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自然数の数を数える--無限には種類があるのか?

さてここで、クイズを一つ。

「無限ホテル」には1号室から始まって2、3、4号室と、無限個の部屋がある。 今日は満室である。そこへ3人の客がやってきて、「泊めてくれ」と言った。普 通のホテルなら、ここで「満室でございます」と断るところ。しかし、主人はす ぐに館内放送をした。

「1号室のお客様、4号室にお移りください。2号室のお客様、5号室へお移り ください。以下、全室のお客様、自分の部屋番号より3つ数の多い番号の部屋に お移り願います」

客がどやどやと移動した後で、1号室から3号室までの3部屋は空き部屋になっ た。3人の客は、そこに泊ることができた。このホテルでは、満室状態で何人客 が来ても、このように客室番号をずらすことで空き部屋を作ることができるので ある。

ある日、満室の時にまた客がたくさんやってきた。主人は「また部屋をずらせば いいや」と思いながら客に尋ねた。

「何人お泊りですか?」

「無限人いるんですが」

さて、主人はどのようにアナウンスをすれば、この無限人の客をホテルに泊めさ せることができるのでしょうか?

答はわかりましたか?

クイズの問題部分からわかる数学的事実を式で表すならば、

\begin{eqnarray*}
\infty + 3 = \infty
\end{eqnarray*}



です。そして答からわかる数学的事実を式で表すならば、

\begin{eqnarray*}
\infty \times 2 = \infty
\end{eqnarray*}



ということになるでしょう。こういうのを見ていると「無限にいくら足してもい くらかけても無限ということは、無限というものは一種類しかないんだろうか」 と疑問がわきます。

ここで無限の``種類''がいくつあるのかを考えてみます。そこでまず、「あるも のの数が自然数と1対1対応できるなら、その無限を可付番無限と呼ぼう」と決 めます。可付番とは「番号をつけることができる」という意味です。

たとえば宇宙が無限に続くとします。すると「今日は西暦元年1月1日から数え て何日目か」という数え方をすれば、すべての日は一つの自然数で表せます [*]。ですから「宇宙が永遠なら、 日数は可付番無限個ある」と言えます。

偶数 $\left\{2,4,6,8,\cdots \right\}$は何個あるでしょう?--可付番無限よ りも少ない?

いいえ。偶数に2には1番、4には2番、というふうに番号をつけてやると、自然数 で全て番号づけできます。ですから偶数の数も可付番無限個なのです。

では、自然数でなく、整数にしたらどうでしょう。整数には0や負の数も含まれ ます。自然数より数が多そうに見えますね。しかし、これも、「0は1番、1は2番、- 1は3番、2が4番$\cdots$」という番号つけをすると、自然数で番号を振ることが できます。つまり、自然数の倍以上ありそうな整数も、実は可付番無限個しかな いのです。

\epsfbox{seisuu.eps}

では、次に有理数(分母と分子が整数な分数で表せる数)を考えてみます。

有理数を使えば、ほとんどの大きさを表すことができます。たとえば$0.3$など のような小数も${3\over10}$と考えれば有理数のうちです。となれば、この数は 自然数より多い、と思うでしょう。

\epsfbox{yuuri.eps}
ところが、そうではありません。右の図を見てください。この図ではとりあえず 正の有理数だけを考え、有理数を分母と分子で分類して格子状に並べました。こ のように正の有理数を平面に敷き詰めてやると、そこを蛇行するように順番をつ けていくことで正の有理数全てに番号をつけることができます。つまり「自然数 と正の有理数は1対1対応する」ということになるのです。つまり「自然数と正 の有理数の数は同じ」ということになります。負の有理数も考えた時は、整数を 考えたように「正、負、正、負」と順番にとっていけばやはり自然数と1対1対 応します。



Masahiro Maeno 平成14年3月15日