ボルネオ・クチン探検記1
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田辺 直樹
-序章-はじめてネペンテスの自生地をみて感動した2年前の夏。その帰国の飛行機内で「次はクチンだね」と約束をした。が、昨年は越川氏のアクシデントにより、止む無くゲンチンハイランド再訪となった。マレーシアの建国記念日と重なった関係で、キャメロンハイランドへ移動することとなり、そこでは、アルボマギナータや様々な謎の交配種の発見もあり、充実した旅となったのである。
今年はクチンだ!と叫んだのはたしかゴールデンウイーク過ぎであっただろうか? 6月上旬には旅行会社とのやり取りも始まった。ただ、今年は動き出したのが遅かった様で、当初の参加者8名は全員キャンセル待ちとなった。出発日も8月25日出発でシンガポール経由と8月27日出発のクアラルンプール経由といろいろ選択肢があったが、結局予約の取れたクアラルンプール経由で27日出発便で落ちついたのである。しかし、予約が取れてまもなく、越川氏が諸事情により不参加となった。クチンは越川氏の20年前の記憶を辿りながら行くことを想定していたので、我々には動揺が走ったが、憧れのクチンには是非行きたいというみんなの願いもあり、中止にはしなかった。逆にクチンに関する様々な情報を貪欲にかき集めたのである。
クチンへは何回か訪れている土居氏、三野氏、山本氏、中川氏、クチン在住の現地の趣味家Ch'ien Lee氏、シンガポール在住のJoseph Yeo氏、そして越川氏も20年前の情報を事細かく私に伝えてくれた。
さらに、最新のネペンテスの書籍や、詳細なる地図も入手した。おかげで情報はかなりのものになり、滞在4日間はどう回るか? 悩むほどであった。
日程は8月27日出発で、クアラルンプール経由でクチン着は夜。28日、29日、30日、31日とタップリ4日間同じホテルに滞在し、9月1日の早朝に現地を出発し、成田には夜7時ごろ帰ってくるというコースである。昨年や一昨年のように、ホテルの移動がないのでかなり時間を有効に使えるし、今回宿泊するホテルはカップルにお勧めのクチンでも田舎のビーチがあるホテルで、ガイドブックにも必ず案内されるような三ツ星級のホテルである。ホリディイン・ダマイビーチホテルといういかにも気が利いたホテルである。
昨年の様にカジノは無い様だが、目の前はビーチ、裏はジャングル、すぐそばにはサンツボン山がある。この山の頂上にはN.tentaculata N.veitchii N.hirsutaなどがあるという。険しい登山らしいが、そんな山の麓のホテルが予約できたのも、単なる偶然とは思えない。
現地での移動手段はレンタカーと思っていたが、専用のマイクロバスをマル4日間借りることにした。勿論運転手とガイド付きである。料金は決して安くはないが、参加者8人で割ればたいした金額でも無く、効率よく移動し、Nepenthesが沢山見ることができるであろう。
予定ではBauでN.northiana N,albo-marginata N.gracilisを、BakoではN.albo-marginata N.hirsuta N,rafflesianaを、そしてPadawanではN.mirabilis N.ampullaria N.rafflesiana N.hookeirana N.kuchinensis
N.gracilis N.reinwardtianaなどが見ることができる様である。また、新たな自生地や品種、交配種などの探検も気合入れてしてくる予定である。
参加者であるが、私とてろおささん、いえきちさんは3年連続の参加でレギュラーメンバーと言っても良いだろう。狂さん、テモさんは昨年に引き続き参加決定!今回初参加となるのはRedecさんと若林さんだ。Redecさんは海外旅行もはじめてだそうである。若林さんは海外自生地探検は馴れたものであろう。ギアナ高地、マイアミ、ブラジル、ベネゼエラと世界を股にかけている国内屈指の自生地探検男である。海外でGPSが威力を発揮することであろう。
以上の7名で行く予定であったが、越川氏のキャンセルで急遽えるぶさんが参加することになる。しかし、越川さんがキャンセルした翌日にえるぶさんが申込みをしたのでえるぶさんだけキャンセル待ちとなってしまった。しかし、えるぶさんも無事にチケットをゲット!8名中6名が昨年参加者となり、意気が揚がったのは言うまでもない。
先日、旅行会社から航空券もゲットしたし、いよいよNepenthesの宝庫・ボルネオ探検の旅の始まりである。
8月27日(金)いよいよ出発の日である。前日から我が家に宿泊している、いえきちさん、えるぶさん、Redecさんを朝6時に叩き起こし、6時半過ぎに越川さんの車に乗り、一路成田空港へ。約30分ほどで成田空港第2ターミナルへ到着。我々以外まだ誰も来て無い様だ。
Redecさんはなぜか1リットルのミネラルウォーターを持参。職場に仲間から、水は持って行った方が良いと言われたらしいが、1リットルで6日間持つわけも無い。彼は人一倍胃腸が弱いので、用心に用心したのだろう。
暫くすると狂さんが登場。いつに無くハイテンションである。なぜかリュックの背中には関越道の地図がささっていた。今回は海がすぐ傍なので、海で魚介類を取って食べよう!ということで、水中メガネや足ひれまで用意すると言っていたが、さすがに足ひれは重いので止めたようだが、ワサビと醤油は持参したそうだ。
そして、てろおささんがのっそりと登場した。頭を丸めてまるで修行僧の様であったが、友人と夜通し遊んでいて一睡もしていない様だ。彼の今回の心配事は、飛行機が全面禁煙との噂であり、ヘビースモーカーの彼にとっては地獄のフライトとなることであろう。酒飲んで寝るしかないと言っていた。
続いてテモさん登場。今回は何種類見られるか!と今年の意気込みを語っていた。集合時間は8時半であったが、若林さんがなかなか来ない? 車で来ると言っていたので、渋滞か?事故か?と心配したが、捜索した結果、別の場所で発見。これで参加者8人全員揃ったので越川さんに見送られて、マレーシア航空MH071便に乗りこんだのである。ここで毎年恒例であるが、てろおささんの70cm以上あるお気に入りの三脚がまたしても係員にお咎めを食らってしまった。「規則では60cm以内のものしか機内に持ちこめません!」といういかにも融通が利かなそうな係員であった。そして、仕方なく、三脚は預けることにしたが、クアラルンプールで受け取るかクチンで受け取るか少々揉めていた。この事が後々のハプニングになろうとは、、、、、
とにかく我々は定刻よりも少し遅れて、MH071便は我々の夢を乗せて離陸したのであった。
クチンはマレーシアのサラワク州にある州都である。以前は日本からの直行便があったそうだが、いまでは、クアラルンプール経由しかないそうだ。我々の便は、更にもう一つ経由しなければならなかった。2年前に訪れたアルボの島、ペナン島である。日本から出発して、ペナンに着いたのが4時25分。ここでマレーシアリンギに20,000円分両替した。レートは1リンギ30円であった。そしてクアラルンプールに着いたのが6時半。ここまでの便では全席禁煙では無く、てろおささんをはじめとする喫煙メンバーは喜んだのは言うまでも無い。機内の映画上映は山口百恵主演の伊豆の踊子と踊る大走査線であった。狂さんが踊る大走査線の踊りが見たいとわけのわからない事を行っていた。
そして、国内便に乗り換えて、クチンに向かうのであるが、フライトまで待ち時間が2時間以上もあるので、夕食をレストランでとった。美味しいタイ料理とビールで胃袋と肝臓は大満足であった。レストランでのんびりしていた我々であるが、気がつくとフライトの時間が迫っていたので、慌てて搭乗ゲートに向かったが、ここクアラルンプールの新国際空港は道案内のわかり辛らさと言ったら天下一品であろう。搭乗ゲートのA5を見つけるのに一苦労。やっと見つけたと思ったら、国内線なのになぜかパスポートの掲示とセキュリティーチェックがある。オマケにテモさんが行方不明ときたもんだから、一同大慌てであった。結局フライト10分前に乗りこみギリギリセーフと言った感じであった。
22時30分、定刻通りにクチンに到着した。全員入国審査を通過し、預け荷物を受け取ったが、てろおささんの三脚だけが出てこない。私は時間も時間なので、先に外に出て、旅行会社のガイドに会う事にした。ガイドはテンさんという30歳の経験1年目の新米ガイドであるが、非常にやさしいそうで明るくていい男である。てろおささんの三脚が出てくるまでの間、いえきちさんとテンさんや運転手と3人でバカ話をしていた。日本には2年ほど仕事で滞在していた様で、日本語も上手である。煙草の吸う場所を聞いたが、ここで吸えと言う。いえきちさんと気持良く一服していると、その吸っている場所はノースモーキングの看板がでかでかと出ていた。でも、運転手は問題無い!とニコニコしていた。
全員無事荷物が出揃った様だが、てろおささんの三脚が出てこないので、諦めてバスに乗ってホテルへ向かう。道路の両脇にはネペンテスと共生するシダ類が沢山繁茂しており、どこにでもネペンテスがありそうな雰囲気である。空港から約1時間ほどでホテルに着いた。Holiday inn Resort Damai Beach Hotelである。着いたのは12時ちょっと過ぎ。部屋は冷房がかなり効いていて心地よい。
寝たのは2時ごろ。そして翌朝6時に早速ホテル周辺探検に出かけるのであった。
ホテル周辺探検記−玄関あけたら2分でネペン!
翌朝5時に狂さんのモーニングコールで目が覚めた。というよりも、冷房の効きすぎで寒くて目が覚めたと言うのが正確であろう。サーモスタットの設定は何と5度なっていた。寒いはずだ。
早速準備をして、外に出るが、まだ真っ暗である。狂さん達は懐中電灯を持参して当たりを照らしてでのネペンテス探検である。てろおささんは工事現場で使うようなヘッドライトを頭に着けていた。ホテルの目の前に崖があるが、そこには何とN.gracilisが繁茂していた。ホテルの部屋の目の前である。玄関開けたら2分でネペン!って感じある。さらに、ウトリ視力3.0の若林さんが水溜りに自生するUtriculariaを発見。花茎の高さが3cm程、種名は不明であるがU.subulataかもしれないとの事。
さらに大通りまで出て、周辺を散策するが、なかなかネペンテスが見つからない。暫く歩くと、崖の高い場所にネペンテスの袋が見えた。急いで崖を駆け上り確認するとN.mirabilisであった。かなり乾燥した場所に生えているのが意外であった。袋は長さ12cm、色はオールグリーンで、株数は限られた一角に数本しかなかった。そしてその周辺を良く探すと、N.gracilisを発見。私が今までシンガポールやマレーシアで見てきたものと同じ、黒い斑点系のものであり、さして珍しいものではない。そしてテモさんが真っ赤な袋を発見。それはN.mirabilisであった。袋全体が真っ赤に染まるN.mirabilisははじめてみるものであり。クチン特産かもしれない。
そして、N.gracilisの大型で真っ黒な袋を発見。これはシンガポールの水路の脇で見かけたものと同じようだ。これが以前N.gracillimaと誤認されていたのもうなずける話である。
ホテルから歩いて10分以内の場所にこれだけのもの自生を確認する事ができたのは嬉しい収穫である。時間は既に8時になろうとしている。そろそろホテルに戻り朝食を摂って、出発の準備である。
今日は終日、マイクロバスでPadawan周辺からPenrissen山の探検である。そこで待っていたものは素晴らしいNepenthesの数々であった。