こんな山を歩いてます〔2〕


 八ヶ岳                            2003年9月14〜15日

 青春時代、山のクラブに入って初めての本格的な合宿は北八ツでした。初めての重い山靴に重いキスリングを背負って中山峠への登りはきつかった。めげそうな気持ちを勇気づけてくれたのが足元のイワカガミ。なんて愛らしい花なんだろう。初めて憶えた高山植物、そして私のハンドルネームの由来。翌年仲間たちと赤岳鉱泉から八ツの本峰を縦走した。キレットのテントで夜更けまで語り合ったことは生涯忘れることのできない青春の思い出。

9月14日(日) 雨〜晴れ〜曇り
 渋ノ湯から尾根を越えて唐沢鉱泉へ。もう花の季節も終わり歩くことに集中できると思っていたのに、林床は花の代わりにキノコがにょきにょき真っ盛り。白いのや黒いの黄色いの、ナメコみたいにヌルヌルしたのやらキクラゲ風のとか。網焼きで荒塩振って・・、きのこ汁は味噌仕立てか醤油仕立てか・・なんて考えながら、いつもならセンサーのごとくお花を探し当てる私の眼が、いつのまにかキノコを追っかけていました。花よりダンゴとはまさにこのことですね。さて先を急がねば。唐沢鉱泉からは時折青空も覗いて天候は確実に回復に向かっているようです。西尾根途中の展望台からは根石岳から赤岳・阿弥陀岳、南アの甲斐駒・仙丈・中央アまできれいに見渡せました。北八ツはこの時点ではまだ曇り。森林限界からは大きな岩ゴロの登りで西天狗岳へ、そして久しぶりの東天狗岳山頂。懐かしい黒百合ヒュッテやしらびそ小屋がはるか眼下に見えて、しばし感慨に浸りました。東天狗岳と根石岳の間には西側にカール状の広がりがあるんですね、ハイマツの緑のカーペットがすごく鮮やかでした。そして箕冠山からは下る下る。目の前の硫黄岳があれよあれよと見上げる高さになってしまうのでした。下りきった夏沢峠は北八ツと南八ツを分ける重要なポイント。ほとんどの人がオーレン小屋へと向かう中、もう一踏ん張りして硫黄岳を目指します。縦走の最後で1時間の登りというのは正直言って疲れました。やっとの思いで硫黄岳到着。せっかくなので三角点までと思い火口沿いにしばらく歩いたのですが、一体どこが三角点だったのでしょう?いつのまにか下り始めていて、まあ最高点は通ったのかな。この日は硫黄岳山荘へ。 野菜たっぷりの食事はとても美味しくて大満足。おまけに真新しいトイレはウオッシュレット装備でびっくり。

9月15日(祝) 快晴〜ときどき曇り
 ご来光はイマイチはっきりしなかったのですが、山荘を出発すると素晴らしい快晴。360度のほとんどの山が視界に入ってきました。こんな日に稜線を歩けるシアワセに感謝しつつ横岳から赤岳へと順調に歩き、今回初めての阿弥陀岳へ。中岳との鞍部からかなり急な岩の登りを20分で山頂。ここからの赤岳は、横岳あたりからの整った三角錐といった印象とは違って、大きく左右に根を張ってどっしりと圧倒される大きさです。そしてその名の通り岩が赤いのには感心しました。御小屋尾根はいずれまたにして往路を戻り、行者小屋から南沢経由で美濃戸口へ到着。途中、岩の隙間に咲き残ったキバナノコマノツメを一株見つけました。

 今回、東天狗岳から硫黄岳までの未踏区間を歩き、やっと南北八ヶ岳を繋げることができました。そしてまた今回は、長いブランクのあと山を再開して第100回目の記念山行でもあったのです。天気にも恵まれ、充実した最高の思い出になりました。
* キノコは残念ながらほとんど毒キノコだったようです。中には一本で致死量に達するものも。皆さん、くれぐれもご注意を。


 谷川岳                               2003年8月23日

 両親に連れられ初めて登ったのが中学生のとき。それから高校、大学時代何度もこの谷川岳を訪れた。当時は上野発22時13分長岡行きの夜行列車に乗り、真夜中に土合駅に着いてあの数百段の階段をアプローチに西黒尾根を登るのが常だった。厳剛新道も何回か使ったがとにかく登りに4時間近く費やすのが当たり前の山だと思っていた。
 初めてロープウェイを使って天神平から登った。家族連れから中高年の団体さん、老若男女で天神尾根は大賑わい。その行列をかいくぐって1時間半で山頂に着く。23年ぶりのトマの耳から西黒尾根を見下ろして、やはりなんだか後ろめたさを感じずにはいられなかった。

ミヤマアキノキリンソウ ハクサンフウロ チシマゼキショウ           タテヤマウツボグサ ミネウスユキソウ ジャコウソウ
タカネコンギク  イワハゼ(アカモノ)の実   キンコウカ            コキンレイカ    ヤマアジサイ    ミヤマヒゴタイ
ハクバブシ   ジョウシュウオニアザミ    ヤマハハコ             シモツケソウ   ホソバコゴメグサ  オヤマリンドウ


 赤薙山                               2003年6月23日

 梅雨の中休み、ニッコウキスゲが咲き出したという日光の霧降高原に行きました。いきなりですがリフトの誘惑に負けました。 友人が「リフト一本だけ乗ろうか?」と、私の顔色を伺うように言うんです。「とんでもない!なに言ってんの!」 いつもの私ならこう一蹴するところですが、「3本乗る」とさっさとリフト券売場に向かったのは私です。すっかり高原観光気分にやられました。高原・ニッコウキスゲ・リフトと三拍子揃えば乗るっきゃない、ですよねー。まあいつもいっぱい歩いてるからたまにはのんびりもいいでしょう。でもリフト1100円は高い〜。リフトの下にはニッコウキスゲが咲き始めています。赤いクリンソウもいくつか見つけました。リフト3本乗り継いで終点1600mキスゲ平に30分で到着。笹原が広がり森林限界の趣きです。すっきりとした晴れではないけれど周囲の展望はまずまず。高原山が東正面。
 赤薙山を目指し笹原の中を登って行きます。夏の花の季節には少し早いようですが、カラマツソウ・ツルキンバイ・オノエランなどがちらほら。ふと鮮やかな紅紫色は気の早いハクサンチドリでした。お久しぶりね。標高1600mを超えればもう高山植物といえるものが咲くんですねえ。目を疑いました、マサカ?って。よく似た花で、ニョホウチドリ(女峰千鳥)というのがあって、これは日光の女峰山に咲くのが基準標本になっているそうです。次回は見てみたいですね。
 登山道は北斜面のコメツガの林の中へ入っていきます。雰囲気が変われば植生も変わるはず、と丹念に足元を見ながら行くと・・・、眼に飛び込んできたのは真白いイワカガミ!感激の対面!白花(ヒメイワカガミ)は清楚で気品があって涼やかで、そして雌しべの赤がアクセントになっていて可愛くて見入ってしまいました。‘思いがけなく’というのがまた感激を倍増させます。白いイワカガミ、いつか何処かできっと、の夢が早くも叶って、今日はもうこのまま帰ってもいいやとさえ思いました。見回すとたくさん咲いていました。うれし〜っ。こうなるとシラネアオイもシャクナゲもと期待していまうのですが、結果はシラネアオイは全然見つからず、山頂直下のシャクナゲ2本はまだ堅いつぼみ、でした。
 赤薙山は今年初めての2000m峰(2010m)。鳥居と祠のある山頂は樹木が茂って展望は無し。少し先へ行けば眺めが開けるかもと西へ向かうと、宴会中のおじさま方から「女峰山へ行くの?」と声が掛かります。この赤薙山に来た人にとって、女峰山まで足を延ばすかどうかは関心の的らしいです。我々の前のパーティーは日帰りで女峰山から日光の東照宮へ、下山18時半の予定で向かったとのこと。でも標高差1800mを越える下りです、きっと膝が悲鳴をあげますね。西へ少し下ると、その女峰山から男体山の展望が開けて、見ればやっぱり登りたくなる。今度は絶対に行くぞ。
 下りは頂上手前から北側の山腹の道へ。これも正解。咲き始めのゴゼンタチバナ、タニギキョウ、これまたお初のコミヤマカタバミに出会えました。

樹木の花 : レンゲツツジ(すごく鮮やか)・サラサドウダン・ベニサラサドウダン・ニシキウツギ・コゴメウツギ
       ヤマボウシ(バスの中から)・シロヤシオ(終わりかけ)


 浅間嶺                               2003年1月25日

 雪が積もったら歩こうと決めていた浅間嶺にいってきました。仲ノ平バス停から一気に登って縦走路に出れば今回のコースの最高地点で、あとはピークを北に南にまいてほぼ平らな道をゆるやかに辿ります。雪はたっぷり、ふいに樹の上から雪がさらさらと落ちてはキラキラキラ・・・と光って、ここは東京都、標高1000mにも満たない稜線ですっかり雪山気分を満喫しました。
 浅間尾根は笹尾根と御前山・大岳山の尾根に挟まれていて遠望はききません。でも目線の高さの身近な展望は山ふところに抱かれているかのような安心感がありました。
 馬頭観音や地蔵があちこちにあって雰囲気は笹尾根によく似ています。ところが笹尾根が秋川と鶴川の集落の交易に、峠越えとして利用されていた(らしい)のに対して、浅間尾根は尾根道自体が産業道路として歩かれていたようです。時坂峠の案内板に、数馬から木炭を本宿に運び帰りには生活用品を運んだとあり、秋川沿いを延々と行くよりこちらのほうが最短距離なのでしょうか、当時はこの尾根を荷をたくさん背負った牛・馬などの家畜が頻繁に往来していたもようです。
 樹齢は一体何百年なのか、ミズナラやモミの大木がところどころにすっくと立っていました。風化した馬頭観音には『安政八年』と刻まれたものもあり、往時を偲んですっかり感慨に耽ってしまいました。たまにはこんなしっとり山歩きもいいかな、って歳ですね。
 しめくくりに日本の滝百選のひとつ、払沢の滝(ほっさわのたき)を見学しました。凍結が始まっていて素晴らしい景観でした。


 丹沢三峰                             2002年5月19日

 コース:宮ケ瀬三叉路〜高畑山〜丹沢三峰〜丹沢山〜塔ノ岳〜大倉。
 三叉路バス停8:10分発。登山口からのほん少しの急坂が終われば、平坦な歩きやすい道が続き、松小屋ノ頭まではピークはすべて巻いて行きます。斜面が切れ落ちている所が数箇所ありますが、桟道が設置され、道標も完備で安心です。時折鹿の鳴き声が響き渡る他は、ほんとうで静かで良い道。
 『ヒルに注意 6〜9月』の看板がありました。まだ5月だし、ここのところ急に冷え込んだのでまだ大丈夫だろうと無防備でいましたら・・・、ふと足元を見て愕然、ズボンの裾に4cmくらいのが張り付いていまして(∋_∈)、あわてて小石で払いましたが、その後また2cmくらいの小さいのが付いていて、もう花や写真そっちのけで小走りに歩きました。(家に帰って恐る恐る靴を脱ぎましたが靴の中には侵入していませんでした。)
 尾根通しの道になり標高1000mを過ぎる頃からシロヤシオ(五葉ツツジ)が現れます。今年は裏年で花付きが悪いそうですが、中には枝いっぱいに花が満開のものもあり、充分楽しめました。花の内側の緑色の斑点がアクセント。純白で清楚で、未来のプリンセスにピッタリの花だなと思いました。それから、ヤッホー、イワカガミにとうとう会えました!20年ぶりの再会です。ほんの数株、崖下に張り付くように咲いてました。足場が悪くてそばへ行けませんでしたので、ズームで写真を撮りました。最高に嬉しかった。
 円山木の頭で昼食をとっていると、私たちと逆コースという単独の青年が来ました。大倉を7時40分に出発したとのこと。速いペースにビックリ。この後は、モミの大木やブナの鮮やかな新緑や紅白のツツジの競演を楽しみつつ、鹿除けの柵で仕切られた尾根を行きます。丹沢山まで来ればもう何度も通った道、一安心です。晴れ間も拡がりました。ここから塔ノ岳まで気持ちの良い稜線歩きです。昔々のことなんかをなつかしく思い出しながら歩きました。後半はガスが出て、吹き上げる風も強くて、ちょっぴり高山の気分。塔ノ岳では濃いガスで一時はすぐ近くの小屋も見えなくなるほど。
 大倉尾根の下りではさすがに疲れが出てきました。若者たちに何度も道を譲りながら、まあ明るいうちに着けばいいねとゆっくりペースで下り、17:50分大倉バス停にたどり着きました。疲れましたが充実感でいっぱいでした。



HOMEいつかはきっと花図鑑お花にたくさん会える山こんな山を歩いてます〔1〕こんな山を歩いてます〔2〕アルバム心に残る山旅スミレの部屋 2005年〔1〕スミレの部屋 2005年〔2〕My Profile & リンク集