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第8講で宇宙的な距離の測り方についていろいろ述べました。
さらに遠い距離はどのようにして測定しているんでしょうか。ケフェウス型変光
星を使って、比較的近所の星雲までは距離の測定ができました。ハッブルはこれ
らの銀河からやってくる光を注意深く調べました。
光にもドップラー効果が働く、という話は前にもしました。 たとえば星が動きな がら光を出すと、その光の波長(波の山から山までの距離)は前方では短く、後 方では長くなります。波長が長くなるということは色が赤くなる、ということで す(赤方変移と呼ぶ)。逆に波長が短くなるのは青方変移です。 星の出す光は星によって違うので、色が違っていることを見ただけでは星の速度 は測れません。しかし、元素は元素固有の色の光を出したり、元素固有の色の光 を吸収したりします。たとえば恒星に含まれいているカルシウムがどのような波 長の光を吸収するかはわかっているので、カルシウムによる吸収がどのような波 長で起きているかを見ると、星の速度が測定できます。
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をのぞいて、全ての銀河が後退している(光が赤方変移
している)ことがわかりました。
実はこの少し前、アインシュタインは重力の理論を``一般相対性理論''という名 でまとめました。アインシュタインはさらにこの重力の理論を宇宙全体に適用し てみました。するとわかったことは、アインシュタインの方程式に従う限り、宇 宙は自分の重力により膨張するか収縮するかのどちらかでなくてはいけない、と いうことでした。なぜこうなるのかをおおざっぱに述べると、以下のようになり ます。重力はお互い同士を引っ張る、「引力」しかありません。今宇宙の全ての 物質が止っているとすると、互いに引力を及ぼしあって、どんどん互いの距離が 縮まってしまうはずです。つまりこれが宇宙が収縮している場合です。今は最初 止っているとしましたが、最初に宇宙が膨張していたとするならば、その膨張速 度はだんだん遅くなっていくことになります。
アインシュタインは宇宙が膨張したり収縮したりするとはとても思えなかったの で、宇宙が収縮しようとするのを妨げる力を一般相対論につけくわえ、宇宙を安 定させるようにしました。これを「宇宙項」と言います。この宇宙項が斥力をつ くり、万有引力とうまくつりあって宇宙が膨張も収縮もしない状態になっている、 とアインシュタインは考えたのです(ただし、このバランスは不安定なバランス なので、宇宙項を入れても宇宙を一定状態に保つのは難しいと思われます)。
これに対し、フリードマンやド・シッターなどは、宇宙項がある場合でもない場 合でも、膨張する宇宙がアインシュタインの方程式の解になることを示し、宇宙 が膨張している可能性だってある、と指摘していました。この時点ではしかし、 宇宙が膨張しているのかどうかを判定する方法はありませんでした。
ところが、実際に遠くの銀河が離れていくことが観測されてしまいました。しか も、遠いところの銀河ほど遠く離れていることがハッブルの観測で判明します。 アインシュタインはすぐにハッブルのところに結果を見せてもらいにいったそう です(残念なことに、フリードマンはこの時すでに故人)。これでアインシュタ インが前提としていた、「宇宙は膨張したり収縮したりしない」ということは間 違いであることがわかりました。宇宙は膨張していたのです。後にアインシュタ インは「宇宙項」をつけくわえて宇宙を膨張しないようにしようとしたことを 「我が生涯最大の失敗」と後悔したそうです。
ハッブルの詳しい観測から、銀河までの距離と後退速度の間には単純な比例関係
この式から、宇宙の年齢が計算できます。この法則からビデオの逆回しの要領で 計算していくと、宇宙の全ての星や銀河が一点に縮まっていた時期がわかるから です。この一点に縮まった状態の宇宙を、ルメートルは「原始の原子」と呼びま した。
遠い銀河の距離を測ることは難しいため、ハッブル定数の値は観測の精度が上が るにつれ、大きくなったり小さくなったりしています。最初の頃の値で計算する と、宇宙の年齢は20億年になりました。一方、地球の年齢は45億年であるこ とが当時からわかっていました。ビッグバン理論の批判者たちは「地球が宇宙よ り古いはずはない」と指摘していました。やがて観測が精密になるにつれ、宇宙 の年齢は100億年から150億年と伸び、無事地球よりも古くなりました。