道具立てについて考える(ラケット編)
日常からかなり機能や感触やブランドにこだわっている割には、我々はテニス用品メーカーについてあまり知りません。一つ確実に言えることは我々が払った代金のうちのいくらかは後々の事業活動に回されたり、専属プロとの巨額の契約金になったりしているわけです。そういう意味ではイメージだけではなくちゃんとした会社の商品を買うことが望まれます。
さて、道具立てを考えるに当たって、実際プロの選手がどのメーカーのラケットを使っているのか、2003年シーズン終了時のランキング30位までの選手までで使用人数を数えてみました。
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ATP Top 30
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WTA Top 30
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Ranking |
1-10 |
11-20 |
21-30 |
1-10 |
11-20 |
21-30 |
Total |
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Head |
4 |
3 |
2 |
1 |
1 |
3 |
14 |
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Wilson |
1 |
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2 |
3 |
2 |
4 |
12 |
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Prince |
3 |
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2 |
3 |
2 |
1 |
10 |
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Babolat |
2 |
1 |
2 |
1 |
3 |
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9 |
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Dunlop |
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2 |
1 |
1 |
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1 |
5 |
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Yonex |
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2 |
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1 |
1 |
1 |
5 |
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Volkl |
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1 |
1 |
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2 |
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Slazenger |
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1 |
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1 |
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Fischer |
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1 |
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1 |
実は私が数えるまでもなく、2003年ウィンブルドン出場593選手のメーカー別ラケット使用人数というのが公表されていまして、それによりますと、ウィルソンが187人(31.5%)、ヘッドが113人(19.1%)、バボラが100人(16.9%)、プリンスが59人(9.9%)、ヨネックスが45人(7.6%)ということなんだそうです。以下フォルクル26人、ダンロップ24人、フィッシャー21人、メジャー5人、クナイスル3人、スラセンジャー2人、プロケネックス1人。
合計人数が合わないんですが、その他の選手は不明であると思われます。私の集計と比べてみると特に男子のランキング上位選手にヘッド使用者が多いのが分かります。
各メーカーについて考察を加える前にまずはラケットについての基礎知識から。
英語のラケット(racket/racquet)という単語は、一説によるとアラビア語のrahat、手の平を意味する単語がイタリア・スペイン・フランスの各言語を経て西暦1500年くらいに導入されたようです。
ガット(gut)というのは腸のことで、もともと羊の腸を張っていたというのは割とよく知られていると思います。ナチュラルガットはその流れを汲んだもので、動物のコラーゲン繊維を原料としたものです。英語ではstringsと言う方が多いかな?"cat gut"とも言いますが猫の腸を使っているわけではありません。
それでは最大手のウィルソンから検証してみましょう。
ウィルソン
やはり使用プロの数は多い。ピート・サンプラス、ロジャー・フェデレ、ウィリアムズ姉妹、リンジー・ダベンポート、ジャスティン・エナン=アルデンヌなどが主な契約プロです。会社自体は球技を中心に用具やウェアを製造する総合スポーツメーカー。本社はシカゴですが、フィンランドを拠点とするアメールスポーツの一員でオーストリアのスキーメーカー、アトミックなどと同じグループです。
前身のアッシュランドという会社は1913年にシカゴの屠殺場から出る副産物の有効利用をということで野球用スパイク(皮革)や外科用縫合糸(腱)、テニスのガット(腸)やそれに組み合わせる安価なラケットの製造を目的に設立されています。1916年にオーナーの名前を取ってウィルソンとなった非常に伝統のある会社です。
かといってあなたのラケットの調子が悪いからといって分解してみても中に臓物が入っているということはありません。グリップに白い粉がついているのは牛の骨粉ではなくてあなたの汗が乾いたものです。
この会社自身「世界最大のスポーツ用ラケットメーカー」と自負しておりますし、本数ベースではそうなんでしょうけど、テニス用やバドミントン用やスカッシュ用やラケットボール用やプラットフォームテニス用を作っているだけでそんなことを言われても画竜点睛を欠きます。やはり全ての種類のラケットを製造してからそう言ってほしいものです。
軟庭用も卓球用も広島商業高校の甲子園応援用しゃもじも作ってこそ真のスポーツ用ラケットメーカーと言えるのではないでしょうか。あれがスポーツ用ラケットでないという理由はありません。
ヘッド
契約プロはアンドレ・アガシ、セバスチャン・グロジャンなど。
現在の持株会社はオランダに本拠を置いていますが、もともとは1950年にメタルスキーの発明者のハワード・ヘッドがオーストリアに設立した会社です。70年代にはラケットメーカーとしての地位を確固としたものにしています。現在はウインタースポーツ・ラケットスポーツ・ダイビング用品の製造などが主な事業。
2003年グラスコートシーズン以降のマーク・フィリプーシスはガットにステンシルマークの入っていない、ボディにもグリップエンドにも何も描いていない謎の黒ラケットを使っていますが、それはヘッドのものらしいです。
以前のダンロップとの契約がこじれているのかもしれません。数々の黒い秘密兵器、U−2偵察機、SR−71偵察機やF−117ステルス攻撃機で実績のあるロッキード社スカンクワークス設計チームの謎の新作かと思って期待していたのに。
思い返せばマラト・サフィンが一時期ダンロップと契約していた時に、真っ黒に塗ったヘッド・プレステージのラケットフェイスにダンロップマークを入れていたのは有名な話です。当然すぐヘッドと再契約したんですが。
しかも彼がかつてのロシア社会の窮状を語った時に「当時はヘッドのラケットを手に入れるのは不可能だったけど、今はどこにでもある」としっかり宣伝も忘れてませんでした。ありがたい選手です。
一方、2003年10月にパリマスターズで敗退し、ヒューストンのマスターズカップ出場の道を絶たれてシーズンが終わってしまった大失望のセバスチャン・グロジャン。
「ラケットを2本コートに置いてきた。残りは全部ロッカールームのごみ箱に捨ててきた。一番早い飛行機でフロリダへ休暇に行く」とのことでした。翌年ニューモデルがもらえるのか知りませんがありがたくない選手です。
毎年サイン入りの使用済みラケットを売ってトレトンという病気の子供を援助する団体に収益を寄付しているとは思えない言動ですな。別のインタビューでは「僕は負けても大丈夫だよ」とか言っているのに。捨てるくらいならわしにくれ。
バボラ
アンディ・ロディックやキム・クライシュテルスなどそうそうたるメンバーが使っています。この会社のホームページによると1874年のローンテニス確立の翌年にフランス人のピエール・バボラがナチュラルガットを作ったのがことの起こりとか。ラケット事業への参入は1994年とかなり遅いですが、多くのプロに愛用されています。
しかしながらこの会社の契約プロリストにはダニエラ・ハンチコワは入っていません。フィリプーシスと違ってガット面にも本体にもマーク入りの普通のラケットです。
もしかして彼女、スポンサーを受けずに自分で買って勝手に使っているだけなんでしょうか?彼女なら年間契約金数十万ドル(2000万円近く)は堅いですし、ジュニア選手でもただでラケットがもらえるご時世に奇特なお方。
確かにスポンサー主催のイベントには出なくていいし、イヤになったらすぐ止められるという利点はありますけど。彼女プロ入り後しばらくは専任のコーチを持たなかったし、もしかして束縛を嫌う女?(追記:彼女2004年シーズン開幕からヨネックスを使用していますが、2月2日に契約発表会がありました)
プリンス
1970年にニュージャージー州のプリンストンでボブ・マクレーという人が自分のガレージで町の名にちなんだリトル・プリンスというテニスポールマシンを作り、同時に会社を設立したのがきっかけという会社です。
ハワード・ヘッドという人(ヘッドの設立者とは別人?)がこの機械に改良を加えたそうなのですが、これを使っての練習中にラケットに球があまりに当たらないのに腹を立て、76年にオーバーサイズラケットを考案しています。ルール上最大の大きさは決まってますので畳ほどの大きさのラケットを作るのは無理だったみたいです。
この会社、1990年からイタリアのファッション企業ベネトングループの一員であったという事実はあまり知られてません。「プリンス」なんてありきたりの名前は捨ててベネトンブランドでラケットを発売しても面白かったのでわ?「かつてプリンスと呼ばれていた会社」というのもカッコイイ。色はもちろんあの原色派手派手コーポレートカラーです。
2000年頃に、ベネトンの死刑囚を使った過激な広告がたたって、プリンスを含めた不買運動にまで発展したことがありますが、これとは関係なくベネトンのスポーツ事業からの撤退方針により、2003年3月にアメリカの持株財団にプリンスブランドは売却されてしまいました。これで不買運動からも開放されるんでしょうか。
しかし2000年に当時ロシアのライジングスターであったエレナ・ディメンティエワとの契約書類を社内でなくしたという理由でスポンサー料を一銭も払わず、その後何も言わずに一方的に契約を解除するといったうっかり加減はどうしたことなんでしょう。
一応公式サイトでは彼女は「プリンスがグラファイトラケットを作らなくなったので」と言っているもののそこここのインタビューでこの事実を言いふらしているし。最近ロシアの美少女マリア・シャラポワと巨額の契約を結びましたけど書類は大丈夫か?
ダンロップ
ウェイン・フェレイラ、シャン・シャルケン、トミー・ハースなどが契約プロ。2003年フェドカップ時のアメリ・マレスモはラケットフェイスのステンシルにダンロップマークとバボラの二本線(ガット使用を示しているのであろう)の入ったものを使っていました。
1888年にスコットランドの獣医、ジョン・ボイド・ダンロップが、息子の自転車の乗り心地を改善しようと空気入りのタイヤを発明したのは有名な話。その後タイヤ屋→ゴム屋→材料屋と事業を広げ、新素材応用の一環としてスポーツ用品事業に乗り出しました。日本では1974年にウッド製とスチール製のテニスラケットを発売しています。
雑誌広告戦略についてなんですけど、アメリカの雑誌にはジェームス・ブレークとマーディ・フィッシュが載っています。オーストラリアの広告では彼らに加えてトーマス・ヨハンソンが登場しています。
日本の広告には近藤大生とリナ・クラスノルツカヤを使っていますが、この二人とも英語サイトの契約プロリストには名前も載ってません。近藤が日本向けに登場するのは分かりますが、どうしてクラスノツカヤなんでしょう。最近ランキングを上げてきましたが低迷時代から広告に登場していたし。
女子の契約プロにはアメリ・マレスモとかアレクサンドラ・スティーブンソンとか上位にいた選手もいるのに。アメリカではブレークやマレスモが使っているGシリーズを売りたいのに対して、日本市場ではクラスノルツカヤが使っているアドフォースシリーズをプロモーションしたいという思惑があるのかもしれませんが、若さと外見優先で起用したような気がするのは私だけ?ヨネックスだって広告にクルニコワを出す時はその他大勢の一人だったぞ。
ヨネックス
使用プロはレイトン・ヒューイット、パラドーン・スリチャパン、アンナ・クルニコワなど。
1946年に米山稔が木製品の製造と販売を新潟県三島郡で始めたのが創立。バドミントンラケットの製造開始は56年、後に米山製作所となり、アルミ製テニスラケットの製造に乗り出したのが69年、ヨネックスの名前を採用したのが74年。現在はラケットスポーツ用品の他、ゴルフ用品やウォーキングシューズやスノーボードを製造しています。
とにかくうまく新素材ラケット・デカラケの時流に乗りました。80年から当時の無敵の女王・ナブラチロワが愛用してくれたというのも大きかったようです。今はプリンスを使っていますが。
しかしながらこの会社、2003年5月に日本の小売店に対して他社のバトミントン製品を取り扱わないように圧力をかけたということで、公正取引委員会の立ち入り検査を受けています。
どうもネット販売のため学校市場でのシェアを失っていることに危機感があったようで、小売市場での実力行使に走ってしまったようです。我々が不当に高いラケットを買わされているということはないでしょうな。
2003年9月には中国で製造し、日本で検査したバトミントンシャトルを「日本製」として販売したとして公取委から排除命令を受けてるし。ACCC(Australian Competition and Consumer Commission: 日本の公取委と公共広告機構を合わせたようなもの)頼んだぞ。
2002−3年にはパラドーン・スリチャパンの活躍のおかげてタイ国内でヨネックスのラケットが慢性品切れ状態となり、バンコクでヨネックスを持って歩いていると「売ってくれ」と頼んでくる人が続出したそうです。当然彼の地でのヨネックスの売り上げは激増だったらしいですが。
テレビで彼の2003年オーストラリアンオープンの試合を見ていたら、セット間の休憩中にマーカーを取り出してガットのyyマークを塗り始めました。こんなの他に見たことがありません。実況アナウンサーに「試合中でもスポンサーのことも忘れてません」と言われてました。売上げに貢献した上にコートサイドにマーカーを忘れずに持ってくるなんてありがたい選手です。あのマークってWマークやPマークに比べてステンシルがなくても塗りやすいっていうのがよく分かりましたけど。
ちなみにこの会社の契約プロ、スラブ人率が異様に高いです。日本のウェブサイトのリストにガイジンは10人(マリー・ピエルスはここには載ってないものの、実際の商品には彼女の写真入りの紙が付いていたりする)、それぞれスロバキアとユーゴ出身のヒンギスとセレスを勘定に入れるとヒューイット(豪)、スリチャパン(タイ)以外の8人がスラブ系選手。(露3、チェコ・スロバキア・ユーゴ・ブルガリア・クロアチア各1)
欧米企業が進出しなかった冷戦時代にまめに営業活動した結果なんでしょうけど。過去にはチェコ出身のナブラチロワやクライチェクとも契約していましたし。東欧テニスの興隆の鍵はこの会社が握っていると言って過言でありません。ロシア語モデルとか出さないんでしょうか?
フォルクル
スキーメーカーとしても有名ですね。上位ランクの契約プロとしてはイリ・ノバックがいます。
1880年にゲオルグ・フォルクルによってドイツ・ミュンヘン近郊の町で設立された会社です。この会社が世に送り出した最初の製品は馬車なんだそうです。
1972年にテニスラケット販売を開始したそうなのですが、これが一般向けでは初めての複合素材ラケットということで、外見が縞縞であったが故に「ゼブラ」と名付けられたとの逸話があります。ちなみに67年にゼブラスキーを発売した実績もあるそうですが。
実は99年以来この会社の株式の半数はボリス・ベッカーが持っているそうで、彼が体育会系のノリで、ドイツの後輩選手に「フォルクルを使わなければどうなるか分かっているだろうな」みたいな強要をしたとかいう話はありません。ラケットがだめならということでスキーを買わされたという話も聞きません。
フィッシャー
契約プロとしてはエフゲニー・カフェルニコフが有名。1925年にヨセフ・フィッシャーによってオーストリアのリードに創立された会社だそうです。当初はスキー・そり・棚付き運搬車の製造を生業としていました。
テニスラケットの発売は1974年で、現在はスキー・各種スポーツ用ラケット・ポロ競技用具を製造しています。スポーツ用具で培った複合材料の加工技術には定評があって、89年に設立されたFACCという関連会社は航空機エンジンの外板や内装部品の製造を手掛けています。
この会社の最近のテニスラケットは「バキューム製法」と言って真空中で成形する技術を使っているそうですが、スキーでも大分前から同じことをやってます。もしかしてこの会社真空中でしかモノを作れないんでしょうか?工場全体が巨大な減圧タンクの中に設置されていて作業員は全員宇宙服を着て製造に従事しているとか。いくらアルプス山中のオーストリアといえども真空というほど空気は薄くないでしょうし。
スラセンジャー
ラケットスポーツ用品製造の他、ゴルフボール・ウェアメーカーとしても有名です。他にはホッケー・クリケット用品なども作っています。
96年以来ここのラケットを使い続けているのはティム・ヘンマン。さすが英国紳士。
設立の細かい経緯は調べ切れていないのですが、1881年にラルフとアルバートのスラセンジャー兄弟がイングランドで起こした会社とのこと。当初からスポーツ用品を製造していたようで、1902年にウィンブルドンのテニス選手権にボールの納入を開始します。先頃このパートナーシップは100周年を越えました。テニスラケットをいつ頃から製造し始めたかは分かりませんが、近所のテニスクラブには60年代のスラセンジャー木製ラケットが飾ってあります。
話は逸れますが1945年5月の第二次大戦中のことです。それまで在スリランカの英空軍でレーダー技師として戦い、英国惑星間協会の会員でもあって、後に「2001年宇宙の旅」などでSF作家としても名を成すアーサー・C・クラークが人工衛星を使った通信の可能性を探った4ページのメモを同協会員で、スラセンジャースポーツの経営者であったラルフ・スラセンジャー(創業者だとするとかなりの高齢ということになるので別人か?)に送ったという話があったそうです。
スラセンジャーはこれを元に詳細な検討を加え、10月に「地球外中継−宇宙中継基地は全地球上での通信を可能とするか」という論文を著します。スプートニクの初飛行は57年ですから人工衛星など影も形もない時代です。
クラークは希望的観測で1995年くらいには実現するのではと語ったとのことですが、彼とスラセンジャーの論拠が正しかったことは歴史が証明しています。(米衛星テルスター1号による初の衛星通信成功は62年)ということでまかり間違ったらこの会社、人工衛星ビジネスで一儲けしていたかもしれません。
今からでも遅くはありません。テニスプレイヤーの夢を乗せてスラセンジャー製のテニスボールやラケットをアリアンロケットに積んでクラーク軌道=静止衛星軌道上に投入してほしいものです。
以上、まとめてみるとこうなります。やっぱりウィルソンは歴史がありますね。テニスが大衆化し始めた70年代に参入した企業が多いのが分かります。100年以上(近く)の歴史がある企業が結構多いのにも驚きます。

T: テニス用品事業参入
R: テニスラケット事業参入
実はこの業界は結構淘汰が進んでいます。以前ナイキやアシックス、アディダスがラケットを発売していたことを覚えている人がどれだけいます?ミズノやブリヂストンも日本人相手に細々とやっているだけみたいですし。ロシニョールはオーストラリアでもメジャーではないなあ。
ピアノなどの楽器を扱うだけに木材加工に滅法強く、家具やスキーやトヨタ2000GTの木製ダッシュボードまで手がけたヤマハも撤退しちゃいましたし。バボラのような参入もあるにはありますが、さて、生き残るのはどこか?

