植木鉢の選び方

田辺 直樹

 食虫植物の栽培に関する書物には決まって「なるべく素焼き鉢を〜」と書かれています。食虫植物に限らず、素焼鉢がベス トと言われるだけの理由は後で述べるとして、他にもいろいろな鉢が園芸店などで販売されていますので、細かく検証してみ たいと思います。
(1)プラスティック鉢
    軽くて割れにくく、価格が安く、園芸店でも良く売られています。しかし3号サイズ以上の物は良く見かけますが、1号、 2号サイズで小さいものは余り売られていません。鉢底に軽石か鹿沼土の中粒を敷きつめて、配水良く植えつけるようにしま す。
(2)ビニ−ル鉢
  園芸店で売られているものの多くは黒いビニ−ル鉢に植えている場合が最近多いようです。利点はプラスティックよりも安い 事で、100個束売りで300円前後で購入できます。それにビニ−ル鉢のもう一つの利点は、ビニ−ル製で形が自在になり ますので、例えば水盤にぎっしり鉢を並べても、すき間なく鉢を並べる事ができます。これは水盤の水温上昇を抑える効果や 、サラセニアの成長点が鉢からはみ出しても、成長点を痛めなくて済むといった効果があります。欠点は球根ドロセラ類を砂 利系で植えつけた場合に、用土内が安定しないので、注意しましょう。 (3)素焼鉢
    さて、本題の素焼鉢ですが、欠点をいくつか挙げると、通気が良い分、乾燥しやすいのでマメに管理できない人はやめた方 が良いでしょう。メキシカンピンギキュラやネペンテスなど素焼き鉢の方が成績は明らかに良いのですが、乾燥しすぎて枯れ てしまっては本末転倒です。マメに水やりができない方は、無理に素焼き鉢にしないで、ビニ−ル鉢またはプラスティック鉢 にしましょう。さらに、素焼き鉢は水を含むので、冬期の凍結により鉢が割れることがよくありますので注意します。さらに 、素焼き鉢は2号サイズでも50円前後とかなり割高です。
 利点は鉢自体に通気性と保水性がありますので、水はけが良く、水持ち良く管理ができます。通気の良いので、鉢内全体を 水苔で植えても、根腐れ等はしにくいのも事実です。
   (4)駄温鉢
    素焼き鉢に比べて割れにくく、比較的安く入手できますが、プラ鉢や素焼きに比べると少々重く、安定感がありますので、 ネペンテスやドロソフィルム、サラセニアなどの背が高くなる品種を植えるのには良いかも知れません。通気性はあまりない ので、(1)、(2)と同様に水はけに注意して植えつけます。
  (5)RT
 日本では一般園芸店では取り扱っていないのですが、RT(root trainerの略)といって縦長のプラスティック鉢です。大 きさも2号、3号とあり、縦長なので、根が良く育ち、大きな株に成長します。ドロソフィルム ビブリスギガンテア、また 、根の良く発達したドロセラのハミルトニ−、システィフロラ、トルネルビア、パウシフロラ、レギア、ビナタ、球根ドロセ ラ、ピグミ−ドロセラ、サラセニア、セファロタスなどには、かなりの成育効果が見られます。なお、この鉢は新宿伊勢丹屋 上園芸売り場で常時販売されています。 (6)セルトレ−
 素人の方には馴染みがないと思いますが、一般園芸店でもたまに見かけます。ちょうどクッキ−が入っているようなビニ− ル製の鉢が縦5×横5=25個連なっているものや、50個以上連なっている大型のもの等色々種類があり、実生用、挿し木 用などの大量増殖用として業者の間で広く利用されているものです。私も、ピンギキュラの葉挿し用、実生用、小型のドロセ ラの実生苗の植え替え用として良く使用します。鉢の準備が比較的楽であり、ハサミで容易に切断もできるので、とても使い やすいです。
(7)蘭鉢
これは本来洋蘭用に作られたもので、縦長なので、RTと同様の効果がありますが、何分高価で、場所も取るので、展示用として見 栄え良く植えるのには向いているかもしれません。同様に鉢の側面に穴の空いている蘭用の鉢も売っていますが、乾燥に注意 しなければなりません。
(8)吊り鉢
   ネペンテスなどは良く吊り鉢仕立てで販売されています。マメに管理できる方は素焼き鉢を吊り鉢にすればいいのですが、 留守がちな方や、私の様な一般サラリ−マンはプラ鉢で吊した方がい良いでしょう。

 最後に鉢の大きさについてですが、一般的には植物の大きさにあった鉢を選ぶことになります。しかし、サラセニアや北ア メリカ産のムシトリスミレは数株を大きい鉢で寄せ植えするよりも、なるべく小さい鉢(直径5cm)に植えた方が良好な成育 を示します。鉢はなるべく小さく、縦長のRTがベストではないでしょうか。無理に素焼き鉢にこだわる必要はありません。 もちろん、年中在宅していて、一日の気象の変化に応じてマメに管理できる方は別ですが、一般サラリ−マンのための鉢の選 び方としてはプラスティック鉢、ビニ−ル鉢、RT等で管理することをお薦めします。