マレー半島・熱帯高山性のNepenthes探検記

田辺直樹

第3章 新自生地、新交配種発見の旅

1、キャメロンハイランドへ移動の事。アルボマギナタ発見に驚愕するの事
昨夜は散々飲んで寝不足気味である。本日(8月29日)は当初の予定では午後1時にゲンチンを出発してキャメロンハイランド゙に4時間かけて移動の予定であったが、ガイドさんのアドバイスで休日前なので道路が混むので早めにゲンチンを出発したほうが良いとの事。では早めに出ようとのことで朝10時に出発する事にした。各部屋の精算は私が4部屋分まとめて精算したのだが、合計80.3ドルとやたらに安い。ルームサービスで一人30ドルは食べており、国際電話やビールなどの冷蔵庫ご使用についてもチェックされていないのか?気持ち悪いのでガイドさん同伴で再度調べてもらう事にした。するとやはりチェック漏れだったみたいで国際電話が80ドル、ルームサービスが300ドル近く。結局予算どおりであった。しかし、マレーシアに入国して30,000円分両替したが、まだ半分も使っていない。物価が安い国は最高である。海外旅行に行くならアジア圏内がお勧めかもしれない。
定刻をちょっと送れてマイクロバスは出発する。帰りは頂上からバスで直接下るようだ。来る時に寄ったケーブルカーの駅の近くにはN.sanguineaが自生しているはずである。目を凝らして良く探したら、大きな袋を下げたN.sanguineaを発見。車の中から良く見えたのでかなりの大きさである。赤黒くて見事である。しかし,先を急ぐのでバスを止める事はしなかった。バスは順調に進み,高速を飛ばして約2時間過ぎたであろうか、大きな滝が流れる観光地のような場所についた。休憩である。時間は午後1時ごろ。怪しい店が建ち並ぶ中,ドリアンを売っている店を発見。ガイドさんが1個4ドル(140円)に値切ってくれた。格安である。5ドル札を渡して釣りはチップに、、とあげた。1年ぶりのドリアンに感動し、舌鼓を打っていた。狂さんは一個しか食べない。女性陣も2,3個食べて、あとは私と長澤さんと森本さんでほとんどを食べた。私は10個ぐらいは食べたであろう。タネは越川さんに送るつもりで皆から回収してビニール袋に入れて、さらにジッパー付きのビニール袋に入れてリュックにしまった。さて、滝の近くまで移動してNepenthesを探すが,見つからない。昨年訪れたN.mirabilisの自生地に似ているが,標高が1000m近くと高いせいなのかもしれない。ドリアン臭いリュックをひざに抱えてキャメロンハイランドに向けて出発である。あと1時間ほどで到着だそうだ。
しばらく車を走らすとNepenthes視力3.0の長澤さんが叫んだ!「Nepenthesあるある!!」カーブの多い坂道ではあるが、無理やり車を止めてもらった。80ドルのチップが利いた瞬間である。降りていってみると道路左側の崖にへばりつく様にNepenthesは密生している。袋を良く見るとなななんと! N.albo-marginataではないか!! 過去のどの文献や記録を見てもN.albo-marginataはペナン島とボルネオにしか自生していないことになっている。マレー半島本土に自生しているとは驚きである。確かに東のボルネオと西のペナン島に飛び離れて分布しているのは確かにおかしいのだ。真中のマレー半島に自生していてもおかしくないのだ。我々はこの目で確認した。日本に帰国してから、シンガポールの愛好家Joseph Yeo氏にその事を伝えたところ大変驚愕されており、今度俺も行く!と電子メールで返事が来た。場所はRingletという小さい町の近くである。タイプはペナン島のものと同じでall green all redや斑点系もある。3タイプが住み分けもしないで混生しているのである。サンプルと証拠のために袋のみを持ちかえる。あまり時間を掛けるとマイクロバスの運転手やガイドさんに悪いと思いつつも約30分間この場所にいた。良く見ればペナン島の自生地に雰囲気がそっくりである。ちなみにビデオ撮影をするためにリュックを開けたらドリアンの匂いが限度を超えた臭さなので、思わずアルボの自生地に捨ててきてしまった。 こうして自生地を後にして約1時間ほどでキャメロンハイランドへ到着となる。途中の道にもNepenthesが確認された。車を止めてもらってはいないが、どうやらN,sanguineaの様である。赤い大きな袋が目立った。
夕方3時半頃に今日のホテルに到着。StrawBerry Park Hotelという新婚カップルが似合いそうなホテルである。皆疲れている様であるが、まだ外は明るいので自生地を探したくなるものである。てろおささんは部屋で寝ている様なので除く7人でホテルの周りの探索に出かけたのである。出たのは4時過ぎ。そこでもまた新たな種類が我々を待っていたのである。

2.キャメロン特有の交配種の事、N.albo-marginata系の自然雑種、N.mirabilisを発見の事。
ホテルのフロント近くの売店で買ったアイスクリームを食べならNepenthes探索に出かけた。ホテルの近くから坂を下って行くと左手に崖があり、その崖を丹念に調べながら坂を下って行く。しばらくすると真っ赤で大きな袋をぶら下げたNepenthesを発見。N.sanguineaの原種である。ゲンチンハイランドの大型のものよりもやや小型であるが色が良い。シダの群生のなかから「ここにいるよ」って感じで上のほうから枝が伸びている。実生苗は全くない。周りを良く探すとシダや草むらにまぎれてけっこう袋があちこちに着いている。ここは標高1300m。N,.sanguineaの生育限界なのであろうか?標高1700m以上のゲンチンハイランドのものとは明らかに形態が違うようだ。さらにしばらく歩くとおそらくN.sanguineaであろう実生苗が幾つか姿を現した。また、斑点が多いものなどがあるのでN.macfarlaneiがかかっているのであろうか?しかし、ここにN.macfarlaneiは自生していないようだ。この崖は最近火を入れたのかシダがかなり焼けており、Nepenthesも焼けている場所もあった。手の届く範囲には実生苗はなく、肩車かハシゴでもないと届かない範囲にそれらがある。しかし、ゲンチンハイランドでのあのすばらしい自生地を見てきた我々にとっては非常に物足りなさを感じた。大体100m歩く毎にポツリポツリと生えている感じである。ここも蘭が多種多様にあるようで、狂さんは大喜びで蘭の撮影等に熱中していた。Nepenthes視力3.0の長澤さんが崖によじ登って何か物色している。獣道の様な細い道があったので登って行ったようだ。私も一緒に登ってシダの中を掻き分けてNepenthesの袋を探した。すると正体不明のNepenthesを発見。細長い袋で赤い斑点がある。一見N.maximaのような袋ではあるが、ここにそれがある分けない。この斑点はN.macfarlaneiの血を引くものなのか?袋が細長く赤い斑点で口の周りは真っ赤である。恐らくこれはN.sanguineaの血を引くものと思われる。すぐそばの別の株も若干色形は相違するが同じような袋を発見。袋のサンプルを持ちかえり、後日鑑定作業をする事にする。
さらに暫く進むと、シダに隠れて大きな株が手の届く範囲に自生していた。袋を引っ張り出してみると袋の形はN.sanguineaに近いが赤い斑点が多く、良く見ればN.albo-marginataの斑点にそっくりである。ここの標高は1,300m、先ほどのN.albo-malginataが発見された場所は標高1,000m。しかもさっきの場所とこの場所は車で30分と離れていない。N.sanguineaの生育範囲が標高800mから1,700m、N.albo-marginataの生育範囲が標高0mから1,300mうぐらいであるから、両種の生育接点はある。という事は自然雑種やそれらの3元交配(例えばアルボ×サンギネアに更にサンギネアが掛かる等)、4元交配、などがある可能性は否定できない。この株にはN.albo-marginata特有の白い鉢巻は見当たらないが、この斑点はN.macfarlaneiの斑点とは明らかに相違する。上記のようにアルボとサンギネアの交配種に更にサンギネアが交雑されたとしたら、アルボの斑点だけ受け継がれて鉢巻は遺伝しなかった可能性はないのだろうか? 謎の多い交配種N.witteiも片親はN.albo-marginataではないかという見解もあるが、N.witteiには鉢巻はない。しかし、この場所の何処にもN.albo-marginataは見当たらない。いえきちさんがそれらしき株を崖の上のほうで見つけるが、はっきりしない。只言える事は、いえきちさんが見つけた株はN.sanguineaではない事は明らかである。良く見ればN.albo-marginataの上に着く袋にそっくりである。
どれ位歩いただろうか? もうこれ以上歩くと町に出てしまい、崖も終わりである。狂さんは蘭を求めてひたすら先に進み、森本さんはドラえもんグッズを求めて一人で歩いて町まで行ってしまった。残る我々も引き返すことにした。来た道を再び戻るが、車の通れる舗装道路で傾斜も緩やかなので何の問題もない。途中スコールのような雨の洗礼を浴びたが、カメラなどに大きな被害はなかった。暫く進むと視力3.0の長澤さんがどす黒いNepenthesを発見。袋の形はN.sanguineaであるが、やや細長く、色は赤黒い。一見N.Tsujimotoを彷彿とさせる袋である。N.gracillimaが掛かっているのか? ここの交配パターンは全てにおいてゲンチンハイランドのものとは異なることは確かなようである。
先に歩いていた岡さんといえきちさんが何やら騒いでいる。いえきちさんが崖の上にある妙なNepenthesを発見。岡さんが崖によじ登って袋を観察しようとしていたのである。袋を引っ張った時に袋の中の液体が飛び散って、えるぶさんの顔面にヒットしたようで、ヒエーという悲鳴がジャングルに響き渡った。その袋は上に着く袋で、長さ20cmぐらいの大きなもので、色はくすんだ黒、形はN.albo-marginataの上に着く袋とほとんど同じである。JCPS情報誌の第12号の表紙がN.albo-marginataの黒袋タイプであるが、それにそっくりである。口がハート型にくびれるところは全く同じで、薄い鉢巻も存在する。アルボの血を引いている事は間違いない。原種だろうか? しかしどうも口の部分は赤く、N.sanguineaの特徴が見え隠れするようである。人間先入観で見てしまう事が多いので、写真、ビデオ、現物(成田の検疫済)などをより多くの人に見ていただき、鑑定をしてもらいたいものである。
更に、暫く行くと、生水苔が崖一面に密生している。先ほど通った時は見逃していたようで、生ミズゴケに埋もれてNepenthesが数株自生している。壁によじ登り良く見てみるとなんと、一見N.mirabilisのような袋である。オールグリーンの袋に翼がはっきり着いており、柔らかい袋である。N.sanguineaのグリーンタイプかもしれないが、明らかに今まで見てきたN.sanguineaとは異なる。しかも他のNepenthesは乾燥した崖に生えているのに対し、こいつは水分豊富な生水苔に埋もれて自生している。まさにN.mirabilisと思っても無理はない。ただ残念な事にN.mirabilisの特徴である葉がギザギザにはなっていない。しかし、袋はどう見てもN.mirabilisである。特に口の周りはツルツルしている。片親にN.mirabilisが掛かった古都シリーズの交配種(N.efflgent Koto)の様にも見える。帰国後に三野氏に聞いてみると、彼もボルネオ島のサラワク州バウという場所で葉のギザギザのないN.mirabilisを見つけたそうである。最大の自生範囲を持つこの種類が高山地帯で自生していても何の不思議はない。今後、この地を中心として再調査の必要性を感じたのである。ちなみにえるぶさんは観察しようとして崖によじ登ったが、降りる時にお尻をついてしまい、ジーパンが真っ黒になっていた。痛そうであった。とにかく、何度も言うがゲンチンハイランドとは明らかに相違する原種や交配パターンが存在することは確かなようである。これらの品種がホテルから歩いて30分以内で見る事が出来るのも幸運としかいい様がないであろう。時間は6時を過ぎている。そろそろホテルに戻って荷物の整理をしたいものだ。今夜は一人23,8ドル(約800円)で食べ放題のディナーである。今宵の夜はどうなる事やら、、、、

第4章 そして帰国の途に、、、
1、自生地探検作戦会議で大もめの事。大寝坊した事。
部屋に戻り、荷物の整理をはじめる。昨年はシンガポール、マレーシアに10日間も滞在したが、今回は5日間の滞在であり、実は明日は、ここキャメロンハイランドを後にして、クアラルンプールの空港へ移動しなければならない。5時間は掛かる見込みで、日曜日なので行楽客が多く、渋滞すれば6時間以上掛かるかもしれないとの事。フライトは午後11時半であるが、渋滞などを考えると、ここを午後2時に出なければ間に合わないという。 しかも、ホテルのチェックアウトは午後1時である。明日は朝早く出発して、Josephが教えてくれた自生地ポイントへ効率良く移動しなければ、目的は達成できないのである。 バイキングは夕方7時から始まる。オープンと同時に我々飢えた8人のジャパニーズは席を陣取る。飲み物はビール、コーラなど各自オーダーし、食べ物はすき放題、食べ放題である。カレーがやはり美味しいようで、てろおささんはバクバク食っていた。ビールはアンカービールでシンガポールの地酒である。これがまた美味いのだ。この会場では生演奏による、きれいな?オネエチャン2人がカーペンターズを歌っている。なかなか雰囲気がよく、酒もすすむ。 皆サンザン舌鼓を打ったところで部屋に戻り、いよいよ明日の作戦会議である。ここキャメロンハイランドはゲンチンハイランドと違ってかなり広範囲にわたって高原になっており、ハイキングコース(熱帯雨林探検コース)や登山コースが14ほど存在する。ここを何度も訪れているJoseph氏から事前に情報は入れてある。コースナンバー2.3.4.5.7.12がNepenthes自生ポイントだそうだ。しかし、我々に許された時間は午後1時のチェックアウトを考えると半日もない。しかも各探検コースはホテルから遠くて歩いて行く事は出来ない。タクシーで10分ほど移動しなければならないのだ。しかも、1コースは30分から1時間以上掛かるコースがほとんどで、とても全てのコースを見る事は出来ない。家族向けコースから健脚者向けコースまで色々あるが、コース4を除く2.3.5.7.12はどれも健脚者向けの1時間以上のコースで、難所ありなどというコメントまでついている。コース4とコース12は滝に通じるハイキングコースになっており、滝といえば水分豊富ということで、Nepenthesの他、UtriculariaやDroseraなども期待できる。 しかし、コース12はかなりホテルから遠い。コース7はGunun.Berembanという標高1800m級の登山道である。この山を登ればN.macfarlanei N.gracillimaなどが必ずあるであろう。しかし、片道登山に1時間は掛かる。普通に歩いて1時間ということは我々のようにNepenthesを探しながら、写真を撮ったり、ビデオ撮影したりすれば、倍以上掛かるであろう。登りもかなりきつそうで、健脚者向けコースである。8人全員の協議の結果、水分豊富なコース4に決定。このコースはParit滝を目指してのハイキングコースであり、ホテルからコース入り口まではタクシーで5分ほどである。朝食を済ませて朝8時に出発してじっくり観察して12時までにはホテルに戻ろうという目論見である。明日は早いので早く就寝したのは言うまでもない。 翌朝、目が覚めると何と7時57分!大遅刻である。森本さんをたたき起こして急いで朝食の会場へ行くと長澤さん、岡さん、えるぶさん、えいきちさんの4人が食事をしていた。いや、食事は終わってデザートやコーヒータイムであった。すまない気持ちで我々もいそいで朝食を平らげるが、そう言えば狂さんとてろおささんがいない。??寝坊しているようだ。20分過ぎぐらいに大寝坊の2人が到着。昨日の夜にディスコに行ってマレーシア人と意気投合し、夜中の2時まで踊っていたそうである。しかもマレーシア人は男だそうだ。 まあ、遅れてしまったのは仕方がない。急いで食事を摂ってタクシーを呼んでもらい、いざ出発だ。時間は9時ジャスト。乗って5分ほどでコース4の入り口に到着。タクシー料金は1台6ドル、面倒くさいので10ドル札を渡してお釣りはチップにした。早速熱帯雨林のジャングルを散策する。蘭はあちこちに豊富にあるようで、狂さんが嬉しそうにしていた。しかし、Nepenthesはなかなか見つからない。10分ほど歩いただろうか。左側の崖に恐らくN.sanguineaであろう実生苗を1株だけ発見。すぐそこはParit滝である。このコース4はそれで終わりなのか、いやいや地図にはまだ道がある。舗装されているので、それを頼りにすすむが、地図とは違う方向に進んでいる様だ。Nepentehsの自生しているような環境でもなく、単調なジャングルウオ−キングが20分ほど続く。蘭は相変わらず豊富なようで、狂さんは大喜びである。そしてサンザン道に迷った挙句、ロード4の終点に着いてしまった。あちこち道に迷ったので時間は10時30分を回っていた。えらい時間のロスであった。しかも数名がトイレに行ってしまい、そのトイレもえらく遠いらしく、みんなが再び集合したのは11時ちょっと前であった。もうホテルに帰らなければチェックアウトできない。しかし、タクシーで移動すればまだ何とかなる時間である。緊急会議の結果、昨日もめにもめたロード7へタクシーで移動する事になった。頂上まで行かなくても中腹で何かあるだろうというのと、近くに他のハイキングコースがないのが決定の理由であった。タクシーでロード7の入り口に到着。えらく田舎の登山道で帰りのタクシーがつかまるような場所ではないので、このタクシーの運チャンと交渉して、12時ジャストにここに迎えに来てくれるように約束した。1台20ドルの料金を支払い交渉成立である。今時計は11時15分、あと45分しかない。往復時間を考えると11時40分になったらUターンをして戻るという事で急ぎ足で出発だ。しかし、狂さんがデジカメをタクシーの運チャンに見せていてグズグズしていた。集合写真を撮ってくれるようなので一同並んでハイポーズ! そして往復45分の登山に出発したのである。

2. G.Beremban登頂を強行する事。収穫は???

畑道のようなところを皆無言で歩いている。道の脇には湿地があり、DroseraやUtriculariaがないか、森本さんが真剣に探している。しかし,なかなか見つからない様だ。しばらく行くと先頭の長澤さんが何か叫んでいる。どうやら道が行き止まりの様だ。どうした事か? 違う道に行ってみるがやはり行き止まり、、、仕方がないので少し戻って住民に聞いてみる。すると道の途中から傾斜45度以上の急斜面を登るのだという。そう言えば道みたいなものがある。しかしそれはどう見ても山肌に沿った溝の様にしか見えない。良く見ると「G.Berembanはこちら」という意味の看板がひっそりと立っている。ちくしょう! また時間のロスだ! もう時間は11時半である。後30分であのタクシーの運ちゃん達が迎えに来てしまう。急いでその45度はあろうかという急斜面を登ることになるが、時間がなく、まずNepenthesの自生エリアまで辿り着く事は不可能であろう。例え辿り着いたとしても,引き返す時間がない。それでも、狂さん、てろおささん、長澤さんは強行軍で登って行った。私といえきちさんも遅れて出発。しかし、途中で疲れてしまい、時間もないので戻ってしまった。12時少し前にあのタクシーがやってきた。強行軍の3人は帰ってくる気配もない。12時3分過ぎ。もうあの3人を置いて先にホテルに戻るか、、、と思ったところであの3人の姿が見えた。どうやら収穫はなかった様である。しかし、森に入ると急に涼しくなり、目の前の倒木に花を咲かせた蘭がびっしり着いているという状況で、「すぐ先はNepenthesの自生ポイント」といった匂いがプンプンするような感じだったようである。あと30分あれば、、、そんな思いが去来するが、楽しみは来年以降に取っておこう。また,来ようと思えば何時でもこれるのだ。一行はタクシーに乗り込みホテルへ戻る。12時20分ごろに到着し、いよいよ日本に帰国である。荷物の整理をして、チェックアウト。てろおささんは部屋から国際電話をしたらしく294ドルも支払っていた。通話時間は40分ぐらいであった。ホテルのレストランで昼食を摂り、先ほどとは打って変わってゆっくりとした時間が過ぎて行く。2時にマイクロバスが迎えにきた。全員バスに乗り込み、キャメロンハイランドを後にする。いつかあのG.berembanの山頂まで登ってやる。。。。そんな思いがよぎった瞬間でもあった。
帰りの道のりは事のほか順調であった。途中、エイズ撲滅の看板があったが、中国語表記では「愛液病」であった。バスは高速に入り、途中2回ほどサービスエリアで休憩するが7時過ぎにはクアラルンプール新空港に到着した。蛇足であるが、高速道路は約300km走った。日本で言えば東京・名古屋間ほどあるが、高速代金は何と12,5ドル(約435円)である。サービスエリアでペプシコーラを買ったが、ポテトチップスと併せて2,7ドルであった。物価の安さに驚くばかりである。野犬アクシデントの時にチップを50ドルもあげたのはやはりあげ過ぎであったか?? まあ、そんな事はどうでも良い。今回の旅行では再び訪れたゲンチンハイランドでの感動と、キャメロンハイランドへの移動の道中でのN.albo-marginataの発見。更にキャメロンハイランドでの特徴的な交配種やN.albo-marginataやN.mirabilisのようなものも発見。とても収穫の多いフィールドトリップであったと思う。 今回収集したNepenthesに関する情報について更に調査をする必要性を痛感した。以上で今回の探検の報告を終わりにしたい。最後に越川さんをはじめ、私の職場の同僚や部下、家族に対して感謝すると同時に、Nepenthesの自生地がいつまでもこの地球上で繁殖を繰り返す事を願って止まない。