医療提供体制の改革について(中間報告)   <抜粋>

4 医療における情報提供の推進

(1) これまでの経緯

 医療における情報提供に関しては、平成4年の第2次医療法改正において広告規制が大幅に緩和され、また平成9年の第3次医療法改正においてもインフォームド・コンセントの理念の導入、広告規制の一層の緩和が行われるなど、近年の制度改正を通じて、患者に対する診療情報の提供、地域住民に対する医療機関に関する情報の提供が図られてきたところである。
 また、医療従事者の側においても、本年4月社団法人日本医師会が「診療情報の適切な提供を実践するための指針について」をとりまとめるなど、医療従事者と患者の情報の共有化を目指した自主的な取組みも行われてきている。 
(2) 診療録等の診療情報の提供の在り方

 1. 基本的考え方

 医療の実施に当たっては、医療従事者と患者の信頼関係の確立が必要であることから、医療従事者は、患者に対し、医療の内容について十分な説明を行うことが求められる。近年の国民の健康・医療に対する関心の高まり、医療内容の高度化・専門分化等に伴って、医療従事者の患者に対する説明の重要性が一層高まっている。
 また、生活習慣病等の慢性疾患の増加に伴い、治療効果を高めていくために、医療従事者と患者の双方が診療情報を共有し患者自身が治療に積極的に取り組んでいくことを促していくことが必要となっている。
 このような観点に立って、今後さらに、インフォームド・コンセントの理念に基づく医療を推進していくことが必要である。
 2. 診療情報提供の在り方
 今後、インフォームド・コンセントの理念に基づく医療を一層推進するためには、医療従事者が、患者への説明の一環として、診療録等の医療情報の患者への提供を積極的に行っていくとともに、患者が診療録の開示を求めた場合には、原則として診療録そのものを示していくことが必要である。
 このような観点に立って、今後さらに、インフォームド・コンセントの理念に基づく医療を推進していくことが必要である。
 3. 当面の取組み
 今後、診療情報の積極的な提供や診療記録の開示を医療現場において普及、定着させていくためには、医療従事者の側の自主的な取組みが不可欠であり、現在進められつつある医療従事者の自主的な取組みが医療現場に定着することが必要である。
 そのためには、こうした取組みに併せて、診療録等の記載の適正化や用語の標準化、卒前・卒後における診療録記載に関する教育の充実、医療機関における診療記録管理体制の充実など、診療情報の提供及び診療記録の開示の円滑な普及・定着に向けた取組みが重要であり、3年を目途に環境整備を推進することが必要である。
 さらに、国民が各医療機関の診療情報の提供及び診療記録の開示に関する取組みについて十分に理解し認識しやすいように、その取組み状況を広告しうる事項として追加することも重要である。
 また、国民の健康・医療に対する関心の高まり等に応え医療従事者と患者の信頼関係を確立していくとともに、治療における患者の積極的な取組みを促し治療の効果を高めていくためには、診療情報の提供・診療記録の開示についての考え方を医療従事者、患者の双方が社会的規範として共通に認識していくことが重要である。今後こうした共通認識が幅広く定着していくことが求められる。
 そのための方策として、診療情報の提供・診療記録の開示について法律に規定することが考えられる。これについては、こうした共通認識を患者・国民の側に明確にし、患者自らがより適切な医療を選択していくことができるよう早急に法律に規定するべきであるとの意見と、医療従事者の側の自主的な取組みに委ねるべきであり、法律に規定するべきものではないとの意見があった。
 この方策の取扱いについては、今後の患者の側の認識、意向の推移、医療従事者の側の自主的な取組み及び診療情報の提供・診療記録の開示についての環境整備の状況を見つつ、さらに検討するべきである。
 なお、医療の質の向上を図るために診療記録の適切な保存期間の在り方について引き続き検討し、併せて、電子カルテ等の普及推進に取り組んでいくことが必要である。