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生物学的左右非対称--鏡の国のミルクはまずい?

人間も含め、生物の体を作っているのは主に炭素、酸素、水素の化合物である有 機物質です。そして、有機物質の中には左右対称でないものがあります。化学の 用語ではこれを「旋光性」とよび、左旋光性の物質とこれを左右反転した右旋光 性物質と、二種類の物質があることになります。では我々の体を作っている物質 はどっちかというと、実は我々に限らず、地球上のすべての生物が、ほんのわず かな例外を除いて左旋光性ばかりなのです。つまり、生物の世界では左右対称性 は破れています(このことを発見したのはパストゥールです)。この性質はたん ぱく質などのらせん構造がどちら向きになるかなどとも関係してきます。

左旋光性の物質と右旋光性の物質は、物理的・化学的にはなんの違いもありませ ん。ではなぜ生物は左旋光性を持った物質ばかりを選ぶのでしょうか。確実に言 えることは、もし右旋光性の有機物質でできた生命が地球にいたとしても、その 生物は他の生物の作った栄養(左旋光性の物質でできている)を摂取することが できない、ということです。

有機物質はありふれた物質で、隕石などの中からアミノ酸が発見されることがあ ります。そして、隕石の中のアミノ酸には左右の旋光性が均等に含まれています。 初期地球で生命が誕生した時の最初の生命が左旋光性だったので、その子孫であ る今の生物たちもそうなっているというだけなのかもしれません。



Masahiro Maeno 平成14年3月15日