ちるとすると(空気の抵抗を無視した場合)、約 4.5秒かかります。一方、100分の1のミニチュアを使って1メートルの崖を 落とすと、時間はたった0.45秒です。つまりミニチュアは実際の10分の1の時 間で落下してしまいます。ですから実際にTVでこのようなことをする時は高速度 撮影しておいて、10倍の遅さのスローモーションにして放映します。ミニチュ アカーが1メートルを4.5秒かかって落ちていくような映像を作れば、100メー トルの崖を落ちていくように見えるわけです。

同様に、怪獣がビルを倒すシーンを撮影する時は、怪獣役の役者さんはチョコマ カとすばやく動き回ってガランガランと軽やかにビルを倒します。それをスロー モーションにして、「怪獣がノッシノッシと歩いてドッシーンとビルを倒す」シー ンに見せるわけです。

映画「ミクロキッズ」などのように、人間が小さくなってしまう場合は、この逆 が必要になります。

実際に特撮(特殊撮影)映画を作る際、問題になるのは「水と炎」だと言われま す。プールにできる波は海にできる波を縮小した形になりません。たとえばTVで 飛行機が海に墜落するシーンの特撮を見ていると、その時にあがる水しぶきが玉 のような形になっていますが、その水玉の半径が数メートル以上もあるように見 えたりします。また、ビルが燃えているシーンなどでは不自然に炎が大きく、早 くなります(スローモーションがここでも必要です)。



Masahiro Maeno 平成14年3月15日