写真帳3復活蒸機編☆C623 函館本線


小沢 1995年5月4日

C62伝説

出発の汽笛が聞こえると、緊張が高まり、身構え、耳をすませる
彼方には頂上に雪を残したニセコアンヌプリが見える
ざわざわと風が吹いてくる
空を見上げれば、雨雲をつれてくるC62の伝説のとおり、急に空が暗くなる

やがて再び汽笛の音、そしてそれに続く怒涛の連続的ドラフト
ぽつんと見えた黒い塊は、信じられないほどの速度で見る見る近づいてくる
速度を落とすと、空転してしまうC62
ジェット機の爆音まがいのうなりを上げて
カーブの多い急坂も極限に挑むように更に加速する
吹き出す黒煙は竜の化身のように
安全弁から蒸気のパワーを噴出させて
吐き出すドレーンは
雲のように足回りにまとわりつき
そのまま雲に乗り、空を飛んでいってしまいそうな錯覚を覚える
夢中でシャッターを切ると、豪快に汽笛を鳴らして走り去る
客車のジョイントが後に続き、煙が残される

雪を抱いたニセコアンヌプリが見える
稲穂峠へ向けて坂道を駆け上がるドラフトのリズムが風に乗って聞こえてくる
次第にその音が遠くなり、稲穂嶺の原生林の奥から
稲穂トンネルに突入する凱歌の汽笛がこだまする




216.3KP 1988年5月4日



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