ところでこの現象を原子・分子レベルで考えてみましょう。声が出る、ということは、空気の分子が振動する、ということです。では、これを時間反転してみます。すると振動の流れが逆になります。つまり「しゃべった人の喉の振動」から「聞いている人の耳の振動」へという現象を時間反転すると、まず聞いている人の耳が振動し、次にそれに応じて空気が振動し、その空気の振動がよりあつまって人の口に飛び込み、それが喉を振動させる、という現象が起こることになります。
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図のFig.1の方は、「Aから出た音がBとCに到着した」という図です。
これを時間反転した現象がFig.2に書かれたもので「BとCを出発した音がAに到着した」という図になります。
Fig.1の方がFig.2に比べて``起こりそう''に見えます。そう見える理由は、Fig.2の現象が起こるためには、BとCが時間的にタイミングをうまく合わせて振動しなくてはいけないからです。
タイミングがずれると、波は A点に同時に到着しません。現実的な場合(教室で「あーーー」と言う場合)では、音の到着点は2個どころではなく、分子レベルで考えればアオガドロ数以上になります。
その分子1個1個がうまくタイミングを合わせて振動するというのは、おおよそ起こり得ないことです。
このように、「波が広がる」現象に比べて「波が収束する」という現象はそのような初期状態を用意することが難しいゆえに、起こりにくくなります。ですから波の広がり現象を見ることで時間の向きを判定することができます。これが「波動の時間の矢」です。