電子帳簿保存法
電子帳簿保存法とは何か
企業へのコンピュータの普及は、今日急速に拡大し、今やあらゆる分野で幅広く活用されています。そして、経理の現場も大きく様変わりしてきています。大企業ばかりでなく中小企業においても手軽にコンピュータを導入し、経理処理のデジタル化(情報の電子データ化)が進んでいます。
また、インターネットの急速な浸透により、今やあらゆる企業のビジネスが「IT化」し、特に電子取引(EDI・・Electronic Data Interchange)の普及には目を見張るものがあります。
このような急速な高度情報化、ペーパーレス化の進展の中では、取引情報のやり方も、紙から電子データへの移行が行われるわけですが、税法においては、取引情報、会計帳簿書類等を紙で保存することを義務づけていました。
電子帳簿保存法は、このような帳簿書類の全てを「紙」ベースに出力することを改め、その一部の情報については電磁的記録(以下「電子データ」という)及びマイクロフィルム(以下「COM」・・Computer Output Microfilm という)のままで保存すること、また、税法が電子取引のようなペーパーレス取引の原始記録の保存を義務付けておらず、このような不備な点の改善を図るため、経済界や関係各界からの強い要望により、平成10年7月1日に帳簿書類の保存方法等の特例として成立、施行されました。正式名称は、「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」です。
その後、依然として紙での保存を義務付けている多数の法律(約250本)が存在するため、統一的に電子保存を容認する法律が制定されました。平成16年12月1日に成立・公布された、「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律(平成16年法律第149号)」(以下「e-文書通則法」といいます。)と「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成16年法律第150号)」(以下「e-文書整備法」といいます。)です。 e-文書通則法は、民間事業者等が電磁的記録による保存等をできるようにするための共通事項を定めたものであり、通則法形式の採用により、約250本の法律による保存義務について、法改正せずに電子保存が容認されました。また、e-文書整備法は、文書の性質上一定の要件を満たすことを担保するために行政庁の承認等特別の手続きが必要である旨の規定等、e-文書通則法のみでは手当てが完全でないもの等について、約70本の個別法の一部改正により、所要の規定を整備しています。
税務関係書類については、適正公平な課税の確保のため、税務署長の事前承認を要件としているため、e-文書整備法において電子帳簿保存法を改正して措置しています。
具体的には、適正公平な課税を確保するため、特に重要な文書である決算関係書類や帳簿、一部の契約書・領収書を除き、原則的に全ての書類を対象に、真実性・可視性を確保できる要件の下で、スキャナ保存(スキャナを利用して作成された電磁的記録による保存をいいます。)を認めることとしています。
電子帳簿保存法を導入するにはどうしたらよいのか(要件)
電子帳簿保存法は、大別して「電子データによる保存の規定」と「電子取引(EDI取引)の取引情報等に関する規定」に分かれます。
それぞれ個別に見ていきますが、その前に対象となる帳簿書類の範囲や保存できるメディア等について説明しておきましょう。
1 対象となる帳簿書類の種類
税法で備え付けを規定している帳簿書類の全てが対象となります。
具体的には、仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、預金出納帳、経費帳、入金伝票、出金伝票、振替伝票、固定資産台帳、賃金台帳やその他の補助元帳などの会計帳簿及び決算関係書類である貸借対照表、損益計算書のほかに、領収書、請求書、注文書、契約書、レジペーパーなどの書類も含まれます。
このように、注文書や契約書などの原始記録となるものも電子帳簿保存法の対象データとすることができます。
2 対象となる帳簿書類を選択できる単位
電子帳簿保存法の適用を受けるためには、全ての帳簿書類が対応している必要があるのでしょうか。部分的に対応している帳簿書類や部署ごとでは、認められないのでしょうか。ここでは、認められている帳簿書類や部署の選択できる単位について説明していきます。
① 帳簿書類の単位
税法で備え付けを規定している全ての帳簿書類を、対象となる帳簿書類として選択する必要はありません。例えば、「仕訳帳と総勘定元帳を選択し、他の帳簿書類は選択しない」、あるいは「レジペーパーだけを選択する」など個別に帳簿書類を選択することができます。
つまり、電子帳簿保存法の適用を受けた方が、手間やコストの面から考えても有利となる帳簿書類だけを選択することができるわけです。
② 本支店単位
電子帳簿保存法の適用は、本支店や営業所単位で選択することができます。例え ば、「本店で作成されている仕訳帳と総勘定元帳のみを選択し、支店で作成されている帳簿書類は選択しない」、あるいは「本店、支店の両方で、契約書だけを選択する」など、いろいろな選択の方法が考えられます。
このように、本支店でそれぞれ別々に電子帳簿保存法の適用を受ける帳簿書類を選択することができるわけです。
③ 選択できない帳簿書類
電子帳簿保存法で保存の対象となるのは電子データに限られます。しかも、自分自身が、最初から最後までコンピュータを使って記録されたものでなければなりません。途中で手書き作業がなければ完成しない帳簿書類は、電子帳簿保存法の適用を受けることはできません。
例えば、相手から紙で受け取った領収書を電子データに置き換えても対象とはならないのです。
但し、今回の電子帳簿保存法の改正により、以下の書類についてはスキャナ保存として保存の対象になります。
イ 3万円未満の契約書・領収書及びこれらの写し
ロ 帳簿・決算関係書類、契約書・領収書以外の書類
(例えば、契約の申込書、請求書、納品書、送り状、検収書、見積書、注文書等及びこれらの写し)
④ 貸借対照表及び損益計算書について
貸借対照表及び損益計算書は、個々の取引を積み上げた結果を集計して作成される書類です。電子帳簿保存法では、「取引データを記録する最初から一貫してコンピュータを使用して作成された帳簿書類」でなければならないと規定されています。したがって、例えば手書きで作成された総勘定元帳の内容を、コンピュータに入力して作成された貸借対照表及び損益計算書は、対象とはならないということです。
3 保存できる記憶媒体
電子帳簿保存法における「電磁的記録」とは、コンピュータに記録されている電子データを意味しますが、その記憶媒体までは規定していません。どのような記憶媒体に対象データを保存するかは、保存義務者が任意に決めることができます。
最近、多く用いられているのは、進行中の会計年度の電子データをハードディスクで運用し、決算終了後、フロッピーディスク、MO、CD-R、CD-RW、DVDにバックアップするという方法です。
では、電子帳簿保存法の具体的な中身に入っていきましょう。
まずは、「電子データによる保存の規定」についてです。電子帳簿保存法は、コンピュータによって作成された帳簿書類に関する法律です。対象になるデータは、コンピュータによって作成されたデータ、つまり、電子データですが、電子データであれば何でもよいわけではなく、保存の方法には一定の要件(5項目)があります。
1 訂正・削除の履歴の確保
コンピュータ処理は、痕跡を残さずに遡及してデータを訂正、削除することが可能です。そこで、適正公平な課税を確保するため、入力済みデータを訂正削除したときは、その履歴を自動的に残すようなシステムであることを求めています。
例えば、取引情報を訂正するとき、正しい仕訳に訂正後「上書き保存」等のコマンド(命令)と同時に訂正した履歴が残るシステムでなければなりません。「訂正又は履歴を作成する」などのコマンドが別に用意されている場合は、履歴の確保が自動的に行われていることに該当しません。すなわち、履歴を残すか残さないかの判断を、ユーザーに委ねていないシステムでなければいけないわけです。
ただ、訂正又は削除の履歴の確保の主旨は、不正を防止することです。単純なミスの訂正又は削除の履歴をひとつひとつ残すシステムでも構わないのですが、その主旨を考えると、全ての履歴を残す必要はありません。そこで、電子帳簿保存法では、電子データの取引情報の誤りを是正するために期間を設けている場合は、この期間は訂正又は削除の履歴を残さないシステムを認めています。
そして、この是正する期間を、電子データの取引情報を入力した日から1週間を超えないものに限っています。この場合、社内の事務手順規定などに、その旨定められていなければなりません。
また、電子帳簿保存法では、取引情報を直接に訂正又は削除することができないシステムで、それに代えて反対仕訳を入力して訂正又は削除と同様の効果を生じさせるシステムの場合は、訂正又は削除の履歴が残らないシステムでよいとされています。
更に、電子データの取引情報を入力すると同時に、入力日又は一連番号が自動的に付され、その入力日又は一連番号が訂正又は削除できないシステムの場合は、一定期間を超えて入力された取引情報を入力日又は一連番号で特定することができます。このようなシステムを利用する場合は、訂正又は削除の履歴が確保されていることとされます。
電子帳簿保存法では、コンピュータが従来持っている機能を追認しているものが多く見受けられます。画面表示、印刷機能や検索機能は既に実現されていますが、中でも最も関心を集めているのが「訂正又は削除の履歴の確保」です。これは何故なのでしょう。
手書きで帳簿を作成する時を考えてください。金額を間違えたとき、どうするでしょう。赤の二重線で間違った金額を打ち消し、訂正印を押印し、その上に正しい金額を記入し直します。電子帳簿保存法は、これと同様のことをコンピュータシステムにも求めているのです。これは、コンピュータの得意とする機能の一つである「遡及して過去のデータを訂正又は削除できる機能」を使って、不正が行われることを防止することに目的があります。つまり、電子帳簿保存法では、最も重要な項目なのです。
2 記録の相互関連性の確保
発生した取引を記録する帳簿は、一つとは限りません。最初に仕訳帳や会計伝票に記入され、次に総勘定元帳、取引の内容によっては補助元帳にも記録されます。つまり、取引の内容は、決められた分類方法に応じて、所定の帳簿にそれぞれ転記されていきます。電子帳簿保存法では、一つの取引に関連した各帳簿が、相互に関連し合っていることを求めています。
各帳簿間の関連性を特定するには、次のような条件が必要です。
● 個別取引を個別に転記している場合、各帳簿で取引が同一取引として特定できること
● 個別取引を合計転記している場合、各帳簿間で記録が特定できること
● 個別取引を集約して転記している場合、各帳簿間で記録が特定できること
帳簿間の相互関連性の確保とは、電子帳簿保存法の適用を受けた帳簿間だけで実現されていればよいというわけではありません。電子データとして作成されている帳簿が、電子帳簿保存法の適用を受けていなくても、電子帳簿保存法の適用を受けた帳簿との間で相互関連性の確保が必要とされます。更に、電子帳簿保存法の適用を受けた帳簿は、手書き帳簿との間でも相互関連性の確保が必要です。
3 可視性の確保
電子データは、肉眼では見ることができません。電子帳簿保存法では、電子データを見読できるコンピュータ、モニター、プリンタ(以下「コンピュータ等」という)の備え付けが義務付けられています。しかも、モニターの画面やプリンタにより速やかに整然とした形式及び明瞭な状態で出力できることが要件になっています。
コンピュータ等の設置場所は、保存義務者の納税地に設置されていなければなりません。保存義務者が、電子データの作成を会計事務所又は情報処理専門(記帳代行)会社へ業務を外部委託している場合でも、保存義務者本人の納税地にコンピュータ等が設置されていなければいけないのです。
ただ逆に言えば、保存義務者の納税地にコンピュータ等が設置されていて、速やかに電子データを画面又は紙に出力できる環境にあれば、電子データの保存場所やソフトウェア、ハードウェア環境には制限を設けていないわけです。しかも、条件が整っていれば、外部に委託することもできるわけです。つまり、電子データを常時保存できる場所であれば地球上のどこでも構わないことになります。
4 検索機能の確保
電子帳簿保存法では、電子データを特定できる検索機能が求められています。検索機能とは、蓄積された電子データから設定された条件に該当する記録事項を探し出すことができる機能のことで、抽出された記録事項のみをモニターの画面及びプリンタに整然とした形式と明瞭な状態で出力できる機能を含みます。
検索条件には、取引年月日、勘定科目、取引金額などがあります。しかも、取引年月日と取引金額には、範囲指定ができることを条件にしています。また、2つ以上の任意の記録事項を組み合わせて条件を設定できることも求めています。
5 備え付け書類
コンピュータのシステムには、市販されているもの、自分で開発したもの、または、外部に委託して開発したものなどいろいろあります。もちろん、その操作性も統一されているわけではありません。そこで、操作説明書等の備え付けを義務付けているわけです。
しかし、これら全ての書類の備え付けが必要なわけではなく、保存義務者のシステムの状況に応じて、備え付けに必要な書類は異なります。
● システム全体の概要を記載した書類
● システムを開発していく過程で作成される書類
● システムの操作説明書
● 事務手続きの手順を記載した書類
● 他の者との業務委託に係わる契約書
備え付けが義務付けられている書類を保存しておく場所は、電子データの保存場所と同様に、整然とした形式及び明瞭な状態で速やかに出力できるときは、納税地に保存されているものとして扱われます。
例えば、計算センターのサーバーや情報処理専門(記帳代行)会社のサーバーに備え付けが義務付けられている書類を保存しているときでも、ネットワークを通じて速やかに出力できる場合は、納税地に備え付けられているものとして扱われます。
次ぎに、今回の改正で認められたスキャナ保存の要件を見ていきましょう。
それは読みとる装置と真実性の確保及び可視性の確保です。
1 読み取り装置
まず、財務省令で定める装置としてはスキャナ(原稿台と一体となったものに限ります。)が定められています(電子帳簿保存法規則3④)。したがって、デジタルカメラやハンドスキャナは、この装置の対象とはなりません。
2 真実性の確保
(1) 入力要件 (次のいずれかにより入力)
① 作成又は受領後、速やかに入力 (受領後1週間以内)
② 業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかに入力(事務手続を明らかにした書類に明記)
月次処理等、最長でもそのサイクルは、1ヶ月と考えた方が良い。
(2) 電子計算機処理システムの要件
① 解像度・階調(解像度200dpi以上、256階調(1,677万色)以上)
形式はTIFFまたはPDF。ガンマ補正等、画像の補正は行わず、原本に忠実に
② 電子署名 (偽造不能な署名を付して改ざんを防止する)
③ タイムスタンプ (イメージ化した時刻を第三者が証明)
④ 読み取った際の解像度等の情報の保存
⑤ ヴァージョン管理(訂正・削除の事実及び内容の確認)
(3) スキャニングした書類と帳簿との関連性の確保 (伝票Noの付番など)
(注)資金や物の流れに直結・連動しない書類をスキャニングする場合には、入力要件、タイムスタンプ要件以外の要件を満たし、その電磁的記録の作成及び保存に関する事務手続きを明らかにした書類の備付けを行うことにより、スキャナ保存できる。
3 可視性の確保
(1) 14インチ以上のカラーディスプレイの備付け
(日本工業規格による4ポイント文字の認識ができるディスプレイ)
(2) プリンタの備付け・・・整然と、書類と同程度に明瞭に
(日本工業規格による4ポイント文字の認識)
(3) 検索機能の確保
(4) システムの概要書等の備付け
次に「電子取引(EDI取引)の取引情報等に関する規定」に入っていきます。
所得税法及び法人税法では、原始記録の保存が義務付けられています。従来、これらの原始記録は紙(書面)で受け渡しが行われていたため、その保存も紙(書面)の写しを対象にしていました。
このため、取引の最初の段階から紙(書面)を必要としない電子取引は、取引記録を紙(書面)で保存することを定めている所得税法及び法人税法などの範囲から外れ、取引記録が残されていない状況があったことは否めません。
電子帳簿保存法において、これら電子取引の原始記録の保存が初めて義務付けられたのです。
電子取引は、取引の時に交わされた情報そのもの(具体的には「電子メール」)が原始記録となります。具体的には、取引に関して受領し、または交付する注文書、契約書、領収書等に通常記載される事項が対象となります。ただ、電子取引では、取引情報をやり取りしていく過程で、当初送受信したデータ項目の内容が変更されたり、削除又は追加されたりします。このようなとき、その取引情報のやり取りの過程と全て残す必要はありません。最終的な確定情報のみを保存すればよいこととされています。
これらの取引情報の保存要件としては、コンピュータシステムの概要を記載した書類の備え付け、可視性の確保、検索機能の確保が求められていますが、その内容は、電子データの保存のときとほぼ同じです。
また、電子取引の取引情報を電子データに代えて紙により保存するときは、その取引情報を整然とした形式で明瞭な状態で出力し、整理することが条件となっています。
電子帳簿保存法の手続き(申請から承認まで)
保存義務者は、国税関係帳簿書類の全部又は一部について、電子データ又はCOMによる保存等を行うには、所轄税務署長等の承認を受けなければなりません。電子帳簿保存法は、本来紙で保存するものと定められている帳簿書類の保存方法の特例措置を定めた法律です。
したがって、承認申請をしなかったときは、原則通り紙による帳簿書類の保存を行うことになります。
帳簿書類の保存を電子データまたはCOMで行う時の承認申請の提出期限は、電子データまたはCOMの保存による帳簿書類の備え付けを開始する3ヶ月前の日までに申請書を提出しなければなりません。また、書類の保存についても、電子データまたはCOMの保存に代えようとする3ヶ月前の日までに申請書を提出しなければなりません。
今回認められたスキャナ保存の申請についても、同様に3ヶ月前の日が期日ですが、平成17年4月1日から平成18年3月31日までは5ヶ月前までの期日となっています。
ただ、帳簿の備え付け開始は、課税期間の開始日から備え付けられ、順次取引データが積み上げられるものであるため、原則課税期間の途中から電子データによる保存に切り替えることができず、課税期間の途中から承認を受けることができません。
一方、書類については、帳簿のように徐々に積み上げていくものではなく、作成されたときに保存が開始されます。したがって、課税期間の途中からでも保存を開始することができます。
また、電子帳簿保存法では、帳簿と書類、更に帳簿の中でも仕訳帳と総勘定元帳、事務所や部署単位など、承認申請書の届出書を提出する単位は任意に決めることができます。
承認申請書には、次に掲げる書類を添付することになっています。
● 電子計算機処理システムの概要を記載した書類(市販の会計ソフトを使用する場合は不要)
● 電子計算機処理に関する事務手続の概要を明らかにした書類(電子計算機処理を他の者に委託している場合は、その委託に係わる契約書の写し)
● 記載事項を補完するために必要となる書類その他参考となるべき書類(市販の会計ソフトを使用する場合は、ベンダが用意する説明書の添付が必要)
所轄税務署長は、提出された承認申請書に対して承認又は却下の処分を書面によって通知します。この時、却下の処分を通知するときは、その理由が記載されます。なお、次に掲げる日までに承認又は却下の通知がなかったときは、承認されたものとみなされます。
① 帳簿の備え付け開始の日、及び書類保存開始の日の前日
② 新設法人の申請期限の特例に基づく申請の場合、その承認申請が提出された日から3ヶ月後の日
(参考)電子帳簿保存法に係る申請件数 (平成16年11月 国税庁発表)
平成15事務年度における全体の申請件数は、12,978件で前事務年度に比べ4,459件(52.3%)の増加でした。
税目別の申請件数では、前事務年度に比べ法人税・消費税関係が1,626件(25.9%)、源泉所得税関係が2,535件(175.3%)、所得税・消費税関係が35件(4.8%)、その他の国税関係が263件(341.6%)といずれも増加しています。


電子帳簿保存法の目的はなにか(国は何を目指しているか)
電子帳簿保存法の目的を考えるとき、欧米各国で急速に進む「電子政府」の存在があります。「電子政府」とは、国・自治体と企業・家庭をインターネットなどで結び、役所の窓口に出向くことなく、24時間いつでも行政サービスを受けることができる仕組みです。許認可の申請や税金・手数料の支払い、住民登録、民間企業からの資材調達、政府文書の公開などが電子化の対象となります。
行政サービスの電子化は、行政の無駄を省くほか、民間側のコスト削減につながります。
先行しているカナダでは、旅券の更新や年金加入手続きの電子化も視野に入れており、政府が子供の文通仲間の紹介まで手掛けるなど、サービスも幅広いものです。米国ではクリントン前政権下で政府の再構築政策を打ち出し、2003年までに連邦政府の行政手続きのほぼ100%電子化をしました。その後は、市民に電子政府の存在を周知し、そのサービスを活用してもらうこと、そして実際にサービスを利用したユーザーからの声を取り込み、より便利で役立つものに改善していくような取り組みが重要になっています。例としては、IRS(Internal Revenue Service: 内国歳入庁)を挙げることができます。IRSは2002年から2003年にかけて、オンラインで確定申告を行うことができ、該当者は税額計算を無料で受けられる「Free File」制度があることを国民に周知させるべく広告キャンペーンを展開しました。申告時期にオンラインサービスの案内ハガキを国民に送付したほか、IRSが発行する出版物やパンフレットなどにサービスのロゴを掲載するなどの広報活動も実施。また、申告を行うサイトとは別に、オンライン確定申告サービスの内容について詳しく説明するウェブサイトを立ち上げ、実際にサービスを利用したユーザーへの電話アンケートによる利用満足度の調査も行っています。このような活動が功を奏し、2002年には280万人だったFree File利用者は、2003年には350万人にまで増加しました。
日本は欧米各国に比べて出遅れていますが、2005年はLGWAN(総合行政ネットワーク)と霞ヶ関WANの2つのネットワークが接続されました。また、民間分野においても、「e-文書法」の制定、商法に規定される手続きや業務の電子化、法務局業務の電子化、その他様々なIT関連立法によって、制度面での電子化環境が整備され、今後急速に電子化が進むのではないかと期待されています。
このような全世界で進む「電子政府」の存在が、企業データの電子化を促進し、電子申告制度や電子取引を拡大、進化させているのではないでしょうか。電子帳簿保存法はそのほんの一部分なのです。日本に「電子政府」が誕生するとき、かつての米国の「レーガノミックス」のように「小泉改革」が成功し、新しい自信を持った日本に変わっていることでしょう。
電子帳簿保存法を導入することで何がメリットとなるか
電子帳簿保存法導入のメリットは、大きく分けて3つあると思います。一つは、コンピュータ上で行われる業務プロセスがスムーズになり、経営のスピードアップに役立つことです。2つ目は、紙への出力、配付、保存などに係る膨大なコストを大幅に削減できることです。3つ目は電子文書システムの持つセキュリティ対策により各種のリスクの軽減が計れる点です。
帳票の電子化が高度に進められた段階では、ビジネス情報の大半は、業務アプリケーションで作成され、データベースに蓄積されます。伝達や承認の作業はネットワークシステム上でほぼリアルタイムに進行し、パソコン上で多次元集計やグラフ化することによって、新たな戦略の立案や、これに対する意思決定がスピーディに行うことができます。また、電子化した帳票の情報は、社内で幅広く共有することもできますから、意思疎通においてもスピードアップを図ることができます。具体例で言いますと、「担当者でないと書類の在りかが分からず、必要な書類が出てこない」とか「いつもいつも書類を探すのに時間かかり、お客様への迅速な対応ができない」という事態を回避できます。
このように帳票の電子化は、新しい経営方針や企業戦略を実行する上で、また仕事のスピードアップや顧客の信頼性確保に不可欠であり、経営課題の解決に大きく貢献します。
次に、帳票の電子化は、用紙への出力やその保存に係るコストを削減することができます。
帳票は、出力するだけでも、膨大な量の紙が必要です。これを仕分けして配付するには、人件費や配送代などが加わります。更に、保存コストはかなりの負担となります。法令または企業が独自に定めたルールでは、段ボール数十箱分の帳票を5年から7年は保存しておかなければならないのです。社内に置けば必要なスペースが狭くなりますし、倉庫に預ければ保管料金が必要になります。紙の帳票は、廃棄に際してもコストがかかります。
電子帳票システムでは、CDROM1枚に21万枚(640MBの場合)の帳票が収まりますから、特別な帳票保存スペースは不必要になります。
国税庁が企業からヒアリングしたところ、保存コストが年間数千万円から数億円単位にのぼる企業において、帳票を電子化すると、71%~75%のコスト削減が見込めるとのことです。
更に、電子文書システムにおいては高度のセキュリティ対策が取られますので、紙ベースで保存されていた時に比べて高度な機密性が確保されます。従って、個人情報保護やプライバシー保護にもつながることになります。また、要件を満たしたデータであれば、複製されたものでも証拠能力が認められますので、地震等の災害に備えた事前の対策(バックアップ処理)も容易になります。
電子帳簿保存法の諸外国の状況はどうなっているのか
海外の事情として、コンピュータ先進国である、米国の状況をみてみましょう。
ご承知の通り、米国はコンピュータ先進国であり、情報インフラの整備、最先端の情報通信技術を駆使したネットワークの構築により、企業における情報管理の最も進んだ国の一つと言えます。
米国においては、会計・税務に関する情報のみならず、あらゆる階層の情報が電子化されてきておりますが、今回の日本における電子帳簿保存法と同様規定は、記録保持に係る一般原則である内国歳入法6001条およびそれに基づく歳入手続91-59が公布されております。
米国の電子記録保持に関する法整備は、我が国よりも早くからおこなわれており、1964年に、現在の歳入手続91-59の先駆けとして、歳入手続64-12が既に定められ、電子媒体による記録の具備要件についての指導基準が稼働していました。
その後の情報技術の進展、コンピュータ技術の発展に伴い改正され、現在の歳入手続91-59(1991年)の制定に至っております。
当初の歳入手続64-12制定後、内国歳入細則71-20が制定され、納税者の自動電算システムにおけるデータは、内国歳入法6001条に定める記録とみなされるとされ、電子媒体によるデータの税務証拠能力に関して法的な基礎が与えられております。
内国歳入手続91-59は、納税者の税務データをその有する電算システムに記録する場合の税務当局が必要と考える要件を記載したものです。基本的な考え方として、当手続が納税者のシステム設計にあたって、過度の負担と費用を強いるものではなく、納税者の情報管理のありかたに過度の介入を行うことを避けるとの観点から、システム設計に関する概要の記録保持、運用方法に関するドキュメンテーションの整備に関する規定を主に規定しており、情報技術の進展に対応しうる柔軟な規定ぶりとなっているようです。
電子帳簿保存法と電子申告の関係はどうなっているのか
日本の税務行政において、2003年度から電子申告制度が導入され、適用エリアは既に全国に広がっています。電子帳簿保存法はそのための布石であるわけです。
電子申告制度を利用できるのは、国税に関する申告、納税及び申請・届出等の各手続で、具体的には、次のとおりです。
1 申告
所得税(死亡した場合のいわゆる準確定申告を除きます。以下同じ。)、法人税、消費税(地方消費税を含みます。以下同じ。)、酒税及び印紙税に係る申告
2 納税
全税目に係る納税(源泉所得税の納付や納税証明書の発行のための手数料の納付を含みます。)
3 申請・届出等
青色申告の承認申請、納税地の異動届及び納税証明書の交付請求などの申請・届出等
なお、利用者の選択により、申告、納税及び申請・届出等のすべてを利用することや申告手続のみなど一部についても利用することができます
電子帳簿保存法に該当するシステム(会計システム)の要件は
電子帳簿保存法に該当するシステム(会計システム)の要件としては、電子帳簿保存法を導入するにはどうしたらよいのか(要件)でも指摘した通り
1 訂正・削除の履歴の確保
2 記録の相互関連性の確保
3 可視性の確保
4 検索機能の確保
5 備え付け書類
の全てを満足する必要があります。
