6:00起床
いきなりキャンプ場のスピーカーから意味不明のサイレンが鳴り起こされる。何だ〜と思いテントの外に出るが、別に何か緊急事態が起こっているというわけでもないようだ。いったい何だったんだ...。うーん、それにしてもよく眠った。涼しくて静かだったこともあるが、キャンプでこれほど熟睡したのもひさびさである。いよいよ本日が旅の最終日である。
7:00撤収終了
となりのホテルのそばにある自動販売機でジュースを2本購入し、1本は飲みほし、もう1本はボトルにつめる。この辺りは朝食を食うようなところが何もなさそうなので、五所川原で購入した非常食用のウィダーインゼリーを飲み朝食代わりとする。空を見上げるとうっすらと曇っている。なんだか今日は天気が悪そうだ。
自転車大好きおじさん
さて出発しようとすると、なにやら自転車を積んだ車から子供連れのおっさんがおりてきて、「こんにちは!」と言って我々の方に近寄ってきた。「これからどこに行くのですか」と言われたので、男鹿半島の残りを周って秋田まで下りるようなことを話すと、「それだったら寒風山に行くといいですよ」と言われる。なんでもそのおっさんは昨日その「寒風山」に自転車で登ってきたらしく、頂上ではすばらしくいい景色が望めたと言っていた。話を聞くと、そのおっさんは子供と一緒に自転車を積んで車で旅をしているらしく、子供の夏休みの間ずっと一緒に旅を続けているのだという。何だか見るからに「自転車大好きおじさん」という感じの人だ。今日はこれからマウンテンバイクのレースを見に行くと言っていたが、子供にとってはきっとすばらしくいい夏休みの思い出になるのだろう。人それぞれ旅のスタイルというものがあるものだ。その後いろいろと会話を交わした後おっさんと別れ出発する。
ゆるやかな下りが続き、戸賀湾沿いに出る。ここから入道崎周りの道と男鹿温泉へショートカットする道と2通りあるのだが、入道崎周りで行くとあまりにも遠回りとなるためショートカットの道を選択することにした。(しかしこの選択は今から考えると誤りであった。)
ものすごい急坂
道が徐々に狭くなり、ものすごい登りになってきた。まるで壁のような上り坂だ。立ちこぎをしないととても登れない。傾斜だけだと今までの自転車の旅で通った坂の中ではNo.1ではないだろうか...。こんなことなら入道崎周りの道をのんびりと走った方が良かった。しかしもうだいぶ登ってしまい引き返すこともできないところまで来てしまっているので、力を振り絞って登ることにする。
上り坂は延々と続く。うーむ、この分だとこの旅2度目の「押し」がはいってしまうのか...。そんなことを思いつつも頑張って登っていると、ようやく頂上が見えてきた。と思ったらものすごい急な下りだ。まるでとんがり帽子のような峠道である。急坂をハイスピードで下り、あっという間に男鹿温泉卿に入る。
男鹿温泉
この辺りはいかにも高そうな温泉旅館が立ち並び、何となく日帰り入浴は出来なさそうな雰囲気だ。しかしせっかく来たのだからと、一応適当な旅館に入り、日帰り入浴は出来ないかどうか尋ねてみる。すると案の定温泉は宿泊客だけしか入ることが出来ないと言われる。残念...あきらめて立ち去ろうとすると、旅館のおかみさんに「この先の『雄山閣』という旅館だったら入ることができますよ」と言われる。おお、ありがたい。ということでその『雄山閣』へ行ってみることにする。
8:40〜9:20なまはげ湯
なかなか高そうな雰囲気をかもし出している旅館だ。とりあえずフロントへ行き入浴だけしたいという旨を告げると、「¥300です」と言われる。あれっ意外に安いなあ。旅館の人に案内され、さっそく大浴場へ向かう。大浴場の名前は「なまはげ湯」と言い、その名の通りなまはげのお面が風呂場に置かれている。なまはげの口からは温泉がすごい勢いで流れ出てきており、要はライオン風呂のなまはげバージョンである。かなり湯は豊富に湧き出しているようだ。泉質を見ると「純弱炭酸食塩泉」と書かれている。湯の色は昨晩のキャンプ場の温泉ほどではないが、それでもかなり茶色がかっている。なかなか独特の雰囲気を持つしぶい温泉だ。湯の花もかなり豊富に浮いており、脱衣場の脇には湯の花でできたでかい結晶が飾られていた。
なまはげ湯からあがり、朝のハードな峠越えによる疲れもすっかりとれたところで、今後の行動を検討する。この男鹿温泉に入湯したことにより、この旅において入湯した温泉の数は全部で9湯となった。せっかくここまできたら10湯入湯を達成したいところである。地図を見るとここから10km程先に「男鹿山温泉」という温泉地帯があり、安く入れる温泉施設があるようだ。こうなったら10湯達成しようということになり、その男鹿山温泉に行ってみることにした。
9:40男鹿山温泉 湯浴ランドおが着
なにやら空が曇り始めてきたなあと思って走っていると、ぽつぽつと雨が降り出してきた。やはり思ったとおり今日は天気が悪いようだ。雨も本格的に降り始めてきたころ、「湯浴ランドおが」に到着する。この旅10湯目の温泉である。
こちらは先程の男鹿温泉とはがらりと趣が異なり、いわゆる健康センターの様な温泉施設で、全身浴の他に泡風呂、サウナ、寝湯などあり、近代的なところだ。入浴料はやはり¥300で、どことなく八竜町で入った「砂丘温泉ゆめろん」と感じが似ている。ほんの1時間前になまはげ湯に入ったばかりでまさに「温泉のはしご」という感じだが、自転車の旅においては温泉には何回入っても良いものだ。全身浴につかるとものすごく気持ちがいい。記念すべき10湯目の温泉を存分に楽しむ。
温泉からあがり、施設の中にあるレストランでめしを食っていくことにする。カツ丼を注文。朝飯をろくに食わないで走ったため、ガツガツと食べる。カツ丼を食い終わり、地図を見ながら今後の予定を検討。ゴールの秋田まではあと40kmくらいか...。天気も悪いし観光するような場所もないので、後はノンストップで秋田まで行くだけか。
10:30湯浴ランドおが出発する。
外に出ると結構雨が強くなってきている。温泉に入った直後に雨の中を走るのはちょっとせつないが、雨具をはおり思い切って出発することにする。
なまはげライン
男鹿半島を斜めに走る通称「なまはげライン」を走る。結構アップダウンの多い道だが、峠というほどの道ではない。途中で青いなまはげが両脇に立っている橋を通過する。この橋は通称「青鬼橋」というようだ。「青鬼橋」があるのであれば「赤鬼橋」もあるのでは...と思いながら走っていると案の状赤いなまはげが両脇に立っている「赤鬼橋」が見えてきた。「青鬼橋」、「赤鬼橋」を越えしばらく走ると、昨日通った男鹿駅前の道に出る。遂に男鹿半島一周を果たしたようだ。
雨が本格的に強くなってきた。その上、前方を走っていたAの姿を見失ってしまったようだ。まあ最終目的地は秋田駅と決めているので、特に気にしないことにする。ちょっとコンビニに立ち寄りホットコーヒーを飲んで、「よし」と気合を入れて出発する。
しばらく走ると天王町に入り、海沿いの道に出る。この辺りは海が見えてそう快な道のはずだが、雨のため視界が悪く海は見えるものの、全く爽快な気分にはなれない。車がびゅんびゅん飛ばしている道なので路肩を走るが、水溜まりが多くスリップしやすいので、あまりスピードを出せない。
そんな調子でしばらく走り、スーパーのようなところでちょっと休憩する。リアキャリアの荷物がくずれかけていたので、ロープをほどいて結び直す。しかしすっかり体がびしょぬれになってしまった。地図を見るとここから秋田駅までは20km位だ。よし、あとひとふんばりだ。心なしか雨も小降りになってきた。頑張ろう。

やがて7号線と合流し、奥羽本線のすぐ脇を通る道となる。この辺りは路肩もせまく、かなり走りづらい。車の交通量も多く、危険度はかなりのものだ。何とかならないものかと思いつつ、そろそろと走行していると、「男鹿−秋田自転車道」という看板が目に入った。看板によるとどうやら男鹿から秋田までの自転車専用道が今走っている道の脇に存在するようだ。これは利用しないと損だと思い、自転車道の方向へ行ってみることにする。
まもなく自転車道らしき道に入り、車からのプレッシャーから開放されホっとする。自転車道は舗装されており、結構走りやすい。自転車道の途中に地図が表示されており、見るとこの自転車道は20kmもあるかなり大規模なもののようだ。うーん、もっと早くこの道に気付けば良かった。
リラックスしながら進んでいると、何やら前方に大きな道路が見えてきた。あれっ7号に合流してしまった。もう自転車道は終了なのだろうか...。しかたなく再び7号を走ることにする。またもや車とのプレッシャーと戦いながらの走行となってしまった。
そんなことをしながら走っているうちに徐々に街が栄え出してきた。いよいよ秋田市街に入ったようだ。しかし秋田中心部に近づくにつれ、雨量が増してきた。人通りも多くなり、こんな豪雨の中何をやっているんだ?という目でじろじろ見られる。
豪雨の中秋田駅ゴール
そのうちものすごい雨となり、走行に支障をきたすようになってきたころ、ようやく→秋田駅という看板が見えてきた。交差点を曲がると大きな駅舎が目に入る。遂に最終目的地である「秋田駅」ゴールである。
とりあえず駅舎の中に入り、すっかりびしょぬれになってしまったTシャツを脱いで、新しいものに着替える。どうやらAはまだ到着していないようだ。雑踏の中うろうろとさまよう。長旅が終わりに近づいているんだなあと思うと、何だかホッとした様な寂しいような複雑な気分にひたる。

走行距離:70.88km
所用時間:4時間10分9秒
平均速度:17.0km/h