========================================食品工場長の仕事とは===

   無くならない偽装表示について


何故産地偽装表示が無くならないのでしょうか。

 先日「産地表示の大切さ」のお話をしました。

http://homepage3.nifty.com/ja8mrx/sannti8.htm

日本の伝統食品であるそばの表示についても、その発表の中で、いまだに21

件もの産地表示の間違いが見られたそうです。その間違いの中には、とても

単純なミスとは考えにくいものも含まれています。例えば、そば粉の産地表示が

北海道であるのに調査したら、外国産(中国、カナダ産)が含まれていたり、

「全て自分の県でとれたそば粉を使用しています」と表示しながら、全て他県産

のそば粉を使用している場合が見られたそうです。伝統食品については、思い

こみがあります。自分の好きなそばのお店を探し出したり、乾麺でも好きなメーカを

見つけ出して、毎年毎年お世話になった人に、同じ銘柄のそばを送り続けたり

しているものです。今回の産地偽装は、そば業界全体の信頼を損ねたものと

思えます。

 

 

自分の顔に責任を持つことが必要です。

 私の住んでいる加須市はうどんの町として有名です。

http://www.saitama-j.or.jp/~kazo/  私の家のそばにもうどんやさんがあるので、

毎週日曜日の昼にうどんを食べに行くのが楽しみになっています。もちろんお互い

近所ですから、毎朝出しを取るにおいも伝わってきます。秋になると「新そば粉を

使用しています。」の表示が出ています。加須うどんのホームパージを見ると、

「加須市の地元でとれた小麦「あやひかり」を使ったうどんが誕生しました。

小麦そのものの素朴なうまみが恐縮された逸品です。ぜひ、味わって見てください。」

と表記されています、私も早速食べてみましたが、腰がしっかりあってさわやかな

味を楽しむことができました。わたしの近所のうどん屋さんは、このあやひかりの

うどんは、一日の販売量が限定されています。この限定と言うところは、産地表示で

大切な点になります。埼玉で特に加須市の小麦粉の量は限定されています。その

限定された産地からとれる小麦粉の量も限定されます。一年のとれる量が限定

されれば、一日に販売できるうどんの量も限定されます。この加須市限定の

あやひかり使用のうどんが爆発的に売れたときに、悪魔のささやきが聞こえるの

です。「どうせ小麦粉の味なんかわからないよ」その悪魔のささやきに負けてしまうと

全国で発生している、産地偽装に走ってしまうのです。加須市のうどんやさんは

毎日通っている方が数多くいます。私も会社で加須市を離れる以外は毎日のように

うどん、そばを食べています。今日はゆでたてで美味しいな、とか今日はちょっと

堅いな等、毎日食べているといろいろなことに気が付くのです。

 

顔が見えなくなると罪の意識がなくなってしまいます。

 毎日食べている方の顔を見て商売をしていれば、お客様の顔を常に思い浮かべて

商売をしています。大きな工場になればなるほど、売り上げが増えれば増えるほど

製造現場とお客様の顔が遠くなっていきます。そして原料の限られた商品が売れて

しまうと、つい悪魔のささやきに耳を傾けてしまいます。法律で規定されていないから

5%以内なら表示の必要が無いからといろいろな理屈をつけ、初めは1%の他の

産地の原料の混入から始まって、5%に増えて、そして最後は全てを外国産に

してしまうのです。今回の摘発された工場でも、初めの開発段階から外国産の

そば粉を使用して商品開発をしたわけでは無いと思います。材料が足りなくなったり

利益が出なくなってコストを下げるために安易に材料を変更してしまっているのだと

思います。その時加須市のうどんの様にお客様の顔が浮かべば、決して原料の

産地をごまかすことは無くなると思います。

 

組織の責任者の倫理観を超えることは無い

 「組織の倫理観は、その組織の責任者の倫理観を超えることは無い。」よく聞く

言葉です。倫理観というのは、税金をごまかすことも入っています。利益が上がり

出すと、子会社を多く造り、決算期をずらして税金を節税したりしています。そして

その事を防ぐために、連結決算の制度ができたりしますが、税金を払うことも含めて

全ての倫理観を組織の責任者が守っている姿を見せなければ、産地表示の偽装が

無くならないと思います。日本はISOの外部監査官もはんこの羅列を確認するだけで

日本の業界の倫理感を超えて、審査することは難しいのかもしれません。「そんな

事言ったって昔からこの業界はこんなものだよ」という言葉を聞かなくなる日が

早く来ることを望んでいます。

 

 

 

食品業界のパンドラの箱をあけてすっきりしませんか

 

 

私のお話が皆さんの工場管理を、耕し続けるヒントになれば幸いです。

河岸宏和(かわぎしひろかず)