慈善活動について考える


皆さんご存知の通り、スポーツ選手や芸能人には社会福祉活動に熱心な人が多いようです。生活に困らない以上の収入があることはもちろんですし、好きなことをして食べさせてもらっているという気持ちから社会に還元しようといった意識もあります。さらにはアメリカなどの場合税金に取られて訳の分からないことに使われるよりは自分の意図に合った非営利団体に寄付をして免税措置を受けた方が同じ額を失ったとしても充実感が違い、社会的評価も上げることができるといったことがあるようです。 実際のところランキング上位のプロテニス選手でチャリティー活動に関わっていない選手などいない状態ですが、その活動内容については特に日本では詳しく報道されることがないようです。

以外にと言ったら怒られるかも知れませんが、試合ぶりからはきかん坊の小僧にしか見えないレイトン・ヒューイットやアンディ・ロディックでもちょいちょいチャリティー活動に参加しているのです。
「聞きましたぞ、ヒューイット様。先頃何でもアデレードでオーストラリアンルールズフットボールのチャリティーゲームに参加なさったとか…。しかもウィンブルドンで一回戦負けした折にはキム姫の応援のかたわらイギリスの福祉施設慰問に精を出しておられたというではありませぬか」
「これは他人聞きの良い。そういうロディック屋こそチャリティーウィークエンドと称してディナー・ダンスパーティーやオークションを毎年企画してウィリアムズ姉妹やグロジャン殿を巻き込んだ上で収益を自分の児童福祉財団の懐に入れておるではないか。そもそも2002年のアディダスインターナショナルテニスで救世軍の募金バケツを持ってスタンドを回っていた若者は一体誰だったかのう」
「いやいや、そんなもの大したことではありませぬ。シドニーでのスターライトチルドレン財団のチャリティーテニスが、毎年50万豪ドル(4000万円)近くの収益を上げているのは決してラフター殿だけの仕業ではありますまい」
「ふっふっふ、ロディック屋、そちも善じゃのう」
などといった会話をツアーの合間にしているかどうかは知りませんが。

草トーナメントで稼いだ賞金や賞品を無為に使っているあなた。プロの選手はこうやって社会貢献しているのですぞ。

パット・ラフター
現在の職業「プロのチャリティーワーカー」。2002年1月に正式に引退をアナウンスするまでの職業「フルタイムプロテニスプレイヤー兼パートタイムチャリティーワーカー」。(最近ダブルスで復活しましたが)
当然ながら1999年に自分のチャリティー財団(パトリック・ラフター児童育成基金)を設立しています。子供が多いのにも関わらず(彼は9人兄弟)父親が毎週教会に小額を寄付をするのを見て育ったのでチャリティー活動するようになったそうです。
自分の財団を設立する前には1997年全米オープンの優勝賞金の約半額、50万米ドル(5500万円:具体的金額については諸説あり)を病気の子供たちのレジャールーム開設目的で地元オーストラリア・クィーンズランド州のロイヤルブリスベン病院にスターライトチルドレン財団を通じて寄付しています。この病院1年ほど前に全面建て替えしましたが、こんなんもう病院に銅像立ててもいいくらいです。この件本人は秘密にしておきたかったらしいのですがアメリカの新聞に暴かれてしまいました。(追記:寄付したのはキリスト教系のブリスベンマータ病院だという情報もあり。いずれにせよ同大会にもう一度優勝したときにも同額を寄付しているようです)
さらには水泳選手のマイケル・クリムとチャリティーゴルフで賭けをした時に勝ったことは勝ったのですが、「この機会に」ということでチャリティーのため髭と長髪を剃ることになりました。その断髪式を公開にして集まった人から寄付を募り、さらにはクリムのスポンサーのブラウンから「我が社のバリカンを使ってくれたら5万豪ドル(375万円)出す」との言質を取りつけ、しっかり財団に入れています。切った髪は6つに分割されてインターネットオークションにかけられました。
近年の恒例の活動としてはオーストラリアの映画館チェーンと契約して「タイタンズを忘れない」やニュージーランド映画 「クジラの島の少女」などの封切り映画を毎年4月に1日だけ通常の半額以下の5豪ドル(400円)で見られるようにして、その売上げ全額が自分の財団に入るようにしてます。
新聞のインタビューで「どんな人に会ってみたい」と聞かれた時に「援助を必要としている子供たちに会いたい」と答えるなんぞホント泣かせてくれます。
もっとちゃんと散髪したり、替えのシャツ買ったり、車買ったり(拠点にしていたバミューダでは自転車で移動していたらしい)自分のためにお金を使ったらどうと言う人もいましたが。 ともあれ名声を利用して何でもかんでもお金にしてしまう希代のチャリティー興行師と言ってよいでしょう。それでいてテニスの実力が低いわけではなかったのは立派。ほとんど試合に出ていない今でも彼に対する一件当たりのスポンサー料の相場は一件当たり40万豪ドル(3000万円)で、オーストラリアのスポーツ選手のランキングとしてはヒューイットとほぼ同額なのです。


アンドレ・アガシ
彼はアメリカで活動しているWORLD TEAM TENNIS という組織のプロ選手代表です。これはチャリティーテニスを運営する団体なのですが、現役プロ及び元プロ選手としてはミーガン・ショーネシー、宮城ナナ、アンディ・ロディック、アンナ・クルニコワ、アナスタシア・ミスキナ、マルチナ・ナブラチロワ、ニコール・アーデント、ジョン・マッケンローなどが参加しています。
この活動の一環として2003年9月には歌手のエルトン・ジョンの対エイズ財団に協賛する形でいくつかチャリティーマッチを行い、そのうちの男女対抗戦で彼と組んだアガシはクルニコワ・ルビン組(こちらのペアは何度もトーナメントに出ている本気の組み合わせです)と対戦しています。クルニコワがエルトン・ジョン(ゲイのアイドルとして有名)と試合後キスをしたとして話題になったのですが、彼女はアガシにサーブを手加減するように頼んでおったな。
もちろん彼は児童育成のための財団を持っているのですが、その活動の一環として「子供たちのためのグランド・スラム」と称してエルトン・ジョン、ライオネル・リッチー、セリーヌ・ディオン、グロリア・エステファン、アーノルド・シュワルツネッガー、スティビー・ワンダー、ロビン・ウィリアムスなどの協力を得て毎年ラスベガスで資金集めのためのコンサートを開いています。これはラスベガス最大のチャリティーコンサートなんだそうな。
その上彼は、何と自分の学校を持っています。州政府からの援助とそれ以外の資金を投入できるチャータースクールというシステムを利用して、教育環境に恵まれない子供たちのための学校をラスベガスに設立しています。テレビのレポートで教壇に立って喋っているシーンが写し出されていましたが、10年後のネバダ州知事選挙を狙っているのではないとは思いますけど。
各教室にアガシ様の肖像画が掛かっていてそれに向かってお祈りしてから授業を始めるといった形跡はありませんでした。
しかし人目に晒されるのが目的の広告ゆえ著作権には目をつぶってもらいたいのですが、下の写真はATPオフィシャルマガジン"DEUCE" 2003年版に載っていた敷石の寄付を募る広告です。(せっかく見たのだから協力してね)
Agassi Foundation

アガシの右隣の男の子、「偉大なる指導者様」に似てません?隠し孫がベガスにいて教育に難儀しているとは思えませんが…。


マイケル・チャン
チャン家族財団は地域スポーツの振興を目的とした財団です。当然スポーツ行事を企画しているのですが、バレーポールやバスケットボールの大会は定期的に開催しているのに対して、テニスは合宿があるのみです。もう戦うのは嫌なんでしょうか?


ユーノス・エルアンノウィー
2003年オーストラリアンオープン準々決勝で、アンディ・ロディックと対戦した時のこと。試合直前に主審から服装規定に違反するからモロッコの王立チャリティ財団のバッジを外せと言われてかなり抗議していましたが、結局従いました。1回戦や2回戦では問題にならなかったのでしょうか。結局この試合5時間からの持久戦になり、シャツを頻繁に替えましたので例えバッジを付けることができたとしても付け替えどころではなかったでしょうけど。
でももしかしてこれはテレビ中継を見込んで最初からトラブルを起こそうという彼の深謀遠慮かも?ただ単にバッジをつけているだけならその存在に気が付く人は少ないハズ。こうやって問題になったからこそテレビでもその解説があり、見ていた私達も財団の存在を知ったわけです。
これに目を付けた他の選手が宣伝目的で企業名とかが入ったステッカーを顔面に貼って出てこなければいいんですけど。テレビコマーシャルで宣伝しているトイレットペーパーを体に巻いて出てくるのは止めてね、レイトン。あなたが試合する時は既に観衆がスタンドでトイレットペーパーを振り回してますからそれで十分です。アンドレもアラミスの香水をつけて出てくるのはいいけれどKIAの4WD車でコート脇にまで乗り付けて来ないでね。


グスタボ・クエルテン
彼は弟が知的障害者であることもあって、特に障害者福祉に熱心で、2003年からは障害者と共にスポーツをする活動に取り組み始めました。
以前にも勝とうが負けようが出場した試合毎に1997年には500米ドル(5万円)、98年には200米ドルをブラジルの障害者支援団体(APAE)に寄付していました。彼によるとAPAEが新しいセンターを建てるのに60万ドル(6000万円)要るそうで、その一助となればという話です。97年のレベルで寄付をしたとすれば一年に1200試合戦えばそれだけでセンターが建つはずなんですが。一日三試合以上っていうのは無理ですか?毎週決勝に進出してもダメかな。


この他男子プロの活動で主なところををざらざらっと並べてもみますと、
ティム・ヘンマンは親戚を何人かガンで失い、義父がイギリスでも著名なガン専門外科医であることもあってガン患者支援を目的とするのマクミラン・ナースという団体に寄付をしているそうです。事業が成功したらお義父さん失業です。
マーク・フィリプーシスはアメリカを中心にガンやホームレスの子供を援助しています。オーストラリアでの活動が目立たないんですが・・・。
グレッグ・ルゼドスキーは子供にテニスの場を提供するクリフ・リチャードテニス財団(歌手のクリフ・リチャードが主宰)の主要メンバーです。
ユリ・ノバックやドミニク・ハバティはチェコ対スロバキアのチャリティーアイスホッケーに出ているらしい・・・。
セバスチャン・グロジャンはサイン入りのラケットを売った収益を病気の子供を支援するトレトンという団体に寄付しています。
マラト・サフィンもそのうち児童福祉の財団を設立したいと思っているそうです。


女子選手においてはWTAが2003年WTAチャンピオンシップの前夜祭として選手によるチャリティーファッションショーを企画したりもしてます。服も選手の自前らしいのでホントにチャリティーですが。
選手自身の活動としてはどっちかというと寄付より慰問系が多いんですが、ある意味募金活動より大変なんであります。


マルチナ・ヒンギス
1999年に国連の貧困対策チームの親善大使に任命された彼女、児童福祉を中心に活動しています。コロンビアやネパールを訪問し、ストリートキッズや薬物中毒者、売春婦と話をし、南米各国でチャリティーマッチを企画したり、WHOと組んでポリオワクチン接種のための募金活動も行っています。 2000年にコロンビアを訪問し、英語が少々喋れる元ストリートチャイルドで11歳の少年、アンドリューを通訳としてストリートキッズの教育施設を訪問した時のこと。彼女が帰ろうとすると彼が泣き出した。彼は俳優になりたいと言っていたので「ハリウッドに行きたいの?」と聞いたら「この国で俳優になりたい」と言ったので、彼の愛国心にいたく感動したとのこと。
しかしながら彼に「舐めてもいいし、(水に溶かして)飲んでもいいよ」と言われて勧められた蜂蜜のような糊状の物体は当然というか何というか









麻薬だったそうで、すんでのところでドーピングで永久追放の目に遭うところでした。彼の地での安全確保も大変だったようで慰問も命懸けでございます。


アンナ・クルニコワ
「ロシアのジュニア育成のために」ということで自分が最初に所属したモスクワのテニスクラブ、セパタック(マラト・サフィンの父親の経営)の施設拡充費として1万米ドル(100万円)を寄付しています。サフィンママに強請られたわけではないでしょうな。(第二回参照)
でも、一時期ボーイフレンドとされたエクアドルのニコラス・ラペンティも同時期に同額の私財を「エクアドルのテニス発展のために」ということで投げうっています。二人で示し合わせたんでしょうか。
こちらは賞金として「自身と弟以外で次にATP200位以内に入った者に全額与える」という方式らしいですが。まあ、ラペンティは裕福な家庭に育ったせいか、エクアドルの学校に1000本のラケットを寄贈したり、アフリカへテニスを普及させるためのチャリティーイベントに出場したりするなど国内外の団体に自分の財団から巨額の寄付を頻繁に行ってますが。


キム・クライシュテルス
2003年のウィンブルドン時にロンドン・グレートオーモンドストリート子供病院 テントウ虫病棟の慰問を行ってましたが、ここはサッカーのデビッド・ベッカムや歌手のカイリー・ミノーグ(オージーですがロンドンペースで活動)などイギリス系有名人のポピュラーな慰問先です。ついでにこの時には彼女をはじめ、ウィリアムズ姉妹、ジェニファー・カプリアティ、ジャスティン・エナン=アルデンヌ、ティム・ヘンマン、レイトン・ヒューイット、ピート・サンプラスがサインしたトランプのセットがインターネットオークションにかけられて収益がこの病院に入っています。
そのためだけにわざわざシドニーまで来てチャリティーテニスにも参加していたし、彼女どうも外国での活動が目立ちます。ベルギーには困っている人も援助に値する組織も存在しないということはないと思うんですけど。彼女のお母さんは余命三ヶ月と言われた後に肝臓移植で助かってますし。まあ、ただ単に私がベルギー国内の情報に疎いのが理由なんでしょう。と、思ったら今年の4月17日にヒューイットと共に「ラブ・マッチ」チャリティーテニスをホームタウンのブリーで行うらしい。(追記: 彼女の手首の調子が思わしくないとのことで開催が疑わしくなっていたそうですが、復帰テストを兼ねて二人でプレイしました)


ジャスティン・エナン=アルデンヌ
彼女はガンで母親を失ったこともあって、病気の子供を支援するメイク ア ウイッシュ財団の支援者だったのですが、2004年に自分の財団(ジャスティンの20のハート)を設立しました。 シドニーでガンの子供たちと対話したときには「全仏・全米オープンで勝つことはこの子たちのことを思えば大したことではないわ」と言ってます。
「強い選手として知られるよりいい人として知られたい」と公言してはばからないクライシュテルスとコート外でもチャリティーバトルが繰り広げられるのでしょうか?


ともあれメジャーリーガーのサミー・ソーサみたいに自分の怪しい財団に多額の寄付をしないとインタビューを受けないというような人はプロテニスプレイヤーにはいないようで一安心です。
篤志のある方はそれぞれの選手のサイトにアクセスを。多くはクレジットカードによる募金も受け付けてます。

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