ラーメン屋「資料軒」☆資料室

急行「まりも」の小樽−釧路間の牽引機の運用について

交友社の「SL」No1に「まりも」のC62重連の記事で、小樽で牽引機が交代する時の様子について、「はるばる狩勝越えをしてきたC57に代わってC62重連が登場」と表現されていて、鉄道ジャーナル社の旅と鉄道No78の「急行列車特集」や、別冊シリーズ「急行列車」などにも「小樽からはC57形が牽引」という表現があります。これらの文面からは「まりも」の小樽〜釧路間は、C57形のロングラン運用であったように思えます。ところが、昭和31年11月19日改正の運用表(北海道鉄道文化協議会「C623軌跡」)、昭和39年10月1日改正の客車運用表(レイルマガジン社「感動の所在地3」)を調べてみると、いずれも「まりも」は小樽〜富良野間のみがC57形の牽引で富良野以東はD51またはD60の牽引のようです。もちろん、普通列車411レや412レ、419レ、418レ(後の421レ、420レなど)はC57形が小樽〜釧路をロングランしたことはこれらの資料からも分かりますが、「まりも」に限って言えば、運転開始からDL化まで富良野で機関車を交換する運用になっていたのではないでしょうか?
急行「まりも」は昭和26年4月1日の改正で正式に命名された、北海道で一番歴史の古い「ネームド・トレイン」ですが、その機関車運用についてはあまり情報が無い事に驚かされます。その数少ない情報の中で、「まりも」運転開始後間もなく、昭和26年5月17日狩勝峠のキロポスト129.639付近で4レ牽引のC57104[釧路]が脱線転覆する事故があったと言う記録が残っています。これについて「一時的に小樽〜釧路を運用していた」という解説をした記事がありましたが、小樽〜釧路の普通列車のロングラン運用は昭和26年7月1日から始まったと言う記録があり、これと矛盾します。急行列車は普通列車より編成が長く、速度も高いので、普通列車でのロングランより先に「まりも」がロングラン運用だったとは考えにくいのです。この時の牽引機C57104は富良野か滝川までだったのではないかと思います。
またR/J誌74年6月号に富良野で機関車交換をするようになったのは、客車がスハ45やスハフ44に代わって牽引定数が増え、池田区にD60形が配属されてから、という記述もあります。池田区にD60が配置されたのは昭和28年以降の事のようですので、可能性だけを考えれば昭和26年7月1日から昭和28年までの間には、C57形が「まりも」の小樽〜釧路をロングランした可能性は残っていますが、同じR/J誌の72年3月号に昭和26年7月1日から始まったロングランは405レ、406レ、411レ、412レであると書かれているので、当時の3レ、4レ(まりも)は運用が別だった可能性が高いのです。
私はこの「SL」No1の記事やC57104の脱線事故の記事の筆者は、実際運用を確かめていなかったのではないかと考えています。特に「SL」No1の記事が非常に印象的で、その後のC62重連のレポートにも多大な影響を与えた事や、「まりも」の小樽〜釧路については小樽〜函館に比べて全く地味な扱いしかされなかったために、この辺の事情が注目されること無く現在に至っているように思えます。
しかしながら、私の推測だけでは心もとないので、本当に一時期「まりも」の小樽〜釧路間で、C57形のロングラン運用があったのかもしれません。この疑問が長らく心に引っかかっていたので、過日、小樽在住の大先輩の方にこの真偽の程をご教示いただきました。
それによると「まりも」は「C623軌跡」のとおり、富良野で機関車を交換していたということでした。正月の増結時などには臨時的な運用もあったかもしれないそうですが、乗務員の関係もあるので、平常時は富良野で機関車交換していたはずで、「SL」No1の記事は疑問が残ります−ということでした。
「SL」No1の急行「まりも」は確かに名作であり、これを参考にして、その後書かれたレポートが多いのは良いのですが、C62重連に隠れて「まりも」のもうひとつの主役C57形があまりにぞんざいに扱われるのは、個人的に思い入れが強いだけに、残念でなりません。
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昭和31年11月19日改正の小樽築港のC57運用表

仕業No1 小樽311レ旭川〜旭川2レ(大雪)小樽
仕業No2 小樽411レ釧路
仕業No3 釧路412レ小樽
仕業No4 小樽1レ(大雪)旭川 (以下省略)
仕業No5 小樽7レ(まりも)富良野〜富良野8レ(まりも)小樽
仕業No6 小樽503レ旭川〜旭川4レ(アカシア)小樽
仕業No7 小樽3レ(アカシア)旭川〜旭川504レ築港
仕業No8 小樽315レ旭川〜旭川510レ小樽
仕業No9 小樽419レ釧路
仕業No10 釧路418レ小樽
仕業No11 小樽509レ旭川〜旭川24レ小樽
仕業No12 (一部略)札幌108レ函館(苫小牧回り)
仕業No13 函館107レ札幌(苫小牧回り)(以下略)
仕業No14 小樽25レ旭川〜旭川312レ小樽
短い区間の回送は省略。



美唄駅 C57201[小樽築港]    1963年8月    撮影 宮田寛之さん


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