結成当初にこのバンド為に書かれたオリジナル。題名が表す様に軽快にバウンスするブルース、
上田の独特な節回しが印象的だ。オープニング曲の最初のソロの栄誉を受けたのはアルトの小澤だ、
バド・シャンクを思わせるウェスト・コースト系の音色が心地よい、思わず、やるねぇと膝を叩く。
続いてテナーの音川、彼が持つ豪快さはここではまだ聴かれない、当然先を読んでの事、それもセンスだ。
そしてバリトンの武田、間を取った出だしが逆に気分を昂揚させる、低音の魅力。
ピアノの飯塚も軽快に都会的なブルースを聴かせてくれる。
そしてサックスのソリへ、ダイナミクスが素晴らしい。ドラムとのトレードを経てラストのテーマへ。
言わずと知れたスタンダードだ、名演は枚挙にいとまが無い。何故この曲がそれ程までに好んで演奏されるかと言えば、
メロディーの美しさは言うまでもないが、 4回の転調の末に元の調に戻るその作りにあるだろう。
初心の奏者にとってそれは足かせになる事もあるが、巧者にとっては腕の見せ所である。このアレンジも結成の時と記憶する、
冒頭のピアノソロは当初は無かったが、メロディーが再び奏されること無くサックスのアンサンブルで曲を終えているので
それを補強する為そこに置かれた。アルトの正富のソウルフルな、それに反し落ち着いたトーンのテナーの上田のソロに続き
ベースの柴田へ、そしてサックスのアンサンブルで曲を閉じる。
本アルバムのタイトル曲、ファンクジャズ、これも1.と同様12小節のブルースだ。16ビートで演奏されるので、
ちょっと違った印象を受ける。タイトルの意味はCDのブックレットに書いてある、そちらを参照されたい。
特徴ある上田節に続き本人のソロ、ニューヨーク仕込みの音色が渋い。サックスソリに続いてアルトの小澤、
フリーウェイを軽快に飛ばす日本車の感、リズムはスウィングに変わる。突如テンポは4倍テンになるが、本来のアレンジには無い、
中野だったか柴田だったか、ほんのいたずら心で始まった事だ。そんな小手先のいたずらに動じない飯塚が頼もしい。
元のテンポに戻りエンディングへ。
最もテナーに合う曲は?と問われたら、選ぶのはこの曲かもしれない。16小節のブルージーなメロディーを2回繰り返し
32小節で1コーラスとする。テーマは最初テナー2本のみで奏される。
次にソロセクションに移るが、ここでテナー2本のバトルが聴かれる。先発するのは上田だ、1コーラスの後、音川の持ち味である
豪快な乾いた咆哮が上田の作った蜜の世界を切り裂く。その後トレードは8小節、4小節と減らし最後はジャム。
飯塚の冷静なソロ、インタールードの後柴田のアルコソロが続く。ここからが本アルバムの白眉とも言えるサックスソリだ
正富はソプラノサックスに持ち替える。終始緊張感を保つ中野のシンバルレガートが更に演奏を引き締める。
中野のソロの後テーマに戻る。
結成まもなくのコンサートの時、(故)小川俊彦が(故)鈴木重男の為にアレンジした曲だ。
ミュージカルの幕が上がるが如くの小澤のイントロはセントラルパークを俯瞰する。
何に想いを馳せるのか正富のアルトは摩天楼にこだまする。
スチームの湯気の如く地から沸き上がるバリトンの武田のソロが印象的。
前述の事があるのか、中野は曲の後半部で葬送の歌が聞こえると言う、勿論曲のコンテキストには無い、
曲は作られてしまえば、演奏者、そして聴き手の物だ。中野のサイドスネアが二人の魂を天に送る。
なんともエキゾティックな武田のフレーズだ。チュニジアは地中海に面する北アフリカの中央、
イタリアのシシリー島の向い側に位置し本州の半分程の小国だ。映画で有名なカサブランカは大西洋に面したモロッコの港街、
おそらくガレスビーはチュニジアの何処か地中海に面した街に楽旅した折、或はバカンスで訪れた折に作曲したか、
思い出を持ち帰ったのだろう、その事は次の機会に委ねよう。ここでは、テーマは16ビートのラテン調、
繰り返しの部分がトリッキーだ、サビはスウィングに変わる。情熱的に赤く燃え上がる正富のソロ、青くクールに光る小澤のソロは、
チュニジアの昼と夜なのか。
バリトンの武田のソロの後、テーマに戻る、分厚いサックスのハーモニーが熱いアフリカの風を感じさせる。
チェロキーとはネイティブアメリカンの部族の名前、作曲の経緯は割愛させていただく。
チャーリー・パーカーの時代より名演は数多く、レスター・ヤング、クリフォード・ブラウン、
現代ではウィントン・マルサリス等が知られる。All the things you are同様サビの転調の難しさが魅力だ。
メロディーはほとんど全音符と二分音符で出来ている、その為かなり早いテンポで奏される、
ソロプレーヤーの入団試験に良く使われたと聞く。ここで再びテナーバトル、今度先陣を切るのは音川、
二人のソロは堰切って流れる洪水のようだ、成す術も無く暫し呆然とする。
飯塚の落ち着いたプレーに気を取り直す間もなく、怒濤のサックスソリだ、上田のペンは見事だ。
中野のシンバルレガートは天衣無縫と言うべきか。
台湾の大河に名を取った作品、その名の如くゆったりとした時間の流れを感じる曲だ、こういう曲を書かせたら、
武田は本当に上手いと思う。本来ならこのアルバムに入るべき曲では無いが、前述の曲を聴き終わった後にもう少し何か
余韻の様な物が欲しいと思い選んだ。録音するにあたり三葛にもソロを頼んだ、どの様にとの質問があったが、
あなたが思う通りにと言った答えが本録音だ、この曲の本質を見事にとらえた名演だ。
音川にソロに落涙し、中野の銅鑼の音に悠久の時の流れを聴く、それは終りであって、そして始まりなのだ。