ALL ABOUT HILAND



暗闇の虹のような1970年代


2006年03月16日、オレは町外れのシンガポール駅でクアラルンプール行きの特急列車を待ってた。シンガポールはただ暑いだけで2日前にいた東京となにも変わらない。


このころといえばタイツの「ガーリック・レプリカ」という2.5枚組のベスト盤の編集を終え、ふってわいたようなシネマの28年ぶりの再編成ライブを1ヶ月後にひかえてリハーサル真っ只中で、とても東京を10日も留守にできるような状況じゃなかったのだが、この旅行を計画した3ヶ月前には、タイツのタの字もシネマのシの字もなかったのだ。そして家族との約束を優先させた。その3ヶ月前といえば、そろそろジャック達のセカンド・アルバムを来年の春ぐらいから録りだそうかなとか漠然と考えていたころで、まさかこんなにあわただしいことになるなんて夢にも思ってなかった、旅から帰ってきて録音かななんて気分でいた。

シンガポールは、言葉の通じない新宿みたいなもんでこんな日が10日も続くのかとちょっと気が重かったのだが、オリエント・エクスプレスと呼ばれる特急列車はオレをジャック達のセカンド・アルバムの入り口に連れて行ってくれる魔法の特急列車だったのだ。国境を越えマレーシアに入ると時を遡るような景色を切り裂いてその列車は進む。あとから思うことなのだがあれはタイム・トラベルだったんじゃないだろうか。KLセンター駅からモノレールに乗り換えてたどり着いたクアラルンプールの街はまるで1970年代の東京そのものだった。オレの中に西荻窪のバーに溜まって夜な夜な繰り広げられた馬鹿騒ぎとあのころのロック・ミュージックが当時の感覚でよみがえる。とても不思議だった。まだ20代だったオレとまだ活気があった音楽ビジネス。ビートルズのいなくなった荒野にどっと流れ込んだ新しい音楽。まだまだ誰も歩いたことのない土地がわずかに残されてた時代の感覚が呼び覚まされる。あのころの飲み屋では胡散臭い野心家たちの胡散臭い夢話を毎晩のように聞かされ、そのうちの何人かは本当にそんな夢を掴んだ奴さえいた。オレも同じように十分と胡散臭く、そしていまも胡散臭い。でもそんな奴や街が大好きだった。そして今はそんなころとは明らかに違う、何もかも。クアラルンプールのサッカー場の裏の小汚い路地を歩きながら、オレはジャック達のセカンド・アルバムの匂いを嗅ぎとった感じがした。帰ったらこんなアルバムを作りたいと思い始めていた。それはどんなサウンドとかじゃなくて、こんな匂いだった。

オレたちの泊まってた安宿の1階が旅行案内のオフィスで、いつもそこに貼られてる観光地のチラシを見ながら階段を上り降りするのだが、その中のひとつにとても気が引かれものがあった。「HILAND」と題された1枚のチラシ。そこに描かれてる風景がオレの中で広がっていく。またそこの宿の屋上がビア・ガーデンになってて、そこで流れてたポール・サイモンの出来損ないみたいなマレーシアのロックが、オレの中で合わさってひとつの曲になっていく。タイトルは決まってる。そう「ハイランド」だ。

東京に帰るとすぐに夏秋に電話した。「すぐにセカンド・アルバム作ろう。」しかし実際にスタジオ入りしたのは、タイツとシネマの嵐が過ぎ去った05月27日。のちに「ハイランド」と名づけられるセカンドのセッションがスタートする。そのころはこんなに時間がかかるとは誰も思ってなかった。

ソルティ

一色

夏秋

福島

GGP

セカンドには、インストを何曲か入れたかった。
普通バンドだとヴォーカリストが複数いたりするのだが、ジャック達の場合は今のところオレひとりだ。なにかバラエティって奴がほしいと思った。そしてピートさんにインスト・ナンバーを発注する。ピートさんといえばインストのオーソリティだし。録音も終盤になって持ち込まれたのがこのナンバー。まるでボンゾ・ドッグ・バンドみたいだ。

まずピートさんがガット・ギターでコードをいれ、エレキでメロディを入れる。そして手に入れたばっかりのへフナーのベースの生音をラインを通さずにマイクで録音した。「あとは、かっこよくしといてね、ドラムはシモンズ入れといて。」と言い残してピートさんが帰る。

後日、夏秋とオレでいろいろ足す。夏秋と目が合う。「これ、1曲目じゃない?」
ゲストに小林睦実さんが参加してくれて、グロッケンとヴォーコーダーが加わり、オープニング・ナンバーが完成する。架空の土地「ハイランド」への乗車券が出来上がる。まるで、ジェットコースターが滑り落ちる前のあのガチガチと上っていくような気分にさせてくれる曲だ。みなさん、準備はいいですか?
確かスタジオに来てから曲を作ってた気がする(笑)。
自分のパート入れた後『シモンズ入れてカッコよくしといて〜』と言って帰っちゃったピートさん。
後日一色パパと二人で面白おかしくしてみた。
年に一度位活躍するシモンズ。
気分はBillBruford。
ムーちゃんの鉄琴いいね。
女性コーラスみたいのはテルミン。
ボコーダーの鍵盤を弾いてたのはムーちゃん声はピートさん。

因に、曲が終わった後に、パパのお腹の音が『ク〜』って入ってます。
お腹が鳴る音なんてなかなかCDにならないので記念にそのまま入れておきました。

ジャック達を上手く表してる気がするなぁこの曲。
オレが書いた曲。
ガットギターを買ってよく弾いてた時期に一色さんに言われたので作ってみた。 コンセプトはドラム以外のベーシックはアコースティックなんだけど 他がエレクトリックでフューチャーな感じだったら?って思ってた.....が!
カリンバやハーモニカが入ってしまった時点で当初のコンセプトはどーでも良くなってしまったのだ。
今だから言える話、結果はお聴きの通り....。 このタイトルはオレが作った俗語
「ソルティ」=「しょっぱい野郎」
から来ている。アルバムタイトルの候補にも上がっていた。
オレがヴォコーダーで歌っている「ソルティ〜」って部分を一色さんは「オ〜ソルティ〜」にしない?って「オーソリティ」にかけたかったようだったが却下させて頂いた。
勿論この「ソルティ」とはGGPキハラの事である。
一色リーダー以外の三人がインストを一曲ずつ作るのだ、という方針でそれぞれ作成したはず。そのうちの福島さん作。

楽器演奏など、おれは参加せず。

「しょっぱいヤツ」ってことでおれをイメージして作成されたはずの楽曲は 結局 我々のイメージそのものになってます、、。よね?

オンボロ

一色

夏秋

福島

GGP

歌詞のデータをデザイナーに渡さなきゃいけなくなって、この曲の歌詞を打ち込んで活字になったのを見た時、なんだか中原中也の詩みたいだなと思った。中原中也はずっと好きな詩人だったのでちょっと嬉しい。

この曲は、ファースト・アルバムのレコーディング中に出来た。セカンドのなかでも1番最初に出来た曲で、今回の録音もこの曲から始まった。
ハイランドって何処だろうっていう疑問に何となくヒントを与えてくれる曲。そして間奏で早くも奇形なポップスが飛び出す。こんだけギター・ソロがたくさん入ってるアルバムって近頃じゃ珍しいんじゃないでしょうか?そんなアルバムの最初のギター・ソロ。夏秋がシンセをかぶせると俄然THE WHOみたいになった。
ジャック達のオンボロ・コーラス隊に素晴らしい助っ人が登場する。R・O・M・Aのお二人、村松邦男さんと安部王子さんだ。「オンボロッチ〜」って歌わせてよって言われる。大歓迎だ。やっぱり本職はちがうね、と夏秋と二人が帰った後に話す。オレ達はなんなんだろう?
シンセベースとかシンセドラムとか入れちゃってライヴと全然違いますが、CDとライヴ、別物の方が楽しみも二倍になるし。

俺とヒロムの超ヘッポココーラスにR・O・M・Aのコーラスが加わり豪華に。
あんなコーラス、4人ライヴじゃ再現できないんですが、CD位いい思いさせてください。
この曲はレコーディング前からやってるからサクっと終った。 最初にこの曲を聞いた時は
「オンボロ」=「一色進」
という印象だったが それは今も変わらない.....
(-.-)
ギターもコーラスも苦労しました。

おれのギターは音色がまさに「オンボロ」。しょぼさ全開。
コーラスもなぜかピッチが取れず。

ライブでも出来てませんがやる気だけはあります。

キャンセル

一色

夏秋

福島

GGP

ジャック達は、別に決めてるわけじゃないんだけど毎回ライブでは新曲をやりたいと思ってる。まあ、オレが締め切りとかないとなかなか曲とか作ろうとしないってのが、原因なんだけど。そんなある日、明日のリハーサルまでになんか出来ないとやばいなあって夜にこの曲が誕生する。

最初は間奏の2コードのところしかなかったのに、みるみるこんな曲になった。締め切り恐るべし。ツェッペリンと10ccを微妙にフラスコで煮詰めたかったのだが、みごとにジャック達。

エレキ・シタールが入るとぐっと狙ってた感じに近づいた。歌詞の情けない感じも、ジャック達っぽい。
この曲こそライブでは、ギター・ソロがもういいよってぐらい延々とつづくのだが、スタジオ盤ならこんなもんだろう。しかしギター・ソロ多い。GGP炸裂。
BメロのコーラスはGGPと夏秋。ちょっと感心した、やるなあ。
ヒロムと二人でちょっとがんばったコーラス。
かなり楽しかった。
イントロがフェアポートっぽくて直ぐに気に入った。 間奏はニール・ヤングというか......スティファン・スティルスだな。 ってーかCSN&Y? アルバムの中でベスト2の曲だ思う。 バッキングの音色は素敵です。

録音終盤に 錦織さんから一色さんが借りて来たエレキシタールをかぶせた。おれが弾かされるとは思わなかったのでちょっとあせったが なんとかなってよかった。

「どん てれれれーん」って六連を学んだ。

ソロはライブとは違って尺内でやるので大変だった。

現オールマンのウォーレンヘインズみたいに弾きかったんだ!と、録り終えて暫くしてから思ったものです。
事前に研究しても出来たかは不明ですが。

楽曲そのものは本当に素晴らしい。

キッチンでデート

一色

夏秋

福島

GGP

ジャック達はラブ・ソングしか歌わない。他に歌うような事などこの世に無いからだ。そしてこの曲こそラブ・ソング・ニューエスト・モデルだと思ってる。

たぶんこの曲は、キッチンでデートというタイトルが思いついたと同時にすべてが出来上がった気がする。作曲所要時間15分ぐらいな曲だ。間奏までもすべてあっという間に出来た。リハーサル2回くらいでライブで演奏して好評だった曲だ。

今回、アルバムのプロデュースを夏秋にお願いした。ジャック達はプロデュース持ち回りだ。ファーストはオレで、セカンドは夏秋。次は、ピートさんか、GGPか?それは神様しか知らない。しかし、このライブでも好評だったアレンジが夏秋の手によって姿を変えていく。it's a 夏秋ワールドだ。まずイントロから変わり、どんどんスタジオに行くたびに曲が進化する。この曲を録音中になんとなくオレの中にあったクアラルンプール・ショックなサウンドがメンバーに伝わっていく。アルバムの方向性がこの曲の録音中に出来上がっていく。

そしてこの曲の間奏で夏秋兄弟の競演が実現する。最後にピートさんのアイディアで大量のパーカッションが導入される。主役はもちろんパーカッショニストの睦実さん。オレも鍋とか敲く。

ハイランドの住人達にだって、もちろんキッチンぐらいあるさ。
今回色々好き放題やってしまい、ちょっと反省してます.....

が、満足。
一度やってみたかった水入れたコップブクブク〜。
リコーダーも吹いちゃいました。でもこれが難しく、 続けて吹けなかったので、実は数音ずつ録りました。
栗コーダーカルテットに頼めばよかったよ....。
たまたまスタジオに来てた兄ちゃんにヘタクソに吹いてくれ、とリクエストして、ギャラ1000円でピアニカを吹いてもらう。

やりっ放しが多いピートさん、でも持って来るアイデアはいつも面白い。今回もみんなでそれをたのしく実践。
4人で鍋とか叩きました。
この曲で使ったベースは90年代のヘフナー500/1。 オレが病気で精神的におかしくなって買ったベースだ。
ポール・マッカートニーっぽい感じでやろうと思ったが松尾バンドの小室さんにはかなわねーなー。
ライブ通りに弾いてます。

なので色々工夫がされててあとでびっくりしました。

乙女座ダンディライオン

一色

夏秋

福島

GGP

クアラルンプール最大の繁華街、ブキビンタン。そここそあの頃の渋谷や原宿の活気に似たパワーに満ち溢れ、とても魅力的な通りだった。そこでの相方との会話からこの曲の歌詞のアイディアが生まれた。

全編に流れるGGPのギブソンのアコギのストローク。シンプルな和音を2小節おきに転調させると、色んな時代のエッセンスを吸い上げた新曲ができた。そして転調のキッカケをつくる夏秋のドラム。いつの時代にもあったような、いつの時代にもなかったような不思議な曲になった。

コーラスは苦手という、ジャック達のウエブ・マスターにして個性的なシンガー・ソングライターでもある、えみコバーンのコーラスが力強く入る大サビから間奏のあたりが盛り上がる。夏秋の弾くオルガンを歪ませると完成した。レコーディング中に、このアルバムの中では1番最後に出来たオレの曲。
えみコバーンと一緒にみんなでコーラス。
女性コーラス入ると広がるね〜。
因に俺は天秤座。
ある意味キラーチューン。 この曲の良い所はソロが無いという所。 アコギ弾いた。下手なので柔らかいピックで。
「じゃんじゃんじゃかじゃか」って。

上のポジションで弾くバッキングフレーズ、一色さんに指定されてエレキで弾いた。

いい感じ。

スーパーソニックトースター

一色

夏秋

福島

GGP

ジャック達のキース・ムーン、夏秋文尚。彼のドラムを最大にフューチャーした曲を作ろうと思い夏秋に「ドラム・ソロの入る曲やりたい。」と相談したところ、「え〜、やだよ。」と言われる。そこをなんとかと、説得して4小節だけ勝ち取る。その4小節を目指す為だけに作られた曲。間奏前の4小節がそれだ。

ミックスのときに何回もっとドラムあげようと言ったことか。夏秋が今回の録音用(?)にSONORのセットを導入した。気合入ってるでしょ。
バリーアンドリュースっぽく?クラヴィネット弾いてみました。
何度かライヴでやってるのに、途中の4小節間が ドラムソロパートだという言う事を知りませんでした。
あるリハの時に、『このパートはなんなの?』ってパパに聞いて、『あ、そうだったんだ....』、って。
たいしたソロ出来ないけどね...。

ヒロムのアイデアで、ギターの音を左右に振って
”一人ギターバトル”。個人的には2番目の人のソロが好き。

ヒロムがいいフレーズを考えて来てパワーアップしたエンディング。やればできるんじゃん。
このバンドは絶対にファンキーにならないトコが良い。 演奏する度に「フィル・チェンだったらディスコっぽいトコ上手く弾くだろうな」 といつも思う。
「ジャミラ」と「ベムラー」が今だに謎だ。
「小品のつもりで持って来た」とリーダー。結果的には割と重要な楽曲になった、と思う。

ファンク好きなおれには最初にスタジオで対面した時から入り込みやすかった曲。

ソロもバッキングもフレーズもまずまず出来た、かな。

ブロックヘッズとかアヴェレージとか。割とイギリスの白人パブロック〜ファンクバンドな感じ、あくまでおれには。 
けっして本物ではないふう なのが素敵。

マラッカ

一色

夏秋

福島

GGP

クアラルンプールの帰りに2日間だけよったマラッカは、とても美しい町だった。マレーシアの京都って感じだろうか。 そこでとてもオレらしくないイントロが出来上がったので、残りをGGPに作ってもらった。2曲目のインストロメンタル・ナンバー。

ミュージック・ソー(ノコギリ)のようなGGPのスライド・ギターにロム・チアキさんのThereminが絡みつき、え〜これジャック達なの〜?みたいな幻想的な世界が広がる。 ロムさんは今回3曲に参加してもらう。オープニングの「ソルティ」にも入ってもらった。

ちょっと美しすぎるかなと思い、オレのノイズ・ギターをかぶせるとちょうどよくなった。便利なバンドだ。
ジャック達らしく無い綺麗な曲ですな。
ノコギリっぽく下手にテルミン弾いてもらいました。
パパの破壊ギター、たしか1テイクOKだった気がする。
こういうの弾かせたら世界一。
こういうのしか弾けないっていう話しもありますが...。
SEに関してパパと意見が非常に割れた曲でした。
かなりシビアな印象がした。
当初は「水溜り画廊」に繋げる曲だったらしい。 曲中に聞こえる「キィ〜」ってのがドアの音だと思ったらイスの音だった。 MIXの時にうるさいからやや下げたのだが,一色さんは妙にこだわってて 意見が割れたが、今となってはどーでもいい話。
一色リーダー以外の三人がインストを一曲ずつ作るのだ、という方針でそれぞれ作成したはず。そのうちのおれ作。とはいえ、一色リーダーとの共作。

変な拍の部分はリーダー作で、他はおれ。バッキング/フレーズとも。

しかしアコギの指弾き、相変わらず難しい。マルタさんみたいに弾きたいといつも思う。
スライドはピッチが苦労したなあ。

デレクトラックス、凄いです。

HILAND

一色

夏秋

福島

GGP

タイトル・ナンバー。
美尾洋乃さんが、バイオリンを持ってスタジオに来てくれた。オレと美尾さんとがついにスタジオで競演できた。美尾さんと出会ったのは、まだ水族館レーベルとかが始まったばかりの頃だ。美尾さんとオレは、光永巌と滋田みかよと新しいバンドを作ろうとしてた。「タイツ」です。そのあとすぐに美尾さんが忙しくなってしまい、ライブ2回ぐらいしか出来なかった。

それから長い年月が経ち念願の今回のセッションが実現した。ミオ・フーならぬ、ミオ・スーか?そして、テイク1から見事なプレイ。あっという間に終わり、吉祥寺でプチ・打ち上げ。

ピートさんの物凄いドライブのベースに導かれて始まるこの曲は、オレがマレーシアで嗅ぎ取ったセカンドのイメージを何倍も上回るテイクになった。この曲ほど歌入れしたくない曲なかったなあ、だってねえ。オケかっちょいいんだもん。夏秋に「そんなこと言わないで歌ってよ。」って言われてしぶしぶマイクの前へ立ちました。プロデューサー命令に従う。
レコーディングしながら曲を完成させるというのは
凄くむつかしく、でもやり甲斐のある事でして。
まずヒロムのアコギで苦労して、ピートさんのベースで苦労して、ドラムもどうしても上手くいかず、
結局二日位かかってしまった。
歌の譜割りも二人で色々試行錯誤。

美尾さんのバイオリンで曲がすばらしくドライブする。
エンディングの素晴らしいバイオリンソロがまだまだ続くのですが、 涙を飲んでカットアウト。逆回転ギターも入ってサイケ全開な感じ。
この曲はデモヴァージョンがカッコ良かった。 特にキーボードで打ち込んだベースラインが良すぎてフレーズが 浮かばなくなってしまい、更に先に入れたギターが支配してしまって お手上げ状態。
あのベースラインは苦肉の策!
アコギの16弾きは思った程苦労はしなかった。でもエレキは間奏まわりが特にきつかった。

最近のライブでやっとつかめて来た感じ。

どこまでで録音に入るかっていうタイミングはデリケートだ。

ロッカバラッドクロック

一色

夏秋

福島

GGP

この国のリスナーの方は歌詞の話をすることが好きな人が多いみたいなので、ちょっと歌詞の話でも。歌詞好きだよなあ、みんな。詞そんなに大事か?まあ、歌詞あるんだから良いに越したことは無いんだけど。

ジャック達とそれ以前の、例えばタイツとかの歌詞とかとは明らかに変わった。それが歳のせいなのかジャック達だからなのかは謎なのだが、以前は歌詞はフィクションであるべきだと思ってた。別に深いこだわりがあるわけでもないのだが、歌になるような人生が毎日起こるなんて在り得ないと思ってたからだ。でも、ここ何年かはノンフィクション率が上がってる。
例えばこの「ロッカバラッド・クロック」がそうだ。この詞はフィクションとノンフィクションの間を行ったり来たりする。オレのジョークは、10人の内の何人かにとっては、痛快なものでも残りの何人かにとっては不快なものだ。でもジョークってそんなものだと思ってる。モンティ・パイソンのギャグだってそんなもんだ。そしてある日新大久保で事件が起きる。楽しい宴のはずがオレのくだらないジョークのせいで一変する。そして最悪の夜に。胸が掻き毟られる様な感情がこの曲につながるのだが、50%はフィクション。そのバランスが最近気に入ってる。

音楽の話もすれば、この曲こそギターだらけ。間奏2コーラスもいるのか?っていう長さですが、それもジャック達。おまけにその前のGGPのリフの後ろでオレまで小さい音でソロ弾いてます。くどいね。
今回このドラムの音が一番良く録れたなと思う。
4人の演奏もなかなかいいです。
ヒロムのエンディングソロかっこいい。
キーを半音変えて録った。 レコーディング後ライヴではこのキーでやっている。 録音で違うことを求められて混乱した。

セラピーアゲイン

一色

夏秋

福島

GGP

以前、能地祐子さんから「無人島レコード2」の原稿を頼まれたとき、真っ先にうかんだのがモンキーズの3枚組ベストだった。でもルールで1枚じゃなくちゃいけないというので、ツェッペリンにしたのだが、このモンキーズ・ベストはスグレモノなのだ。

時代がアナログからCDに移行し出した頃、オレは貧乏なせいだけじゃなくCDプレーヤー買うのがひどく遅かった。なんかCD好きになれなかった。でもオレの心を捕らえた最初のCDがこの3枚組80曲入りモンキーズ・ベストだった。80曲入りって。もうアナログだったらめんどくさくてしょうがない。CDってこう云う事かって思った。

なかでもお気に入りは後期のヒット曲の「すてきなバレリ」。こんな曲を1曲アルバムに入れたいと思って作ったのがこの曲。「バレリ」みたいにイントロをギターの早弾きにしたいとGGPに言ったのだが、メタリカみたいになる。おもしろいなあ、誤解。そしてオレ以外の残り3人分の誤解が折り重なって、二ール・ヤングがカバーしたビートルズの「ヘルプ」みたいになる。

業を煮やしたオレはモンキーズ・ベストをスタジオに持ち込んだのだが、結局誰も聴かず置きっぱだ。あれ返してもらわなくっちゃ。
あとは、ジャック達の得意技困ったときの他人任せで、またまたロムさんにtheremin入れてもらう。すると何という事でしょう、あとはお聴きの通りです。有難う、ロムさん。
これも色々手探りで作りあげた。

このドラムも全然叩けなくて二日位かかった。
ヒロムのギターも非常に苦労してあまりに出来ないので、 パパが途中で帰っちゃった事がありました。
その後のヒロムと俺の重い空気ったらなかった
(;_;)(;_;)。

アルフィーとポリスとフィルスペクターとニールヤングがまざった様なヘンテコにいかした珍曲だ。
エンディングに残る多重テルミンは、ブライアンイーノ風かな。
因にイントロの早弾きギターは笑う所ですんで、遠慮なくどうぞ。

で、ライヴのリハーサルでやってみたら、あまりに演奏できなくてトホホなジャック達でした。4人で生演奏できる日がくるのか....。
デモをもらった時に良い曲と思った。 オレは一色さんが言う事はだいたいピンと来るのだが キハラはそうでもないらしい....。 それがモンキーズがアルフィーになる瞬間なのだ。 おれの勘違いと技術の無さが果てしなく珍曲へと導いたのでは。

録音は、きつかった。まだ笑い話でやり過ごせないくらい、
おれは。

いつか出来る時が来るといです。

スクーターガール

一色

夏秋

福島

GGP

降って沸いたようなシネマの再編ライブがあったので、そうだ1曲ぐらいシネマっぽい曲も入れておこうと思って作ったのがこの曲だった。気分的にはボーナス・トラック感覚。まさかその頃はシネマがセカンドを制作するなんて思ってなかったからね。

歌詞は、ある日偶然御茶ノ水で出会った旧友から知らされた昔の恋人の死。それはとても悲しい知らせだった。短い時間の恋だったけどとても素敵な女性だったのに。彼女はオレの知る由のない誰かの子を宿し、その出産の時に亡くなったらしい。とても悲しいエンディングだ。オレは素敵だった彼女の笑顔を曲に刻もうと思った。とびきり明るい曲にして。そしてソロのようにひとりでデモを作ってメンバーにそのままのフレーズを演奏してもらう。GGPのギター・ソロがいかしてる。まるでミカ・バンドの高中みたいだ。
これまた意見の非常に割れた曲でした。
『俺やりたくない』、とまで言いました(笑)。
なので最後の最後まで手を付けずにおいた曲。
でもね、やってみたら良い感じに。さすが俺達!
歌詞、悲しいね。でも天国に届いてるでしょう。
これはほぼ4人で再現できる音数。
この曲はアナログシングル盤なら間違いなくB面だろう。 当初はアルバム内では浮いてるし、イマイチ馴染めなかったが一色さんからこの曲のエピソードを聞き、レコ発の為に何度も演奏したら 好きになってしまった。
Bメロのベースラインと音色がアルバムの中での自分のベストプレイだと思う。
ソロ、はなんとか気に入ってもらえた。おれも気に入った。

・・・→

一色

夏秋

福島

GGP

マスタリングの日に夏秋が「水溜り」の20秒のイントロ作って持って来る。なんてぎりぎりなの?1年もやってるのに。ザ・ボス・オブ・ゴーストが、20秒もあるんだったらこれも1曲にカウントしましょうと言うのでそうなる。全13曲。 マスタリング当日の明け方に作った。
何度やっても上手く行かなくて...あきらめかけた頃に良い感じに。
moog博士がいなかったらこれは出来なかったですよ。
博士ありがとう。
最初は『水道管』って呼ばれてました。
オレが「マラッカ」を曲順で真ん中の持ってったから 次の曲の為にナッキーが作った。 一色リーダー以外の三人がインストを一曲ずつ作るのだ、
と いう方針でそれぞれ作成したはず。そのうちの夏秋さん作。のはず。

水溜まり画廊(ギャラリー)

一色

夏秋

福島

GGP

この「水溜り画廊」みたいな曲を、オレは人知れず勝手にスタンダードと呼んでいる。オレは常日頃、人を驚かせたいとか、笑わせたいとかばかり考えて曲を作っているので、珍獣みたいな曲ばかりアルバムに並ぶ。パンダとかガラパゴスのイグアナみたいな曲。でもそんなことばかりしてると反動で、たまには名曲みたいなのも作りたくなる。それが、オレのなかのジャンルでスタンダードって呼ばれる。例えばタイツなら「デザイン」とか「僕はここにいる」とかがそれで、ジャック達のファーストなら「地球はまわる」とかがそれ。

まあ、アルバムにはそんな曲は1曲あれば十分なので、大抵アルバムには1曲って割り当ててるのだが、今回はそんな曲が2曲出来てたのでどっちにしようかなあって悩んでた。この「水溜り画廊」と「ミセス・センチメンタル」だ。録音をしていくうちに流れで合う方を選んで残りは次にまわせばいい、とか思ってた。そうこうしてるうちにシネマのセカンド・アルバムの制作の話が持ち上がりこの2曲を振り分けようと決めたのだが、とっちがジャック達に好いか悩みGGPに相談する。「どっちかシネマに持ってこうと思うんだけど、どっちやりたい?」

GGPが「水溜り」を選んだ。そして2曲は別々の場所で録音されて、それぞれで居場所を得た。「ミセス・センチメンタル」は松尾清憲のヴォーカルでそのメロディ・ラインが強調され、「水溜り画廊」は、オレのヴォーカルでその歌詞が強調され、今にして思えば収まるところに収まった。こうしてこの1年の中で生まれたオレのスタンダード兄弟たちは、珍しく同じ年にリリースされる。スタンダードのストック切れだが、名曲なんてまた珍獣づくりに飽きたら作ればいい。

「ハイランド」のエンディングでもある「水溜り」のエンディングのラストでピートさんのベースがダブル・トラックになる。そこがたまらなく好きだ。
『もうちょっとギターなんとかなんないの?』ってパパに言われたヒロムのギター。
数日後に録り直して良い感じ。

あるコードの事でパパと非常に議論しました。
でも、結局パパの意見が正しかった。

ちょっとウイングスっぽいエンディング、
『ドラム派手にやっていいよ』、と言われたので、叩きまくってみた。内弁慶っぽくね。
ドラムがそうなら俺は動かない、と言って、弾きまくってたベースを後日録り直すピートさん。いつも冷静だ。

欲を言えばリンダマッカートニーのコーラスが欲しかったんだけどね....。
一色さんの言うトコの「スタンダード」というヤツだが、ベタ好きなオレは アルバムの中でベスト1に好きな曲だ。この曲が無かったらこのアルバムダメだったと思うのはオレだけか? 後奏のベースラインは当初THE WHOみたいに動いてたが他が暴れてるので クールな感じに録り直した。 名曲。

あとがき

一色

夏秋

福島

GGP

4人組
オレはずっと4人組のバンドがやりたかった。そんな4人組のニューアルバムは、如何でしたか?

兎に角このアルバムは、長い時間が掛かっちゃったレコーディングだった。それはまさに、掛けたのではなく掛かっちゃったのだった。その長い時間の中でオレ達は、それ以前よりオレがなりたい4人組にちょっと近づいたような気がする。でもまだセカンド・アルバムだ。みなさん、これからもいい音楽を作りたいのでそのために1番必要なのはいい聴き手なんです。こんな4人組がどんな4人組になるのか、監視し続けてくれたら嬉しいです。時には、叱咤されたりとか。出来れば激励の3割くらいの確率で。ジャック達、よろしく!
今回色々時間がかかったが満足ゆく良い物ができた。
試行錯誤しつくさないと気が済まない性格なので。

良い誤解が新しい物を生む、という事を雷蔵の時に学んだ。今回もそれを大事にしてみた。

しかし俺は一色パパの歌を録らせたら日本一、いや世界一じゃないか?
メロディーライン分かるでしょ!
凄い回数歌わせたからね。
だってあんな良いメロディーに歌詞、ちゃんと聴かせたいじゃん。
パパも何度もやればできるんですよ(笑)。

1st
Albumは、ほぼ全曲一番最後にドラムを録音したのだけれど、今回は普通にドラムを最初に録った曲が多い。

そんなこんなで、3rdへ向かう俺達なのか??
『HILAND』の思い出

「HILAND」は難産だった。
もともとは大阪行きの話が出発点だったと記憶している。
何故か一色さんは大阪に行きたがる。
2005に一回行ったが..........(-.-)
そんなのもあってナッキーが 「大阪行くならレコーディングをしたい。」 と言った所からだったと思う。
1stは今までライヴでやってきた曲を録ったが今回は違った。
レコーディング用に書いた曲がほとんどだ。
気が付いた時にはレコーディングは始まっていたと思う。
オレはレコーディングが好きではないので.....嫌い? まあまあ固まってきた時にベースを入れる。
それはいつもの事なのだが、今回は曲に対する愛着が.... いや.....まだ馴染んでな
い曲に入れるから後で自分が何やったか 全く覚えていない。
そんな感じの作業だった。
予定では2006中にリリースのハズがオレの入院とかもあって延期してしまった。
流石に悪いと思ったので今年に入って(まだ正月)直ぐに残りの レコーディングを片付けた。 コレで文句は言われないだろうと......でも他のメンバーの 作業が難航したのか何だか知らないけどケッコー仕上がるまで 時間が掛かってしまった。
さて、リリース先は決まってたのでケッコー余裕こいてたら........ ゲっ!飛んでも無い事態がっ! .......仕方ないので自分達でレーベルを立ち上げてしまった...... それがだ。
オレは今回のアルバムは一歩引いた位置にいたので、口出ししたのは 曲順と曲間くらいかな?レーベルの事もイマイチよく把握はしてない。
でも1つどーしても「ウ〜ン」と思うのは
「二千五百円って高くね??」
終ってしまいました。最終回なのに。

次作ではもっとやれてたい!と思います。
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