ムジナモの栽培

杉浦弘真

 私が書けるのは、学術的にはあまり意味のない、栽培を中心とした記事だけです。そのため今まで特に頼まれた場合を除き研究会に原稿を送ったことはありませんでした。
 しかし今回JCPSからの依頼で、その栽培関係の記事が欲しい。とのことなので、つたないながらも書かせていただきます。  まずは一般的な栽培方法をご紹介してみましょう。

 入れ物は、カメ、水盤などを使用します。深さは20センチ程は欲しいです。出来れば温度変化を避けるため半分ほどは地中に埋め込みます。そこに5〜10センチ程荒木田土(田んぼの土)を入れ、葦や花しょうぶなど の挺水植物を植えこみます。静かに水を張ったら、藁束または荒縄を適量入れしばらく放置し、水が黄色み を帯び弱酸性になって来たら、そこにムジナモを入れます。この理想的環境を作ることが出来れば、栽培は簡単なんですが、いくつか問題点があります。
 まず、なぜか水が弱酸性になってくれないのです。原因はわかりませんが、ほとんどの場合、アルカリ性になってしまいます。荒木田土にピ−トモスを混ぜてみたこともありますが、最初は良いのですが、時間が経つにつれ、だんだんアルカリ性に傾いてきてしまいます。  つぎに、アオミドロが問題です。発生が多く手による除去が追いつかず、どうしても焼きミョウバンに頼らざるおえません。当然、ミジンコは抑制され、ムジナモの生育も落ち、いつしかアオミドロだけの水盤に化してしまいます。  これらの問題を解決できれば、鑑賞という立場から見てもよい方法だと思います。しかし、私はしばしば失敗しているため、今では次に紹介するやり方で栽培しています。
 この方法だと温室内に設置できるため、最近入手した熱帯産の休眠しないタイプの栽培にも適していると思います。  まず入れ物ですが、これは透明な水槽を使用します。理由は横からの光が欲しいためです。当然この場合地中に埋め込むことはしませんから、温度の急変を避けるため大きいほうが良いのですが、45センチあれば十分でしょう。  また、上から5センチ程残してアルミホイルを巻けば、温度変化と藻の発生を抑えられます。ムジナモはそれより下に降りませんから。 土は使用しません。今のところ無くても不都合を感じません。花も咲きます。  水を張り、藁を束ねて入れます。無くても良いのかもしれませんが、最初は何となく使用します。ただし少しでも腐敗臭を感じたら、すぐに取り除きます。土がないため、葦などは、植えませんが、私はホテイアオイを浮かべます。これが水中の窒素、リン分を効率よく除去してくれると考えるからです。もちろんムジナモが日陰になるほど入れてはいけません。このとき水槽の横からの光が有効になってくるのです。

 次に熱帯魚用水中フィルタ−をセットします。これは、後で述べる同居生物の糞、食べ残し、及び手で取りきれないこまかい滓を除去するとともに、水流を作るためです。極力柔らかい水流になるよう調整してください。  最初白濁していた水が黄色みを帯びた透明になってきたら、PHをチェックします。高ければ市販の調整剤で下げます。 何日か様子を見て安定してきたら、ムジナモを入れます。
 いまや、水草を栽培する上で、CO2の添加は欠かせないものとなってきています。お金のある人はいろいろな強制添加キットが手に入りますので、是非利用してみてください。
 お金の無い人、及び小顔をめざしてダイエットしたい人(田辺さ〜ん。聞いてる?)はエア−スト−ンとチュ−ブを買ってきてください。それを水槽にセットし、毎朝3分間程おもいっきり息を吹き込みます。そう、風船ダイエットです。効果がありますよ。(どちらに?)ただしムジナモがあまり激しく踊らないよう注意してください。私は二週間ほど試した後疲れ果て、CO2のボンベを買いに行きました。  普通完全に外界から隔離している場合を除いて、食虫植物にあえて餌をやることは、あまりしません。都会で栽培していても何らかの虫を捕らえていることが多いからです。(わたしのネペンは伊勢丹の展示会に出品した後、まず間違い無くゴキブリを捕らえてきます。)  しかし、人口環境の水中ではあまり自然の獲物は多くないようです。最初は多少手間がかかりますが、どこかでミジンコを捕らえてきて、それを別の水槽で繁殖させ、餌として与えたほうが良い結果がえられます。
 ミジンコを増やすには、適当な容器の水に、米のとぎ汁、藁などを入れて、採取してきたミジンコを入れれば、しばらくして自然に繁殖してくれます。なおムジナモの水槽に、この栄養豊富な水は極力入れないほうがいいでしょう。
  栽培するうえでもっとも問題になるのが、アオミドロです。水を入れた翌日にはもう発生して来ます。
 しかしPHの調整、栄養分の除去が確実に行われていれば、ある程度発生を押さえることが出来ます。水槽の場合は前述のようにムジナモが行かない部分からの採光をカットします。
 また藻を食べてくれる生物、ヤマトヌマエビ、タニシ、オトシンクロスなどを一緒に飼うのも良いでしょう。ただしムジナモを食害しないことを確認してください。

 このようにアオミドロの発生を制限しながら、最後の手段テデトールを使います。発生を制限しないで、取ろうとしてもおそらく無理でしょう。丈夫に育ったアオミドロはピンセットでつまむとムジナモ本体が持ちあがってくるほど丈夫です。無理に外そうとするとムジナモ自体がバラバラになってしまいます。この場合は焼きミョウバンを使うしかありません。アオミドロを制限もしくは根絶出来れば、ムジナモは簡単に栽培することが可能です。  皆さんも挑戦してみてください。