ムシトリスミレ探検記
〜新潟早出峡・杉川・赤城山〜
田辺直樹
平成8年に初めて早出峡に行った時の感動が忘れられず、また、最近気分の悪い事も多かったので、ここらで気分転換にと思い、早出峡オフを計画した。
さらに進むと、3年前は全然気がつかなかったのか、すばらしいモウセンゴケの群生場所を発見。これはすごい!水が染み出ている場所に崖下のほうまでびっしりと群生しているではないか。しかも良く見るとトキソウも発見。純粋な白花も見つかった。休憩を兼ねて撮影会となった。
早出ダムを出発してまだ30分しか経っていない。距離も大して進んでいないので、先へ急ぐ。暫く進むと、ムシトリスミレの自生ポイントに到着。ここは3年前も見つけた場所であり、日の良く当たる場所の絶壁の手の届かない所に群生している。見上げると上のほうにはびっしりとあるではないか。しかし、タケコプターでもない限り近づいて見ることは不可能であろう。
時間は9時過ぎ、もう少し歩けば、感動的な川沿いの自生ポイントに到着するのだ。今から胸が踊るような心境である。
川のせせらぎが聞こえてくる。もうすぐだ。ワクワクする。そして歩くこと数分で、山道の最終地点であり、ムシトリスミレの大群落地でもある場所に到着。丁度川を挟んで反対側の崖一面に群生しているはずであるが、どうも、3年前と様子が違う。植生が少し変わってしまったのか? やけに枯葉やくずが多い。3年前は手の届く範囲にも沢山自生していたのであるが、いまは手の届かない場所に大群生している。上を見上げると開花しているムシトリスミレがこちらを向いている。すごい!が、下のほうの手の届く範囲はわずかしか自生していなく、どうしたのか?人的被害ではない。これは明かに環境の変化ではないだろうか?
時間は10時半、、え!まだ10時半?? そんな感じであった。とりあえずあちこちの藪の中を掻き分けてムシトリの撮影に没頭する。コンビニで買った飲み物を川で冷やすことも忘れてはいない。
あれこれやっていると時間の経つのは早いもので、昼の時間となった!ビールで乾杯! 狂さんはカンチューハイ! 結構酔いが回る。さわやかな風の中でピンギを眺めながらのビールは何回味わっても最高である。
あまりゆっくりしていると、午後の杉川に行けなくなるので,早々に切り上げて、早出ダムまで足早に戻ることにした。ダムまで戻り、車で隣りの渓谷である杉川へ移動。この場所は数年前の研究会主催の見学会でテモさんと流暢井上さんと2人で、杉川探検を試みたが、途中で雨が激しくなり、断念した所である。蛭もすごく多い場所で有名だ!さあ、ムシトリスミレは見つかるのであろうか?
2時ごろに杉川に到着。準備万端いざ出発! 川沿いを歩くこと20分ほどで,釣り橋ポイントに到着するが、ここに自生しているとは限らない。場所ははっきりしていないのだ。
釣り橋を渡って向こう岸から川岸へ降りようとするがなかなか降りられるポイントが見つからない。反対側も暫く歩いてみるがどうもムシトリスミレがあるような雰囲気ではない。
服部さんとテモさんが、川の奥のほうに探検に向かった。奥の崖が怪しいという。靴と靴下を脱いで川の中を歩き出す。すごい執念だ。ビールが瞬時にして冷えるぐらい冷たい水である。私も足を入れてみたが、10秒と入れてはいられないほどである。
他のメンバーは川岸で報告を待つことにした。テモさんがぐんぐん奥に行っているようだ。そうこうしているうちに,ディドさんが足から出血! なんか足がヌルヌルすると思って靴を脱いで見たら、血がべっとりと。。。どうやら蛭に噛まれたらしい。左足の薬指らしい?その蛭がまだ靴の中にいたらしく、狂さんが捕まえて遊んでいた。全長4cmほどの蛭である。気持ち悪い!蛭に噛まれても痛くも痒くも無いみたいであるが、血が止まらないのが難点。ディドさんの靴下は人殺しでもしてきたように真っ赤に染まっていた。
そうこうしていると狂さんも蛭にやられたようである。丁度くるぶしの上辺りで、蛭は既に潰されて死んでいた。狂さんとディドさんたちは早出の藪の中で歩き回ったので、そのときについて来たのかもしれないとのこと。私と若林。さんは被害はない。でも、気になるので靴を脱いで確認するが、蛭さんはいないようである。
暫くするとテモさんが帰ってきた。ムシトリスミレはない様である。もう3時すぎ、、疲れもピークであるので、一同呆然としていたが、釣りをしていたオジさんに聞いてみたら,もっと奥のほうまで山道あるいて行けるとのこと。早速気を取り直して、更に山道を使って奥へと進む。15分ぐらいで最終地点。ここは人口的に作った施設のようなものがある。そして良く見ると崖には無数のムシトリスミレがへばりついているではないか?! 一同歓声を上げたのはいうまでもない。今までの疲れなど吹っ飛び、皆元気なる。その崖は,今我々がいる川岸とは反対側にあり、川を素足で渡るしか方法がない。我々に選択の余地はない。皆、靴と靴下を脱ぎビールがキンキンに冷えるぐらい冷たい川を渡りだした。横断時間わずか15秒ほどであるが、奥歯が痛くなるほどすっごく冷たい。(というより痛い!)
しかし,向こう岸はピンギの楽園である。鉄分を多く含んだ崖に無数にへばりついている。すごいすごい! 花の色も、早出よりも紫が濃い。明かにバラエティとして区別できるであろう。気がつくと狂さんは5mほど崖を攀じ登っていた。3年前の佐藤大作さんではないが、こういう脳細胞が破壊されるぐらいすばらしい自生地をはじめてみると、きまってこういう奇抜な行動を取る人がいるようで、狂さんもかなり刺激を受けて脳細胞が破壊されていたのかもしれない。
時間は4時半、そろそろ宿に行かなければいけない時間である。一同足早に駐車場に戻り、コンビニで酒類とつまみを調達し、懐かしの咲花温泉ホテルへ向ったのであった。さあ今夜は宴会だ! 宿についたのは5時半頃。宿の女将さんは随分若かった。昨年はオバチャンだったのに、今年は、まあ、その娘って感じだろうか? 30前後の威勢の良い,明るい人であり、こちらも気分が良い。クーラーボックスに酒類が満タンで入ってはいるが、何のお咎めなし。酒類の堂々の持込である。部屋は川岸の見晴らしの良い最高の部屋である。他に泊まりの客が3組いた。珍しい。ホテルとは名ばかりで、歩くと床がぎしぎし音がする。建て付けも相当古く、それがまた風情があっていいものである。
風呂は男湯が川に面していて,広く、女湯は狭い様であるが、今夜は女性の泊り客が多いので、男湯と女湯を逆にしてあるとの説明があった。この説明の解釈に皆、それぞれ見解が分かれてしまったのはあとで述べることにする。
早速着替えて、温泉に、、狂さんは先に行ってしまったので、追い掛ける様に男湯に向かう。入り口に「男湯」と書いてあることを確認するが、どうも、「女湯」と書いてある紙の上に「男湯」と貼ってある様だ。先ほどの女将の言うとおりに男湯と女湯が逆である。中に入り、湯に浸かる。硫黄の温泉であるが、最高に気持ちが良い。今日は山道を何キロ歩いただろう。冷たい水の中も歩いたし、蛭もいたし、、でも、そんな疲れも吹き飛ぶほど、気持ち良い風呂であった。あれ? そういえば,狂さんは??? いないのである。我々より先に風呂に行った狂さんが見当たらない。湯舟に沈んであるわけでもない。暫くすると、狂さんが風呂のドアを開けて除きこんだのである。
「おれ、女湯って書いているほうに入ってた。皆来ないからおかしいなあって思ってたんだ」だって!さっきの女将の説明の解釈を、狂さんは「女湯が男湯だよ」と解釈したらしい。張り紙どおりで良かったのだ。でも、女の人が誰も入ってこなくて良かった?いや、入ってきても皆オバチャンばかりだからなー!
風呂上りはやはりビール!堂々持ち込んだビールで狂さんと2人で乾杯!そして夕飯!一泊食事つきで7,000円という激安ではあるが、メシも美味いもんである。狂さんの乾杯の音頭で宴会スタート!ビールもガンガン。服部さんも珍しく酔っ払っているし、部屋に戻ってもっと飲みましょう、だって! 気分は最高。お櫃のご飯をお代わりするほどの大メシ食らいであった。
部屋に戻り,暫く休憩したのちに再び宴会スタート。ディドさんの昔話など、かなり盛りあがった。散々飲んだ後、気がつくと狂さんとテモさんは成仏されているので、残りの4人で再び温泉へ。
風呂の中でも、話は尽きることがなく、30分以上は居たであろうか? 話は尽きないものである。風呂上りに再びビール! もう、男の贅沢。これで女さえ居れば最高!って感じである。今日は一睡もしてない人が多いので,1時半には皆床についた。
翌朝、私が目を覚ますと、皆は既に起きていた。時間は7時半頃。狂さんは早起きして近くの沢まで散歩してきたそうで、さすが年寄り!朝が早い!
朝風呂を浴びて朝食。大したおかずは無いが、旅館の朝食ってのはどうしてこう美味しいのかな? おしんこや味噌汁でも充分おかずになる。美味い!荷物の整理をして、9時過ぎに出発。今日は赤城山のムシトリスミレを見に行くのだ!さあ、どうなることやら。。
言い忘れていたが若林さんの車にはカーナビがついている。最新型ではないがいままでの行程では随分世話になったもんである。赤城への道のりもカーナビと、助手席の私のナイスアシストにより皆を迷わず目的地に運んできたのである。
宿を出て、若林カーがガス欠なので、ガソリンスタンドへ。エンジンを止めるとボンネットから煙がでるのであるが、スタンドで煙が出て,ボンネット点検になったらどうしよう?などと冗談を言っていたが、煙は出てこなかったようだ。早出ダムの駐車場では、モクモクと煙を吹いていたのに、、しかし、車を止めると何ともいえない異様な匂いがする。若林さんも参っていた。走行中にも若干臭ってきた。無事に行って帰ってこれて良かったと思う。
狂さんカーも満タンに入れて、いざ出発。高速で飛ばし、12時半には赤城の麓のドライブインへ到着。今日は月曜日なので、客は全然居ない。静まり返っている感じだ。店のオバチャンも一人しか居ない。6名がバラバラに色々注文すると、店のオバチャンが大変そうで、時間がかかりそうだったので、みんなでカレーライスを注文。なかなか出てこないので「いまからご飯炊いてるんじゃないの?」などと冗談を言っていたが、すぐに出てきた。でも、量が少ない。あと2杯は食えそうであったが、赤城の山頂でビールを飲むので腹8分目で丁度良かったのかもしれない。
カレーを食べた後にビールなどを買い込み、早速登山の準備。駐車場で荷物の整理をしていざ出発!狂さんはクーラーボックスを持参しての登山である。
もう,既に標高は1,700mはあるのだ。これから、約100mあまりの急勾配の登山である。時間にして約30分ぐらいである。でも、太っている私にとって登りは辛いのである。大汗こいてやっと山頂へ。途中D.rotundifoliaを幾つか見つけたが、山頂では、見事なまでのムシトリスミレとモウセンゴケが群生していた。
早出のものとは異なり、花は濃い紫で、葉も内側に巻き込み、P.luteaを見ているようである。早出や杉川はすでに開花し、結実しているものが多かったが、ここ赤城のものは、まだ開花はおろか、花茎すら上がっていない。花茎が上がっている株はほんの少しであった。でも、道の両脇に枯草に隠れる様に自生している。すばらしい群落である。
ちなみに山頂に居るのは我々だけ。ケーブルカーが廃止になったこともあって,客は極端に減っている。
さあ、山頂で宴会だ!クーラーボックスからビールやイイチコが出てきて、おつまみわんさかでかんぱーい! 標高は1,800m 風がすごく冷たい。早出や杉川は標高は200mぐらい。平地とそんなに変わらない。ここ赤城は一般的な山である。半袖しか持っていない服部さんはブルブルと奮えていた。酒で体を温めるしかないようだ。
時間も4時を回ったので、そろそろ下山。行きと違って帰りは楽なものだ。下山途中でも、ムシトリスミレの群生を発見。モウセンゴケも見られたし、大満足であった。帰りは渋川伊香保ICから一路東京へ、皆さん無事に帰れたようだ。
今回、私は一回も運転しませんでしたが、若林さん、運転お疲れさまでした。狂さん,ディドさん、服部さん、テモさん、とても楽しかったです。また行きましょう。
こんなに密度の濃い探検は他には無いであろう。服部さんは、庚申山でも行きますか?とまだまだ元気。もう1日休みが取れれば、男体山や女峰山も回っていたかもしれない。今度行く時は、早出,杉川、赤城,男体などを2泊ぐらいで計画しましょう。2泊目は日光の温泉だね。