日本国際法律家協会は人権,民主主義,平和,環境などを通して法律家の国際的な連帯を求める活動を行なっています。
 
 
 



国際連帯活動の意義と課題


新倉 修(会長・青山学院大学教授)

 11月14日〜15日と、衆議院はとうとう問題含みの教育基本法「改正」を強行採決した。16日の夕方、共同代表をしている「子どもと法・21」の呼びかけに応じて、国会前抗議集会に出かけた。議員会館前の歩道から議事堂に向かって抗議のシュプレッヒコールを上げるのは、わたしにとって沖縄特措法「改悪」以来であった。5000人を越える人垣が議事堂に対峙し、強行採決を糾弾し、教育基本法「改悪」反対を叫んだ。基本法たるものを改めるのに、時間を惜しみ、手続を略し、強行採決をすることは、「改正」法を傷つけるものである。意見の違いを踏まえても情理を尽くし、委曲を極めて、反対論のとるべきところは取り、内外に基本姿勢のなんたるかを威厳をもって示すというのが、基本法「改正」にあたって与党に求められているではないか。しかも、与党議員の間にも、日本のアイデンティティについて藤原正彦氏の「品格のある国家」の知恵を借り、安倍晋三首相は「美しい国をつくる」と公言しているだけに、基本法を強行採決することは、自らの言葉を行動で裏切っていると言わざるを得ない。これでよいと言うなら、小選挙区制を頼る多数党の奢り以外の何物でもない。
  10月26日に日仏会館でヨーロッパ連合の発議で「死刑廃止についてのシンポジウム」が開かれ、私もパネリストとして招待された。フランスがギロチンを廃止して早4半世紀になる。勇気あるバダンテール元司法大臣は「民主主義は死刑を廃止する」と宣言した。私はこの言葉を引き、日本ではこのような理由で死刑を廃止すべきだと主張する議員は残念ながら一人もいないと述べた。また、人権についても、たとえば人権委員会の委員となる資格に国籍条項を設けよという主張が根強く存在している。さらに言えば、議院内閣制をとる日本では、内閣は連帯して議院に責任を負うという建前があるが、国民に責任をもって施策を示すことはないことも指摘した。ヨーロッパと比べると、日本ではガバナンスの基軸がずれている。
  しかしだからといって、ヨーロッパの尻馬に乗って、死刑廃止を外圧によって実現しようという提案には賛成できない。そのようなやり方は、長い目で見て、逆効果を生むおそれがある。そこで、私は壇上から次のように提案した。日欧で国際会議を開くとしたら、それぞれのよいところを話し合い、建設的な対話ができるようなテーマ設定をすべきである。すなわち、欧州が死刑の廃止を議題に提案するならば、日本は戦争の放棄を議題にしたい。ともに人類の将来のために大いに智慧を絞り、「死刑の廃止と戦争の放棄」について百年の計を語るべきではなかろうか、と。この提案に対して、日仏会館の館長である中国学の大家が賛意を示してくれた。 願わくは、沖縄県民が、糸数さんを県知事に選出して、目先の利益に囚われず、平和と人権のために聡明な選択をしてくれることを!

 

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