石原バレエアカデミー これまでの主な歩み
1978年 (S54) クラシックバレエスタジオとして呉市に開設。
1995年 (H 7) 第5回けんみん文化祭洋舞フェスティバルにて最優秀賞
1996年 (H 8) 代11回国民文化祭とやま出演(スラヴ舞曲)
1997年 (H 9) 浅川高子モダンダンスセミナー’in 呉 スタートする
講師:グラハムテクニック 浅川高子、 リモンテクニック 行廣興三郎
1998年 (H10) 石原バレエアカデミー創設20周年記念公演:アステールプラザ大ホール
「バレエとモダンダンスのコンサート'98」:ゲスト振付淺川高子、行廣興三郎
2000年 (H12) 第15回国民文化祭ひろしま出演:呉文化ホール
2001年 (H13) 山口県キララ博出演:スプリングコンチェルト
呉市文化団体連合会50周年祝賀記念公演(西洋舞踊部):くるみ割り人形全幕
2002年 (H14) 第11回けんみん文化祭洋舞フェスティバル最優秀賞
呉市制100年記念公演(ダンスソネットシリーズとしてスタート)
2003年 (H15) 第18回国民文化祭やまがた出演:華麗なるロンド
ダンスソネット'03 ゲスト振付:アルノーコスト、稲尾芳文、行廣興三郎
第12回けんみん文化祭総合フェスティバル出演:呉市文化ホール、
創作音楽舞踊劇「いにしえ語り遣唐使船」:振付行廣興三郎、石原純子
2005年 (H17) 呉市ジョイントバレエコンサート10周年記念合同公演(西洋舞踊部)
呉市文化ホール、「卒業記念舞踏会」
ダンスソネット'05、ゲスト振付エリザベス・ギラスピィー、行廣興三郎
2007年 (H19) 淺川高子モダンダンスセミナー10周年記念公演:ダンスガラひろしま'2007
:アステールプラザ大ホール
ダンスソネット'07、ゲスト振付(出演):稲尾芳文
<グラハムの奇跡in広島>
天満ふさこ
(ノンフィクション作家:「星座になった人 芥川多加志の青春」など)
クラシックバレエとコンテンポラリーダンスは、車の両輪である。古典として、長い歴史に裏付けられた普遍性を持つクラシックバレエ。また、コンテンポラシーダンスは、現代を映す鏡として創作意欲に満ちている。ローザンヌバレエコンクールひとつをとってもわかるように、海外で活躍するには、両方踊れることが期待されている。しかし、日本では水と油のように、両者がくっきりと分かれているところも多い。このふたつは、異なる身体の言語であるため、両方を教えられる教師が非常に少ない、という現実がある。そんな中で、広島で11年続いているある取り組みがあった。淺川高子という方をご存じだろうか。1976年アメリカの建国200年に、ニューヨークのメトロポリタンオペラ劇場で記念公演が開かれた。世界中から選ばれたのはわずか3人。歌舞伎の坂東玉三郎、広島が誇るバレリーナの森下洋子、そして、モダンダンスの淺川高子である。淺川が踊る姿は、東洋的な月のような美しさで知られ、神がかりのダンサーとして、世界中で絶賛されてきた。また、パリ・オペラ座バレエ団での上演指導をはじめ、アメリカンバレエシアター、ジュリアード音楽院、・・・世界の名だたるバレエ団、大学で長年にわたり指導・振付も行ってきた。その淺川が、自らグラハムテクニックというアメリカが世界に誇るモダンダンスを伝えるため、10年間休むことなく、ニューヨークから広島に通い続けた。淺川に心酔した石原純子の熱い招きがあったのである。そして、自身の技術と情熱を伝えるべく、全国から集まった日本の若いダンサーを育ててきた。
今年1月13日、広島アステールプラザで「ダンスガラ・ひろしま2007」が開催された。これは、淺川高子モダンダンスセミナー11年の記念公演でもある。参加者は地元広島をはじめ、福岡、岡山、東京、関西方面などから。福岡のダンスプラザは“A WORK OF INDIVIDUAL”で、現代的で個性的なムーヴメントを披露。TDC in 岡山による“TOMORROW”、DANCE PLAZA(東京)による「4人姉妹の(小さな)普遍性」は、日常をコミカルな動きで表現し、観客から笑みがこぼれた。
京都在の石原完二振付による「リンゴ協奏曲」(池本バレエスクール広島)は、クラシックバレエの素質があるダンサーならではの、繊細で、はんなりさがにじむ佳品。モダンダンスのガラ公演でありながら寄せ集め感がないのは、メンバーが程度の差こそあれ、「グラハムメソッド」の習得という共通点を持っているからであろう。
A・GIFT(エリザベス・ギャラスピー振付)は、白眉だ。袖なしのワンピース姿の19人のダンサーが登場。トゥシューズを履いていないのに、その軽やかさと優雅さは驚嘆に値する。石原バレエアカデミー(呉市)のソリスト、古澤寛子、森尾真美、胡子真理子、貞末尚美は、その踊りこそが観客への「贈り物」であった。9年前に、4人は同じホールで、淺川振付の「珠蕾(しゅらい)」を踊った。それからも、クラシックバレエに加え、週に一度はグラハムテクニックの研鑽を積み、毎年のセミナーも余すところなく受講してきた。その「継続は力なり」がG線上のアリアで、大輪の華として開いた。グラハムテクニックのコントラクションとリリース、スパイラルを使った身体のコントロール無しでは成しえない、あふれんばかりの輝きである。
浅川の教え子で、元オクラホマ州立大学芸術学部教授行廣興三郎の「ヒロシマレクイエム」。自らの被爆体験を、現代音楽の俊英、細川俊夫を用い、グラハムとリモンテクニックを駆使して表現する。この作品は、アメリカで初演され、すでに高い評価を受けている。凄惨な体験が、最後は深い祈りに昇華されていくシーンが、胸を打った。淺川振付の“SEASON’S JOY”は、このセミナーのまさに集大成であろう。ヴィヴァルディの四季の調べにのって、男性2名を含むダンサー達が舞台ではじける。ボディタイツにサッシュというシンプルな衣装で、生命感あふれるダンスを繰り出す。しなやかさと力強さ、優美さと躍動感。相反する二つの美を同時に表現できるのが、グラハムの強みである。本家のアメリカのグラハムカンパニーは、10数年前から存続が危ぶまれている。けれども、日本のここ、広島でグラハムの真髄が、淺川を通じて、和解ダンサー達に脈々と受け継がれているのを体感できたことは、奇跡に近いのではなかろうか。実際にこのセミナー受講者で、淺川の薫陶を受けジュリアード音楽院卒業後、プロダンサーとして主にニューヨークで活躍している木村佳奈らも育っている。広島から世界に羽ばたく!そんな想いが駆け抜けた、至福の、今年の幕開け公演だった。