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時間反転と物理法則

一個の物体が落下しているとしましょう。これをビデオを逆回しするように時間 を逆にみると、今度は物体が上昇していることになります。では、「時間が反転 すると重力も逆向きになる」のでしょうか。いえ違います。物体が落下する時は、 その落下の速さはだんだん速くなっていきます。ではこれの時間反転した姿はど うでしょうか。時間が反転するのだから、速さはどんどん遅くなっていきます。 物体が上昇しながら、その速さがどんどん遅くなっていく--ということはつま り、普通に物体を投げあげた時の運動と全く同じなのです。実は物理法則は後で 述べる唯一の例外を除いて全て、時間が反転しても不変です。つまり物理現象の 中では(例外を除いて)時間のどっちが未来だか過去だか、判定することはでき ないのです。

ということを言うと、「え、そんなことはないぞ」と思われると思います。たと えば、砂時計を考えてみると、砂時計の砂が上に上っていくところなど、手品で でもない限り、見たことがないはずです。

では、物理において時間の流れる向き--時間の矢--を指定するものはいったい 何なのでしょうか。



Masahiro Maeno 平成14年3月15日