キヤノン進出めぐり
 企業・業者・行政の癒着疑惑

大分キヤノン大分事業所(しんぶん赤旗日曜版提供写真)



大分キヤノンマテリアル大分事業所(しんぶん赤旗日曜版提供写真)


キヤノン工場に隣接する従業員寮(しんぶん赤旗日曜版提供写真)


キヤノン進出経過表
1982年2月 大分キヤノン 会社設立
1982年12月 安岐事業所 操業開始
1990年12月 「大光」 設立(東京)
1995年11月 「大光」 移転(大分市)
1997年8月 マテリアル立地表明(杵築市)
1997年11月 「鹿島」 指名競争入札で落札
1998年1月 マテリアル 会社設立
1998年3月 「大光」土木工事業取得
1999年9月 マテリアル杵築事業所 操業開始
2003年4月 広瀬知事初当選
2003年10月 大分キヤノン立地表明(大分市)
2003年12月 「鹿島」 随意契約 工事@
2004年7月 「鹿島」 随意契約 工事A
2004年11月 事業所1期工事竣工
2004年11月 「鹿島」 随意契約 工事B
2005年1月 大分事業所 操業開始
2005年4月 大分事業所2期工事竣工
2005年6月 マテリアル立地表明(大分市)
2005年7月 「鹿島」 随意契約 工事@
2005年9月 「鹿島」 随意契約 工事A
2005年9月 「大光」 建築工事業取得
2005年11月 立地協定
2006年3月 マテリアル工場建設(鹿島)
2006年10月 造成地売却(50億円)
2007年1月 大分事業所1期工事竣工
2007年3月 マテリアル大分事業所 操業開始
2007年4月 広瀬知事2期目当選
2007年11月 マテリアル立地表明(日田市)
2008年12月 日田事業所建設着工予定
2009年9月 日田事業所 操業予定
※マテリアルは正式には、大分キヤノンマテリアル株式会社

要請書を渡し商工労働部長へ申し入れを行う堤栄三県議(向かって左)
「鹿島」「大光」が申告漏れ
 大分市岡地区に進出した大分キヤノン(デジカメ工場)と大分キヤノンマテリアル(インクタンク・トナーカトリッジ)の工場建設をめぐり、一連の工事を受注した、大手ゼネコン「鹿島」とキヤノンの大分進出に関わったとされる大分市のコンサルタント会社「大光」が、東京国税局から申告漏れなどを指摘され、仲介手数料や使途不明な裏金などの存在が明らかになりました。
 さらに大分県土地開発公社も任意で同国税局の調査を受けています。これら国税局の税務調査に端を発した裏金疑惑と企業、業者、行政の癒着構造が次第に明らかになってきました。
18億円補助 要綱を変えて対応
 大分県土地開発公社は、大分キヤノンマテリアル工場用地を68億5千万円で造成。しかし、キヤノンには50億円で売却(06年10月13日)しました。通常、造成費用については全額を企業が負担するものですが、売却価格と造成費との差額18億5千万円については、県が公社へ補助金で補てん。間接的にキヤノンへ補助したことになります。
 売却価格と造成費用の差額を公社に対して全額補てんする補助金のメニューの中で、今回のような企業立地のケースが当てはまるものはありませんでした。しかし県は、工場用地等特別対策事業費補助金交付要綱を06年4月27日に改正して対応しました。
 補助金については、06年度当初予算に計上され、県議会で日本共産党は、キヤノンの偽装請負や非正規雇用の問題、土地造成の随意契約の問題などを指摘して、この補助金の支出に対して反対の立場をとりました。
キヤノンの要請もあり「鹿島」と随意随契
 県土地開発公社が発注した、大分キヤノンと大分キヤノンマテリアルの二工場用地の造成工事は、いずれも「鹿島」に随意契約となっていました。しかも、業者選定の前にキヤノンが、造成工事の発注先を「鹿島にするよう県土地開発公社に文書で要請していたことが明らかになりました。
 本来、県土地開発公社の発注工事は、県の契約事務規則に準じて250万円以上は原則競争入札となるはずです。しかし、公社発注の高額な工事が随意契約となっただけでなく、業者選定に企業の意向があったことは、公共事業としては異常なことです。
 この「鹿島」との随意契約について、日本共産党の加藤純子県議(当時)が議会で指摘したところ、議会答弁では、短期間で工事を完了する必要があるため、同種の造成工事を数多く受注し、県内でも実績がある企業という理由は示されましたが、キヤノンの要請があったことは明らかにしていませんでした。
設計変更で11億円増加キヤノンの意向も
 県土地開発公社が行ったキヤノン二工場用地の造成は総額80億円にもおよび、設計変更で工事予定価格から約10億円も増加しています。
 03年から04年に随意契約した大分キヤノン工場用地の造成では、当初23億9400万円の工事契約金額が設計変更で7億7000万円増額し、約31億6000万円となりました。続く05年に随意契約した大分キヤノンマテリアルの用地造成では、当初工事契約額45億1500万円が設計変更され約3億円増額の約48億1000万円に膨れ上がりました。

 県土地開発公社が「鹿島」と随意契約した造成工事
工事予定価格 設計変更増額
大分キヤノン用地 23億9400万円 31億6000万円
大分キヤノンマテリアル用地 45億1500万円 48億1000万円
合計 69億 900万円 79億7000万円

岡地区県有地 コンサル会社にも売却 
 キヤノン二工場に隣接するキヤノン従業員用宿舎となっている土地も、県土地開発公社が「鹿島」と随意契約を結び造成。キヤノンの御手洗冨士夫会長(日本経団連会長)や大分県の広瀬勝貞知事と親しい人物が社長を務めるコンサルタント会社「大光」(大分市)に約1億4000万円で売却されています。
説明責任を果たして徹底的に解明を
 大分県がこれまでにキヤノン誘致関連して、総額で53億円の補助金が投入されました。大分県の96年以降に出した企業立地関連補助金約83億円の63・8%を占めます。
 企業誘致を県政の最重点課題として推進してきた広瀬知事。御手洗会長も後援会の集会などにかけつけ選挙応援するなど、企業と行政の癒着の疑惑が取りざたされています。
情報開示などで県に要請
 12月25日には、日本共産党大分県委員会と堤栄三県議が広瀬勝貞大分県知事に対して申し入れを行いました。要請内容は、一連の岡地区開発で随意契約となっている工事の内容や理由、関係している企業や業者からの広瀬知事への政治資金の提供の有無など9項目。県から1月中旬に文書で回答されます。 
 堤県議は、「キヤノンの強い要求で、競争入札とすべき工事がなぜ随意契約となり、増額されたのか、立地企業、工事業者と行政の癒着がなかったのかなど疑惑解明が必要だ。議会でも徹底して追求していく」と話しています。
 一連の問題は、広瀬知事と御手洗会長との深い関係の中で、大分県の企業誘致がキヤノン中心に行われてきたことが背景にあります。税金の使われ方、企業誘致や公共事業のあり方など県民の批判や疑念を真摯に受け止め、大分県としても真相の解明と説明責任を果たすことが求められます。