地球は現在液体の水がふんだんにある状況にありますが、これは微妙なバランス の上に成り立っています。たとえば地球上の水の多くが固体になり、雪や氷の形 で海や山に積もったとしましょう。雪や氷は太陽光を良く反射するので、反射率 が上がります。すると地球の温度はますます下がり、どんどん寒冷化に向かうこ とになります(氷河期はこのような寒冷化の結果です)。
逆にいったん温度が上がって海水がどんどん蒸発したとすると、大気中の水蒸気 量が増え、温室効果が大きくなり、さらに熱くなって海水が蒸発し--というふ うに、どんどん高温化が加速されることになります。金星は、まさにこのような 温室効果の暴走が起こった結果であると考えられます。現在の金星の大気は、ほ とんど水を含んでいません。後で述べるように水素と酸素に分解されてしまった ものと思われています。
水があることの効果がもう一つあります。水は比熱が大きく、暖まりにくく冷め
にくい物質です。そのため、地球の温度を一定にする役割
を持っています。単に比熱が大きいだけ
でなく、熱すると気化熱を吸収して蒸発し、冷やすと凝固熱を放出して氷になり
ます。赤道付近の海で海水が蒸発してできた雲(台風などの低気圧)が中緯度地
方で雨を降らせたり、両極で水が凍ったりすることは地球全体の温度を均質にし
ようとする役割を持っています。水がこのような性質を持っていなかったら、極
地はもっと寒く、赤道部分はもっと熱くなっていたはずです。
水の特異な性質として、「凍ると体積が増える」ということがあります。このた め、氷は水に浮きます。この性質は海全体が凍ってしまわないことと深く関連し ています。氷が太陽光の届かない海底に沈んでしまうと、融けることがないまま 成長し続けてしまうからです。