==================================食品工場の工場長の仕事とは==

■■    物語を持った美味しい商品

■■■                            2010年11月21日発行 

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おはようございます。河岸です。今年の日曜日は後何回有るか数えてみませ

んか。キット日曜日にやらなきゃならない事が思いつくかも知れませんね。

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 物語を持った美味しい商品

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 私がメーカーの開発担当としてコンビニの商談を担当していたときの実

際のお話です。

 新商品の鶏のから揚げを提案するときにバイヤーから言われました

「から揚げを口に入れた時に「このから揚げおいしいね」と声を上げるよう

なから揚げがほしいのです」。

 商品を提案するときに大切なことは「食べたときに美味しい」という基本

の基本が大切なのです。食べる前に知識として「地鶏を使ってます」「鶏

肉に日本酒で下味を漬けてます」と言ったことを聞く前に口に含んだとき

の第一印象が大切なのです。

 「どうしたこの鳥のから揚げはおいしいのですか」と聞かれたときに初め

て、こだわったところの説明をするのです。

 私はコンビニの惣菜工場で実務として開発を担当していた事があります。

 開発を担当した初めのころは、「コンビニの惣菜なんて、どうせ冷凍原料

を揚げるだけだろう」と思っていました。

 そんな考えの私が、始めて、鶏の唐揚げを持ってコンビニ本部に初めて

商談に行った時の事です。

 担当していたバイヤーの方は、なにも言わなかったのですが、コンビニ

の商品担当の責任者の方が、「こんなもの食べられないよね」と一言もら

したのです。

 私は心の中では、「どうせコンビニの惣菜だろ」と思っていました。

 しかし、商品担当の責任者の方は、「君は肉のプロじゃないのか」と声を

掛けてくれたのです。

 当時私は、自称肉のプロと自慢していました。

 「よし、世の中で一番美味しいサンプルを商談に持ってくる」と思ったの

です。

 後日、解ったのですが、他のメーカーの方は、商談日当日にサンプルを

製造し、自然冷却で商談サンプルを製造していたのです。

 しかし、私は、お客さんが食べるタイミングと同じ様に、商談の前日に製

造し、真空冷却機(細菌が増殖しないように、一気に唐揚げの温度を下げ

る機械)を使用し商談サンプルを製造していたのです。

 もちろん製造してから時間が経てば唐揚げは硬くなってしまいます、真空

冷却機を使えば唐揚げの水分は飛んでしまいます。

 私も他のメーカーと同じ様に商談日当日に商談サンプルを製造すればよ

かったのかもしれません。しかし、登録はうまく行ってもお客様は商談サン

プルと違う物を食べる事になります。

 当時のコンビニの商談はサンプルが良くなければ登録する事が出来ま

せんでした。

 極端な話では、登録時だけ美味しいものを作って登録してしまえば済む

話でした。しかし、私はお客様が食べるタイミングにこだわったのです。

 「たかがコンビニの商品」と言う考えを捨て本当に美味しいものを作ろうと

思ったのです。

 鶏唐揚げを一口食べただけで唸る物を作り上げる事を目指したのです。

 しかも、真空冷却機を通して美味しものを作りたかったのです。

 

細部にこだわる

 鶏のこだわりは原料から始めました。

 手に入るだけの鶏肉を手配しました。

 国産、ブラジル、アメリカ、中国、凍結、チルド、本当に多くの原料を手配し

ました。

 様々な鶏肉を同じ様に唐揚げにして食べて見たのです。

 明らかに原料肉によって味が異なりました。

 その中でも国産のチルドの鶏肉が一番柔らかく美味しく感じたのです。

 国産のチルドの原料を使用し、工場内で唐揚げ用の大きさに手切りするこ

とにしたのです。

 他のメーカーは、唐揚げ用にカット済みの原料を使用するのが一般的でし

た。

 鶏肉を手切りすることは、現場からは総反対を受けた物です。しかし、現

場の方も手切りの鶏肉を使用した唐揚げを食べてしまうと美味しさの違いに

驚いてしまいました。

 鶏肉はカットした断面から赤い肉汁が出てしまいます。この肉汁が肉の美

味しさにつながるのです。

 鶏肉のカット方法は、私が直接従業員に教育しました。

 もちろん骨が残っている所、取らなければならない筋のある所を細かく教

育したのです。

 真空冷却機を使用しても美味しものを作るのは一工夫が必要でした。

 真空冷却機は、製品中の水分を飛ばして製品の温度を下げる機械です。

真空冷却機を使用するとどうしても唐揚げがばさばさしてしまいます。

 私は、当時ハムのレシピー(配合)を組んでいましたので、ハムと同じ様に

リン酸塩を使用して、鶏肉に水分をあらかじめ含ませたのです。

 食品添加物を嫌う方がいることは否定しません。しかし、食品は食べたと

きに安全で、美味しい事が最低の条件だと思っています。

 安全な唐揚げの為には、真空冷却機は外せません。

 しかし、真空冷却機を使用するとバサバサしてしまいます。

 バサバサ感はリン酸塩を使用する事で改善することが出来るのです。

 安全で美味しくする為の食品添加物を必要最低限使用する事は必要な

事だと思っています。

 ここまでくれば、あとは味付けです。生のにんにくを使い、醤油を使い味

を纏めました。

 唐揚げにはレモンが何故か合うものです。

 レモンのくし切りを付ける事にしました。

 レモンのくし切りを見れば調理人の気の使い方がわかると私は思ってい

ます。

 くし切りは単純にレモンを半分に切って更に三等分すればいいものです。

 しかし、ただ切っただけでは、レモンを絞った時にレモン汁がきれいに絞

れ無いのです。

 三角の頂点の所を切る事が大切なのです。有名なレストランでもレモン

の切り方が悪いとがっかりしてしまいます。

 更に、レモンを絞りやすくするために両端を切り落とすことが大事なの

です。

 ただし、単純に切り落とすのでは無く、手が汚れ無い様に白い所を残

して切り落とすことがポイントです。

 商品作りに本当に細かく気を使いました。

 

 

爆発的に売れました

 コンビニ惣菜は多くても一日四個程度売れればヒット商品でした。

 こだわりにこだわった鶏唐揚げは、週末、連休前には一日二十個は売

れたのです。

 鶏肉のカットが間に合わず、私は休日でも鶏肉をカットしてから遊びに

行く日があったものです。

 従業員の方からも家で作るよりも美味しいからと言ってコンビニのお店

で買う方がいました。

 家族パーティをするので纏めて売ってくれないか等と言った声も有りまし

た。

 お客さんが食べる時点で美味しいものを作れば自然に売れる事を学ん

だ事例です。

 何故鶏唐揚げが美味しいのですか と聞かれると、新鮮な鶏肉を使用し

ていますからと鶏から揚げ物語を話したものです。

 しかも、原材料原価で言えば、事前にから揚げに加工された冷凍食品を

買うよりも安かったのです。

 鶏肉をカットする人件費、カットする事を苦痛と思うかどうかで、美味しくて

安価なものを作り上げることができるのです。

 

 

私のお話が皆さんの工場管理を、耕し続けるヒントになれば幸いです。

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